小鳩会議

ホラーとミステリ(推理する方ではありません)を主体とした創作をする団体です。現状では漫画、小説を主に制作しています。会議、と銘打っている通り、複数人で創作を行っております。noteでは、7月1日より、百物語を月、水、金、日の夜に更新予定です!最後までどうぞお付き合いください

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マガジン

  • 百物語 第十一夜~第二十夜

    百物語 第十一夜から第二十夜までをまとめたマガジンです。

  • 百物語 第二十一夜~第三十夜

    百物語 第二十一夜から第三十夜までをまとめたマガジンです。

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  • 百物語 第四十一夜~第五十夜

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最近の記事

百物語 第六十五夜

バイト先の焼肉屋の常連客に、石見さんという六十過ぎのオバサンがいる。 見た目も中身も豪快な人で、昼間から一人焼肉に来ては、熱燗をぐいぐい飲んで帰っていく。どちらかといえばオバサンよりもオジサンに近いような気もするが、話しやすいし気前もいいので、俺としては好きなお客さんである。 石見さんは、若い頃、拝み屋のような仕事をしていたらしい。 今は引退しているが、それでもときどきどうしても断わり切れないことがあって、死んだ人を自分の身体に憑依させて会話をさせてやったり、悪いものが

    • 百物語 第六十四夜

      五年前に彼氏が交通事故で死んで… 本当に辛くてもう恋愛はできないって本気でおもった。 だけど、落ち込んでいた私を支えてくれていた男友達を好きになって、彼が死んでから半年経って付き合うことになったの。 その男友達と付き合うようになって、デートの時に手をつないだらね、うっすらと死んだ彼氏が見えたの。罪悪感で少し胸が苦しくなった…。 キスをした時には、手をつないだときよりもはっきりと死んだ彼氏が視界の端にいて、こっちをにらんでいた…。 付き合うこととなった男友達と初めてエッチをし

      • 百物語 第六十三夜

        いまほど日本が貧しくなかった時代のことだから、せいぜい三十年前くらいの話だ。 僕は大学生だった。 今では考えられないことだけど、当時は東京ならば外国の映画を非合法ではあったけれど上映していた。 とはいえ僕が住んでいた田舎じゃ考えられないことだけれど。 高校生の頃、僕は校閲をすり抜けたフリーペーパーを読みふけって、活字でしかしらない外国の映画に思いを馳せていた。 それが東京に住み始めると、繁華街の深い場所で海外映画が上映されていた。 そうなれば当然のなり行きのように、僕は

        • 百物語 注意2

          当初、百物語は有料マガジンにしその収益で供養のためのお社を建てようと考えておりました。 しかし先日、神様と仏様に読んでもらうことが一番の供養である、とのことを枕元でご説教をいただきましたので、すべての話を無料で読めるようにしました。 読み逃した方がいらっしゃいましたら、ぜひバックナンバーをお楽しみください。

        マガジン

        • 百物語 第五十一夜~第六十夜
          10本
        • 百物語 第四十一夜~第五十夜
          10本
        • 百物語 第三十一夜~第四十夜
          10本
        • 百物語 第二十一夜~第三十夜
          10本
        • 百物語 第十一夜~第二十夜
          9本
        • 百物語 第一夜~第十夜
          10本

        記事

          百物語 第六十二夜

          花嫁さんの介添人に選ばれたことがあります。 五歳のときでした。 親戚のお姉さんの結婚式で、ベールガールの役割をもらったのです。 お姉さんは、よっちゃんと言い、その当時28歳くらいの綺麗なお姉さんでした。私もたまに遊んでもらい、その度に綺麗でやさしいよっちゃんのことが大好きになっていました。 よっちゃんにはまいちゃんという妹がいて、綺麗なお姉さんとは対称的に、こちらは可愛らしい感じの女性でした。親戚の集まりでも、二人が並ぶとそこだけまるで空気が変わったかのように素敵な空間に

          百物語 第六十二夜

          百物語 第六十一夜

          もう三十年近く昔、俺が小学校の二、三年の頃に体験した怖い話だ。 俺たちが子供の頃、女子にスカートめくりをすることが流行った時期があった。 俺もスカートをめくっては、女子に怒られるのだが、なんだかそれが嬉しかった。 ある放課後、友達と誰のスカートをめくろうかと相談していた。 俺は友達たちから一目置かれたいがために、これまでターゲットにされてこなかった女子、その子はまだ転入してきて一ヶ月程度で、クラスに馴染めているとはいえなかった。 まだクラスに友達もできていない彼女に悪戯

          百物語 第六十一夜

          百物語 第六十夜

          黄金色 夜明け前 輝く空 輝く地面 父さんが買ってくれた靴 あなたの大好きなイチョウ あなたの大好きな父 あなたの大好きな父が買ってくれた靴 あなたの嫌いなギンナン 地面に転がったギンナンをよける身軽なあなた そのあなたの様子 夜明け前 この銀杏並木のあなた 気持ちを冷めさせる秋の空気 つぶれたギンナンの匂い 人の内側の匂い 人が腐っていく匂い 僕の生家は戦前からそれなりの土地持ちだったらしい。 戦争が終わっても、うちは裕福だったと思う。 そ

          百物語 第六十夜

          百物語 第五十九夜

          アマチュアとはいえ、書き手としての倫理観に基づいて私はこれを読んでいる方に伝えなければならないことがある。 きちんとこれから書くことを守らなければ呪われる。 呪われた人間は必ず死ぬと言われているので、その真偽は確かめようがないのではあるが。 この話の呪いは読んだ/聞いた本人だけではなく、あなたの祖父母・親・あなた、あるいは親・あなた・あなたの子供、と三代に及ぶものだ。 ・この話を読む前にあたなは一日、少なくとも半日は食事を抜かなければならない。 体内にある便や尿、不浄なも

          百物語 第五十九夜

          百物語 第五十八夜

          夜勤の仕事をしていた頃の話だからもう十年以上前のことだ。 昼夜逆転の生活は当時若かった私にはそれほど苦ではなかったが、それでもストレスが溜まっていくのが自覚できていた。 夜のシフトに回される以前、少なくとも週に一度は友人たちと遊びに出かけていた。 昼夜逆転の生活となってしまってからは、友人たちとはメールでのやり取りくらいで、直接会えることはなくなった。 職場とアパートの行き帰り。 たまの休みも起きればもう夜中で、のろのろと布団から這い出ては、安い居酒屋でひとり12時間ずれ

          百物語 第五十八夜

          百物語 第五十七夜

          久々にKさんから連絡があった。 私は残業を切り上げ指定された居酒屋に向かった。 Kさんは私の元上司の友人であり、私が当時勤めていた会社の取引先社長でもあった。あの頃まだ大学を卒業したてで生意気盛りだったぺーぺーの私をなかなか気に入ってくれ、入社後半年もするとしょっちゅう二人で夜の街を飲み歩くようになっていた。 その後、同棲していた彼女と別れたことを機に、私が会社を辞めた後も、Kさんとの交流は無くならず、今もこうしてたまに飲む仲である。 居酒屋につくと、Kさんは隅の席で酒

          百物語 第五十七夜

          百物語 第五十六夜

          友達の家の犬が苦手です。 一見何のかわりもないただのチワワですし、病気もなく、しつけもきちんとされていて、無駄吠えもありません。 私にも恐らくなついていると思います。 私もそれまでは遊びに行く度によく可愛がったものです。最近は少し…距離をおいて接しています。 以前遊びに行った際、友人がお茶の用意をしてくれている間に、私が抱っこして撫でていました。すごくおとなしく私に撫でられていましたが、友人が部屋に戻ってきたとき、犬は顔を動かさずに目玉をぎょろりと向けて主人の方をみまし

          百物語 第五十六夜

          百物語 第五十五夜

          上の娘がまだ二歳だった頃、家のあちこちに「お化けがいる」と言い出したことがあった。 居間のドアのガラス部分には「お顔お化けちゃん」、部屋のそこここをうろちょろする「ねこちゃんお化けちゃん」、そして廊下には「目玉お化け」。 小さい子ども特有の微笑ましい想像の産物だろうと思っていたが、それなりに怯えて廊下を嫌がったりするので、このままでは完成しかけていたトイレトレーニングが頓挫するのではないか、と私の方が恐ろしくなった。 大体「ねこちゃんお化けちゃん」なんて可愛いらしいもの

          百物語 第五十五夜

          百物語 第五十四夜

          三年前、地区社協に入っている友人から、ボランティアをしてみないかという誘いがありました。 週に一度、一人暮らしのお年寄りの家を訪問する、“見守り”活動。 長いこと趣味もなく、仕事と家事だけをやってきた私は、新しい世界を覗いてみたい気持ちもあり、二つ返事で引き受けました。 思い返してみれば、最初の頃は大変でした。 近年、お年寄りを狙った犯罪が増加していることもあってか、新顔の私は大いに警戒され、胡散臭がられました。怒鳴られたことも、玄関先で追い返されたこともあります。そ

          百物語 第五十四夜

          百物語 第五十三夜

          東北のある町に赴任していた頃の話だ。 その町は由緒ある行事から、馬を神聖な動物としていた。 赴任先での生活に慣れはじめた頃、 数えるほどしかないこの町にあるスナックへと入った。 飛び込みで、しかもひとりで来る客はめずらしいのか、 少々警戒されているようであったが、それでも常連客らしき男が 話しかけてきてくれて、うまく店に馴染むことができた。 いい歳をしてオカルト好きな私は、 常連客の男にずっと気になっていた質問をしてみた。 東北の地で、馬を神聖な動物としているとすると

          百物語 第五十三夜

          百物語 第五十二夜

          百物語 第五十二夜

          百物語 第五十一夜

          仕事帰りに、猫の集会に遭遇したことがある。 時刻はたぶん、午前を少し回った辺りだった。新月の上に星も見えず、道行がずいぶん心許なかったことを覚えている。 目の前を、一匹の猫が横切っていった。 真っ白な猫で、暗闇の中に浮かびあがっているように見えた。 もともと猫が好きだったこともあり、無意識に、その行き先を視線で追ってしまう。 白く長いしっぽを高々と持ち上げながら、猫は空き地へと入って行った。 なんとはなしに覗き込んだ空き地の真ん中で、二十匹近くの猫が車座になってい

          百物語 第五十一夜