こばしげ商店

38年間の現役生活を無事に終了。自分自身の社会参加と地域応援を目標に机一つで商売を始め…

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38年間の現役生活を無事に終了。自分自身の社会参加と地域応援を目標に机一つで商売を始めようと考えました。 その前に、認知症の症状が少しずつ進行していった母親との出来事の一つ一つを思い出し、綴ってみることにしました。

最近の記事

『おふくろが呆けました』〜あとがき

一度目の転倒事故の後、おふくろが心配なこともあり、異動の希望先をおふくろの家の近くにして提出しました。どうにか希望が通り翌年4月からは非常勤教員としておふくろの自宅から徒歩数分の勤務場所に異動する事が出来たのです。 それからというもの休憩時間や退勤時間後には出来るだけ顔を出すようにし、おふくろの様子を見に行くようにしました。考えてみれば現役の時代ではとてもこのような対応は出来なかったでしょう。役職もあり日々仕事に追いたてられる毎日、とても仕事以外のことを考える余裕はありませ

    • 『おふくろが呆けました』〜⑦グループホームへの入所

      2021年11月、ケアマネージャーより家の近くにあるグループホームに空きが出そうという情報が入りました。 以前からグループホームに入所するなら自宅近くのここがいいと思っていたところでした。そこは家の近くでもあるし入所してもそれほど違和感はないのかなと少し安心していたのですが、その後、退所予定の方の話が思うように進まず進展が見られなくなりました。 そうした中、今まで考えたことのないグループホームに空きが出たという連絡がありました。空きは一人、今決めないと次に希望している人に

      • 『おふくろが呆けました』〜⑥介護老人保健施設への入所

        2020年7月、季節は本格的に夏。 日に日に照り付けるような太陽の陽射しが肌を差すように痛く感じてくる季節になってきました。 この頃のおふくろは一日中押入れの前に座り、押入れの中にある衣類や小物などの整理をしています。毎日、毎日押入れの前に座って忙しそうに手を動かしています。私が仕事を終えて様子を見に行くといつも同じ言葉を私にかけてきます。 「忙しくて、忙しくて。一日こんなことをしているのにちっとも片付かないんだよ、もうくたくたで疲れ果てたよ」 それはそうだ、一つの物を

        • 『おふくろが呆けました』〜⑤記憶が混とんとしているんだな・・・

          おふくろは山梨県との県境の近く、長野県信州の出身です。 今でも兄弟、親せき、友人がいることもあり数年前までは生まれ育った家に私と一緒に車で帰ることがありました。 そんなことも影響しているのでしょうか。 ある時、いつものように仕事を終えてからおふくろの家に行くと少し驚いたような顔をして「良かった、待っていたの。さあ一緒に帰えりましょう」と言うのです。 一瞬何を言っているのだろう、当初はその意味が分からなかったのですが、よくよく聞いてみると自分は今長野県の家にいると思い込ん

        『おふくろが呆けました』〜あとがき

          『おふくろが呆けました』〜④ショートステイの体験

          2015年12月の初めての転倒事故の後、これからの事を考えるとひとりの生活は難しいとは思い、今後についてはケアマネージャーとどんな方法があるのかは相談していました。 そんなある日、おふくろに会いに行くたびに「一人はさみしくてね」「日が暮れて夜になると特に寂しくて」などと話すようになりました。私が一緒に生活を共にすればおふくろにとっても一番の喜びなのでしょうが私にも仕事があり、なによりもこの家には私が生活をするスペースがありません。それでもその後「でも大丈夫だから心配しないで

          『おふくろが呆けました』〜④ショートステイの体験

          『おふくろが呆けました』〜③金庫の中のお金が消えた?

          2019年3月の日曜日。 いつものようにおふくろの自宅を訪ねると「しげちゃん、お金を預かってくれているんだよね」突然のおふくろからの言葉に、「えっ、お金!何を言っているんだ?」私はおふくろのお金なんて知らないし手も付けていない。「さっき見たら金庫に入れておいたお金が無くなっている。てっきりしげちゃんが預かっているものと思っていた」と言うが、私は金庫の中のお金には手をつけていません。 この事件の数日前、何かの時のためにとおふくろの銀行預金から現金を引き出し、自宅の金庫に入れ

          『おふくろが呆けました』〜③金庫の中のお金が消えた?

          『おふくろが呆けました』〜②初めての転倒事故

          おふくろの異変はずいぶん前から現れていたのかもしれません。 2015年(平成27年)12月中旬、私の勤務先に弟から携帯に電話がかかってきました。仕事中の電話という事で一瞬嫌な予感がしました。 「おふくろが買い物の途中に転倒し、救急車で運ばれた」救急車という言葉に驚き、急いで仕事を早退して救急車で運ばれたという救急病院に駆けつけました。受付窓口に行き事情を話すと職員から「その方なら処置をした後、息子さんと一緒に自宅に帰ってもらいました」とのこと。 再び今来た道を引き返し、

          『おふくろが呆けました』〜②初めての転倒事故

          『おふくろが呆けました』〜①おふくろが呆けました

          私の親父は2008年9月に亡くなりました。脳梗塞で倒れ、長い入院生活の後、一時は回復も見られ自宅に帰ることができたのですが残念なことに再発をしてしまいます。再び入院生活が始まりましたが最後は力尽き、病室で私たち家族に見守られながら亡くなりました。初めて聞く主治医からの「ご臨終です」という言葉が今でも耳に残っています。 その翌年から毎年のようにおふくろは親父の命日が近くなる8月頃から「お坊さんに来ていただかないと」「ご供養をしないといけないからみんなこの日は予定を空けておいて

          『おふくろが呆けました』〜①おふくろが呆けました

          『おふくろが呆けました』〜はじめに

          物事にはどんなことにも「始まり」があります。 今回についてはその始まりがどこからなのか、どこにあったのか、この文章を書くにあたり考えてみました。       私の家族は両親と兄弟四人。そして私、次兄、弟が独立をして家を出ており、家には親父、おふくろ、長男の三人で生活をしています。週末や年末、お正月などはみんなが集まり楽しく飲んで、食べて思い思いにいろいろな話を楽しんだものでした。 この事態が一変したのは二〇〇六年、親父が倒れて長期入院の後に亡くなったことからです。それから

          『おふくろが呆けました』〜はじめに

          はじめまして

          『こばしげ商店』と申します。 38年間の現役生活を無事に終了、定年退職をして5ヶ月が経ったとき… 自分自身の社会参加と地域応援を目標に、机ひとつで商売を始めようと考えました。現在、開店に向けて準備中です。こちらのnoteでも開店までの様子をお知らせしたいと思っています。 その前に… 少しずつ認知症の症状が進行していった母親との出来事の一つ一つを思い出し、これからの人たちへのアドバイスになればという思いから、『おふくろが呆けました』というエッセイを綴ってみることにしまし

          はじめまして