トロオドンよ、父さんな、ネット叩きで食ってこうと思うんだ
ある年の師走…
トロオドン「タタキ?オトン、強盗はアカンて!!」
トロオトン「なんでガキがそんな隠語知ってんねん!!ワイが犯罪なんて犯すわけあらへんやろがボケェーいッ!!(ボコーッ!!」
トロオドン「痛ァー!!オトン、児童虐待も立派な犯罪や…で、ネット叩きで食ってくって何すんねん?」
トロオトン「よう聞いてくれた。ワシはな、この混沌とした現代のバビロンにして、ケイオスが渦巻く伏魔殿であるインターネットに活路を見出したんや。」
トロオドン「ハァ?!…オトン、なんか変な薬やってんか?あ…オトンがやってるのはバイアグラやったな!ワハハハハ!」
トロオトン「その話はオカンにも内緒にしてたのに、なんでお前が知っとんねんボケェい!!!…まぁええわ、そんなことより話の続きといこか。ほら、これ小遣いや。だから話聞いてくれや。」
トロオドン「えぇ…親が子供に話聞かせるために小遣い渡すなや…まぁもろとくけど…で、一体どういうことなんや?」
トロオトン「エエか?現代人はなあ、様々なストレスに晒されとる。仕事、家庭、友人関係、プロ野球…といった具合にな。おまけにアーマードコアの新作が一向に発売されないせいで、人々の闘争心の向き先がなくなってしもてる。」
トロオドン「野球でキレ散らかしてるのはオトンのことやん…それに、アーマードコアなら今月新作発表されたで。」
トロオトン「じゃかあしぃわボケェーい!!あんなもん女子供はやらんやろが!硬派気取った男にだけウケてどうすんねん!」
トロオドン「しれっと偏見出とるやんけ…で、そのストレスや闘争心がなんだっていうんや?」
トロオトン「ワシはな、そういった人々の不満を解消してやりたいと思ってんねん。例えば、いつでもどこでも殴れるサンドバックがあったら、お前もスカッとするやろ?ワシはする。」
トロオドン「うわぁ…野蛮なオッサンやなぁ…でも、普通そんなモン用意出来へんやろ?」
トロオトン「オマエはアタマ悪いなぁ〜、オカンに似てもうたんか?カンタンなことや、インターネットをつこうたらエエねん。」
トロオドン「オカンの悪口止めなよ…また買い貯めたタバコ殺め逝かれるよ…で、なんでインターネットなんや?」
トロオトン「ここ何年か、ちょっとしたことですぐ炎上騒ぎだの謝罪だのって騒いでやらかした奴を叩いてるのがおるやろ?そういうのってのは結局有象無象のバカ共がストレス発散のために騒いでるだけやねん。」
トロオトン「ワシはな、そんなアホウ共がより輝ける『ステージ』を用意して差し上げたいんや。インターネットならいつでもどこでも使えるし、アホもぎょーさんおるから、ネタにも困らん。その代わりちょっとだけお零れを頂こうと思ってんねん。」
トロオドン「お零れって…オトンがコバンザメだったらそんな算段じゃすぐ飢え死にしとるわ…」
トロオトン「はぁー?しょーもな!そんな下等生物と一緒にすんなや!とりあえずな、まずはまとめブログでもやろうかと思っとる。その次はユーチューブとかやな。」
トロオドン「まとめブログなんて古典的すぎるわ…何番煎じやねん…ユーチューブも先客おるやろ…」
トロオトン「アホぉ!ボケェい!温故知新って言うやろが!そんなことも分からへんのか!という訳でな、これからはネット叩きで食ってくから仕事辞めてもうたわ。なんせインターネットに四六時中張り付いとらんとネタは取れへんからなあ。」
トロオドン「はぁ!?仕事辞めたん!?オカンが知ったらマグマダイブさせられるで!?」
トロオトン「うるさいわボケェい!女はな、半歩下がって着いてくりゃエエねん!漢の勝負に口出しすなや!」
トロオドン「オトンが炎上発言してどうすんねん…あー、もう我が家は終わりや…」
〜一ヶ月後〜
トロオトン「おい!これ見てみぃ!有名人をまた炎上させてやったわ!みんなコイツのこと嫌いやったんやなあ〜(^^)」
トロオドン「ウワァ、めちゃくちゃ色んなこと言われとるやん…これ訴えられるヤツとか出てくるんちゃう?」
トロオトン「そんな訴えられるようなアホのことなんて知るか!…いや、そいつらのことも取り上げて、叩かせてPV稼げばまたボロ儲けやんけ!来月もまたチー牛食えるで!良かったな!」
トロオドン「チー牛なんて高くないやん…どうせなら鰻食いたいわ…それはそうと、そんなん上手くいくんかなぁ…」
〜半年後〜
トロオトン「おい、なんか政治家とか取り上げて叩かせまくってたら、遂に叩いてる奴らが自分たちで政党作り始めたぞ!こりゃオモロイなぁ…でもどうせコイツらも粗探しすりゃネタの1つや2つくらいあるやろ!」
トロオドン「大丈夫なんかそれ…烏合の衆やし何もできへんやろ…」
トロオトン「知るかボケェ!ネタになりゃ何でもエエねん!」
〜1年後〜
トロオドン「なんかオトンのまとめブログ引用して『今こそ民衆の力を見せるとき』『立ち上がれ』とか言ってる奴おるで…」
トロオトン「ハァ!?そんなキチ○イ相手にする必要あらへんわ!」
トロオドン「でもこの人結構バズっとるわ…それに最近、政治家襲撃したり官公庁に乗り込んだりしてるヤツがおるってニュースもあったしなぁ…」
トロオトン「そんなモン考えてもカネにならへんやろ!しょーもな!
トロオドン「…」
〜そして、月日は流れ〜
(オトンの作り出したムーブメントは、人々を焚き付け、それはやがて大きな渦になってもうた。)
(その渦はまたたく間に三重を、そして国を飲み込み、最終的には世界をも飲み込んでしもた。)
(各国の行政システムは崩壊し、街には体が闘争を求める暴徒が溢れた。)
(全てがオトンの手から離れ、オトンには到底手に負えない怪物と化したんや。)
(事態の終息を図った各国首脳は世界規模でEMPによる電子機器の破壊を行った。)
(その結果、人々はインターネットに接続する術を失って孤立し、暴徒たちも政府により鎮圧されていった…)
(だがその代償は大きく、人々の生活水準は20世紀前半程度まで後退してしまった…)
(ワイは今、奈良に移って日々畑を耕したり家畜を育てながら自給自足の日々を送りつつ、仏師として仏を日々彫り続けている。)
(コレがオトンのしたことに対するワイの贖罪…なんてことは微塵も思ってなく、フィギュアやプラモが手に入らんから代わりに彫ってるだけや。まぁコレはコレで悪ないなぁと思っとる。)
(そしてオトンがどうなったか…それはワイにも解らん。最後に見たオトンの姿は、EMPが発動する瞬間に家の屋根の上で仁王立ちするオトンの姿やった。)
?????「おーい!」
トロオドン「!?」
?????「トロオドンよ、父さんな、強盗(タタキ)で食ってこうと思うんだ」
− 終 劇 −
あとがき
この記事はトロオドン怪文書アドベントカレンダー Advent Calendar 2022 - Adventarの記事になります。
今回、生まれて初めてアドベントカレンダーなるものを書かせていただいたのですが、先にタイトルを決めてしまったばっかりに、内容をそれに合わせようとかなり四苦八苦しました…笑
なんか今回のアドカレでは複数記事書いてる人もいるみたいですね。まぁとても大変そうなので、ボクには中々真似できないなーって思っちゃいますね笑
また来年もあったら書かせて頂こうと思います!
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
拝承
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