愛すべき我が友人Tの話① ~奇跡のボケ5連発~
この話は、これまでにも何人かの人には披露したことがあると思います。基本的に、いつもは私がしゃべって伝えている話なのですが、noteという存在を知り得た今、文章として残してみようと思い至りました(笑)。
友人T君とは、小学生の頃からの付き合いをしています。社会人となった現在でも交流の続く、数少ない友人の1人です。彼は、いわゆる五教科の勉強の類はあまり得意ではありませんが、皆を盛り上げてくれるとても面白い人間です。
そんな彼が残してきた数々のエピソードの中から、よりすぐりの2つを、それぞれ記事にして紹介したいと思います。今回の“奇跡のボケ5連発”は、その第一弾です。
話を進めていく上で、友人Tという表記では分かりにくいので、以後Tのことは“タナカ”という仮名表記にさせて頂きます。
ことの始まりは、今から10年以上前。大学生だった当時、タナカが、「少し時期は早いかもしれないが、花見をしないか?」と持ちかけてきたのが発端でした。タナカは、皆で楽しめるこういった企画を考えて実行するのが大好きで、今回も例によってタナカが言い出しっぺとなったのです。
その後、花見の計画は実現される運びとなりました。方々に呼びかけたところ、私やタナカを含め、5~6人の参加者が集まりました(なお、残念なことに、全員野郎ばかりでしたが笑)。全員同じ大学の、気のおけない仲間たちでした。
いよいよ、花見を実行する日になりました。まずは、軽く腹ごしらえをしてからということで、ラーメン屋に寄りました。この時、食事をしている最中の会話の中で、タナカの1つ目のボケが炸裂しました。
何かの流れで、“卵かけご飯は美味い”という話になった時のこと。それを耳にしたタナカは、「え~、卵かけご飯ってそんなに美味いかぁ?」という反応を示しました。元々タナカは、白米に何かを混ぜて食べるのをあまり好まなかったようです。すると、メンバーの中でも卵かけご飯が大好きという奴が、「お前は卵かけご飯のことが何も分かっちゃいない!」と、色々力説を始めました(めんどくさいですね~笑)。
話が進んでいく内に、自分以外の全員が卵かけご飯肯定派だと理解したタナカは、早めにこの話題の幕引きを図ろうと考えた様子でした。ご飯に何かを混ぜて食べるのは好まないが、ご飯に何かを乗せて食べるという条件であるならば、自分でも食べられるメニューがあるぞ、と、彼は説明したかったらしいのですが・・・(この時、タナカが何だったら食べられると言ったのかは忘れてしまったので、ふりかけということにしておきますね)。
タナカは、
「卵かけご飯は厳しいけど、ふりかけご飯やったら、まだ妥協して許せる」
と、おそらくはこう言いたかったのでしょう(笑)。そんなタナカが周囲の者に発した言葉は、
「卵かけご飯は厳しいけど、ふりかけご飯やったら、まだ挫折して許せる」
・・・というものでした(笑)。
「なんで挫折せなアカンねん!」
「お前はご飯に何か乗っけて食べるとかそんなレベルの話で、毎回心折られとるんかw」
「それを言うなら妥協と違うんか!w」
といった具合に、総ツッコミが入ったのは言うまでもありません。彼の中では、挫折するレベルで深い話だったのかもしれませんね(笑)。
食事を終えたところで、次は酒やツマミなどの買い出しへ出向きました。そこそこの大きさの段ボール一箱分に飲食物を買い揃えたあと、前線基地となるタナカの家へ(目当ての花見スポットは、タナカの家の近くでした)。花見スポットのすぐ近くには駐車場が無いため、タナカの家から歩いて行こうという流れでした。
タナカの家で最終調整をしている時、私は、あることに気付きました。ブルーシートに代表されるような、敷物の類が用意されていなかったのです。
花見スポットにはベンチもなくはないのですが、そうあちらこちらに設置されているわけでもありません。いわゆる一般的な花見のイメージよろしく、樹の下にシートを広げて、そこへ座って楽しむというのが基本だと思いました。
ですから私は、タナカに、ブルーシートか何かないのかと尋ねました。タナカとしては、家の中を探せばどこかにはあるだろうけど、今からゴソゴソと探し物をしていたら時間ももったいないし・・・と思ったようです。ここで、タナカの2つ目のボケが炸裂しました。
タナカは、
「今からシート探してくるのもダルいし、その場へ座り込んだらいいやろ~」
と、おそらくはこう言いたかったのでしょう(笑)。そんなタナカが周囲の者に発した言葉は、
「今からシート探してくるのもダルいし、その場へ滑り込んだらいいやろ~」
・・・というものでした(笑)。
「なんで滑り込むんや! スライディングとちゃうんやぞ!w」
「俺ら花見しながら桜の下で野球でもするんかいw」
「そんな落ち着けやん花見、嫌やわ~w」
といった具合に、総ツッコミが入ったのは言うまでもありません。座り込むと滑り込む・・・似てなくは・・・ない?(笑)。
そんなこんなで、そろそろ本当に出発しようとなった時。今度は、荷物を誰が運ぶのかという話になりました。タナカとしては、全員平等にジャンケンをして、負けた者が二人一組になって段ボールを運び、次の電柱まで到達したら再びジャンケンをして・・・という、小学生の荷物運びゲームのような感じでどうだろうと提案してきました。
それ自体は別に問題なかったのですが、「そもそも今回の言い出しっぺはタナカなんだし、まず最初の運び手はタナカがやれよ」という意見が挙がりました。しかし、タナカはそれを拒否。「そこは全員が本当に平等になるようにジャンケンにしよう」と譲りません。今考えれば、クソしょうもない話ですね(笑)。
タナカは、この流れを早急に変えようとしました。パッと見で私物の少なそうな、いかにも手が空いていそうなメンバーにゴリ押そうとしたのです(笑)。・・・まぁ、タナカの気持ちは分からなくもありませんがね。
ここで、タナカの3つ目のボケが炸裂しました。タナカは、皆に向けてこう言いました。
「この中で~、“両手に”何も持ってなくて、手が塞がってない人っ!」
ちなみに、当時のメンバーの見た目について軽く説明しますと、
・ショルダーバッグやリュックといった類の荷物を持ってきている人
・財布や携帯をポケットに入れているだけで、カバンらしき物すら持ってきていない人
しか居ませんでした。・・・つまり、全員両手が空いているという事実は、見た瞬間に判断できることだったのです(笑)。またまた、タナカに総ツッコミが入りました。
「お前の言う手ぶらやったら、全員手ぶらやんけ!」
「どう考えても、聞くまでもなく見たら一瞬で分かるやんそれ・・・w」
「つまり、全員平等に両手が空いとるから、タナカも入れてジャンケンやなw」
結局、タナカを含め全員参加のジャンケンとなり、しかもタナカは、一発目から荷物を運ぶことになってしまったのです(笑)。
荷物運びの段取りもついたところで、花見スポットへ向けてやっと移動を開始しました。すると、徒歩になってからの道中で、メンバーの1人であったKのテンションが、段々と下がっていっていました。
というのも、最初の方でも触れましたが、本格的な花見シーズンよりかは少し早い時期だったので、そこそこ肌寒かったのです。そんな中、Kはたまたまこの日厚着をしてこなかったのと、体型が細身だったがために、余計に寒さが堪えた様子でした。
「寒い~」と連呼するKを見かねた他のメンバーが、自分が身につけていた手袋や帽子といったグッズをKに貸し与えていきました。そうしてどうにかこうにか、Kの「寒い~」の数も減っていったのです。ただし、寒いこと自体には変わりなかったので、Kは相変わらずテンションが下がり気味で、普段より口数も少なくなっていました。
しばらく歩いて、目的の花見スポットへ到着しました。数は少ないながらも確かに桜は咲いており、我々以外にも、ちらほらと花見客の姿もありました。・・・ただ、この頃には、K以外のメンバーの間でも、さすがにちょっと寒いのではという意見が挙がり始めていました。
その様子を見て、タナカは危機感を覚えたようです。このままでは、せっかく花見に来たのに、すぐ撤収となってしまう恐れがある。そうなっては企画倒れとなります。そこでタナカは、さっさと手頃な場所に陣取って、有無を言わさず花見を開始してしまおうと動き出しました。
1人で荷物を持って、ずんずん進んでいくタナカ。その後を追う他のメンバーたち。相変わらずKは寒そうにしていて無言傾向です。どこへ腰を落ち着けるのかな~・・・と思っていると、タナカが、ある樹を目指して歩みを進めていることが分かってきました。
ただ、その樹というのが、どう考えても花が咲いていないのです(笑)。そこへ辿り着くまでに、花の咲いている桜は何本もあったのですが、なぜかタナカはそれらを全てスルー・・・。しかも、目指すその樹は、桜でもなさそうな気配が(笑)。
まさかな~と思っていたら、その予感は的中しました。タナカは、花も咲いていないその樹の下で歩みを止めて、荷物を降ろしました。そして、後を追っていた我々の方を向いて、自信満々にこう言いました。
「よし! この桜の下で花見するぞ~!!」
タナカの4つ目のボケ炸裂は、この全くもって謎な樹のチョイスでした。しかも、その周囲にさえ、まともに花が咲いている樹はなかったのです・・・(これだけは、本当にどうしてこういうチョイスだったのか、未だに分かりません笑)。
と、次の瞬間。それまでテンションダダ下がりだったKが覚醒して、見事とも言うべきツッコミを入れました。
「これ梅やんッ! しかも咲いてないやんッ!!」
Kの至極まっとうな、しかも切れ味鋭いツッコミを聞いて、皆して大笑いました(笑)。タナカはKの覚醒っぷりに驚いていましたが。
すぐさま場所を変更して、ようやく花見が始まりました。・・・が、やっぱり少々時期をフライングしての花見だったために、本当に寒くなってきてしまいました。しかも、風まで強くなってくる始末。いよいよこれは、花見どころではなくなってしまいました。
必死に盛り上げようとしていたタナカでさえ、これはさすがに無理か・・・という反応を示し始めました。また、普段酒飲みのKは、寒いからと全然酒が進まず、先程のツッコミを入れた姿が嘘のように静まり返っていました(雪山で遭難している人状態でしたね笑)。
花見を開始して早々でしたが、結局我々は、花見スポットから撤収することにしました。桜の花は無いけれど、タナカの家で飲み直そう・・・と話がまとまり、来た道を戻り始めました。
帰りの一発目の荷物運びは、タナカとSというメンバーのコンビでした。Sは、どちらかというと感情をあまり表に出さない、落ち着いたタイプの男でした。それでいて、体つきも良かったため、なんだかモアイ像にも似ているな~と思ったこともありました(ちなみに、本人はそれを聞いて「俺は石か」とツッコミを入れていました笑)。
暖かい場所へ行けるということで活力を取り戻したKを筆頭に、先へ先へと歩みを進める中、荷物運びの2人が妙に遅いことに気付きました。いくら段ボールを持って運んでいるとは言え、なんだか様子がおかしい・・・。
私は、「あれ、あの2人ちゃんと来とるか?」と他のメンバーに声を掛けました。たまたま私を含め他のメンバーも、その時までは後ろを気にしていなかったのです。私の一声を合図に、一斉に後ろへ振り返ってみると・・・。
タナカ「♪ジャンジャカ ジャンジャカ ジャンジャカ ジャンジャカ・・・!」
道路に設置された車止めのポールをくぐって通り抜けてやろうじゃないかと、陽気にセルフBGMを口ずさみながら、リンボーダンスの体勢に入っているタナカの姿がそこにはありました・・・(笑)。
イラストにも描いたように、彼は段ボール運びの最中ですから、片手で段ボールを持ちながら・・・ね(笑)。ペアを組んでいるSも、寒いからさっさと戻りたいはずですが、タナカのリンボーが終わらない限りは先へと進めません。
何をやってんだマジで~・・・と、今日何回目かの総ツッコミが入ろうとしていた、その時でした。普段物静かで、滅多に感情を表さないSが、ついに一言!
「・・・お前死ねぇ~!」
この日最強クラスの、タナカの5つ目のボケ炸裂とともに、Sの魂の叫びを耳にしたメンバーたちは、もう笑えて笑えてどうしようもありませんでした(笑)。
・・・いかがでしたでしょうか。この後はタナカに家に無事たどり着いて、ワイワイと飲み直しをして過ごしました。大学生の頃は楽しかったです。
このエピソードは、10年以上経った今でも忘れることが出来ません。何かあると折に触れては、ネタ話としてこれを語ることにしています。私の持ちネタの1つですね(笑)。
次回は、もう1つのお気に入りエピソードである“最強のネーミングセンス”という話を書こうと思います。