フットプリントを綺麗に実用的にとる方法
こんにちは!コバ靴店のこばです!
今回は、【フットプリントのとり方】です!
かなりマニアックな内容で、対象は
現在フットプリントを使っている、これから使う予定のある
・靴屋
・シューフィッター
・中敷き調整や製作をする方、予定している方
に必要な情報です。
昔から使われているフットプリントをなぜ今更題材に上げるの?
っと思われるかもしれませんが、これには理由が3つあります。
1 フットプリントのとり方を教える教材がほぼ無い
2 上手く取れている人が非常に少ない
3 とる意味を明確に理解していない
これは全て直接的な関係で結ばれていますね!
教わる教材がないので
上手に出来ないし、なんのために取るのかを理解出来ない。
フットプリントは一般的に【足圧】や【形状】を見るために使用されます。この範疇だけで収めるのであれば、そこそこ形が取れていれば十分なのかもしれません。しかし、少しでも中敷きに関与させるのであれば、製作の絶対的な基準となる【踵周り】を上手にとる必要があります。
それは、踵が中敷きを設計する基準となるからです!
基本的にパットの位置を決める際は
踵~目標部位まで何cmという風に考えます。
このように基準を決めて考えないと、
折角フットプリントに緻密に作図した情報であっても
中敷きに転写、反映させるのが非常に難しくなります。
例えば、このようにフットプリントをとったとします。
この場合、中敷きをどこに合わせてフットプリントの情報を中敷きへ転写しますか?基準がないので、どこに合わせていいか分かりませんよね?
正直なところこれは、感でやっている人が非常に多い部位です。
基準がないので、正確に合わせる事ができません。
それだけでなく、きちんとあっているのかの確認も出来ません。
だって基準がなく、感に頼っているから。
これでは、再現性が非常に低いだけでなく転写がズレる可能性が非常に高くなります。例え0.1ミリ単位ぐらいで細かく設計したとしても、基準がないことで、そもそもの転写が数mmとか、5mmズレていたら全てが大きくズレます。
あなたの努力は何の意味もなさずに、失敗作となるのです。
これは慣れもあるのですが、基準がしっかりととれていたら、測らなくても一定の法則でフットプリントに中敷きを置くだけでほとんどズレる事なく転写もできます。これによって、早く、正確に中敷きが作れるのです。
フットプリントで踵を上手にとれないと中敷きを作っても失敗しやすいし、同じものを作って!っと言われても再現できません!
なぜか?それは、【フットプリントを綺麗にとれていないから!】
フットプリントから中敷きを製作するというのは
実際の足 → フットプリント →中敷き
とワンクッションをおくという事です。
伝言ゲームのように、正確に足の情報を中敷きに伝えないといけません。
伝言ゲームと違うのは、失敗したら笑い事ではなくなるという事です。
しかも、基準がとれていないのであれば、それは無理ゲーとなります。
そうならない為にも、今回は
この程度フットプリントを上手にとる方法をお伝えします!
ご購入ありがとうございます。
まずは、なぜ踵を基準にするのか?という解説をします。
踵は症状などで変形している方が少なく、多少触っても動きません。
これに尽きます。
足の踵以外の部位だと変形をしていたり、動きやすいので適しません。
指先が特にそうですね!指先を基準にすると、中敷きの【捨て寸】も必要になります。
変形や動き、指の浮き方、中敷きの捨て寸を加味して作るのは
非常に難易度が高いです。難易度が高いからといって、それをクリアしたら特別良いものが作れるわけでもありません。
お客様のためにも、指先を基準に中敷きを製作するのはおすすめしません。
では、どのようにフットプリントをとるのか。。。。
の前に、まずはしっかりと道具と道理を確認しましょう!
フットプリンター付属のスクライバーを基準に考えます。
わたしが使っているのは、バウアーファインド社のフットプリンターでこのようなスクライバーです。
この棒を足に沿わせて当てて、輪郭をとるのがフットプリントですよね!
では、この棒のどこを地面に当てて採型しますか?
おそらく、ほとんどの方が【細い方】を地面に当てていると思います。
個人的に思うのは、細い方は上級者用、太い方は初級・中級者用です!
ですので、上手く形をとれない方は、まず【太い方】を地面に当てて使いましょう!
そして、慣れたら細い方を使いましょう!
いや、太い方だと位置がズレるし線が極太になるじゃん!っと思った方は
この棒の形状をよく見てみましょう!
どうでしょうか?
確かに、太い方が先端もやや太めではありますが、支障をきたす程度の変わりはないと思います。どちらにしても、先端がある程度細くなっているのですが、
細い方は思ったよりも細くなっておらず
太いほうは思ったよりも太くなっていません。
そしてこれが、実際の線です。
正直あまり変わりません。
また、細いほうだとこのようにスクライバーの先端が足の内側に入りやすく、不安定になりがちです。つまり、
線がブレて見栄えも悪く、失敗しやすくなります。
しかし太いほうだとこのように
足に沿わせても安定感があり、多少動かしても棒はそんなにズレません!
つまり、失敗しにくいのです!
フットプリントで失敗する多くの原因は、
【スクライバーの足の内側への入り込み】です!
特に踵は
・丸く
・下に行くほど細くなっている事が多く
・実際に目で確認できない体勢で取らざるをえない事が多い
ので踵の輪郭で失敗する方が非常に多いです。
しかし、失敗をすると中敷きにも大きく影響を受けるので失敗したくないエリアですね!
慣れないうちは、まずこのように失敗しにくい太い方から使い、適正な感覚を掴みましょう!また、太いほうだと足へ押し付けすぎて、実寸よりも狭くとれてしまう機会も軽減します。
圧力=力÷面積です。
太いと単純に面積が広がって圧力が減るので、足へのめり込みが軽減します。これも、太い棒の効果ですね!
しかし、実際の輪郭よりやや大きくとれてしまうのが太い棒の欠点です。
ですので、対策や考え方としては
太い方の線の内側 = 細い方の線の外側
という風に捉えたり、そもそも全体的に約1mm太くなっている!
だから、中敷きの調整をするときはそれを加味する!という風にすると、太い方でも安定した成果を挙げられます。
とは言っても、人の足は朝晩で5-10mm差が出る!
っと言われています。そもそもどの時間帯の足に合わせるかで大きく変わりますので、気にしなくても良い!っと言ったらそれで収まる範囲なのかもしれません。
スクライバーの
細い方は0点~100点をとれる。
太い方は70点~90点をとれる。
このように捉えると良いと思います!
スクライバーで踵を上手にとる方法
基本はスクライバーが地面に対して垂直で、足に沿わせる。
踵以外はこれを意識し、太い方を使うことでだいたい改善すると思います。
しかし、それでも踵をとるのはやや難しいです。
それは、くるぶしや脚があるからです。
場合によってはどうしても、干渉してしまいます。なので、踵をとるときは
このように必要に応じて線がズレないようにスクライバーを傾かせます。
わたしの場合は、まず踵の外側からスタートし、踵の内側~親指~小指まで時計回りになぞります。つまり、最初に踵周りをぐるっと撮ってしまうのです。そして、一旦手を離し踵の外側から反時計周りにスタートして小指まで繋げます。
正直なところ、慣れの要素が大きいです。練習しましょう!
しかし、道理を知って練習するのと闇雲にやるのとでは成果が異なります。
踵の輪郭を上手にとれるようになると
・製作した中敷きが思ったとおりの効果を発揮する
・再現性が非常に高くなる
・見栄えが良い!
っとなります。
特に、見栄えの良し悪しはフットプリントを知らない人に見せた時にも
より、プロらしい印象を与えることでしょう。
単純に思えるフットプリントも意外と奥が深いものです。
踵をきれいにとることで、あなたの中敷きが精確さを増しグレードアップします。
フットプリントの事で疑問点などありましたら、
TwitterからDMをください。お答えできる事は必ずお応え致します。
こばでした!