義肢装具士を目指す学生に見て欲しいアニメ
こばです!
義肢装具士免許という医療系の国家資格をとって10年以上経ちました。
義肢装具士というのはざっくり
義手
義足
サポーター
コルセット
足底挿板(インソール)
医療用の靴
その他(医療用の道具諸々)
などを国の保険で採型~製作をする仕事です。
医療用の道具でカラダを支える専門職みたいなものです。
大変な仕事ではあるのですが、老婆心ながら
学生さんにアドバイスしたいことが1つだけあって
義肢装具にもっと興味を持って欲しい!
ご縁があって学生さんと話す機会があったのですが
もっと踏み込んで楽しんで欲しい!!
という思いが溢れてきました。
昭和の3K(きつい、きたない、きけん)が色濃く残る
義肢装具業界では、楽しまないとやっていけない部分が多々あります。
ここを乗り切るモチベーションは自分で作らないと正直厳しい。
わたしもそうですが、知っている限りでは同期の半分は
早い段階で別の業種で働いています。
1期上下もだいたいそう。
この定着率が悪いもの!だとは言わない。
でも、少なからず同じ未来をたどる可能性の高い君たち学生さんには
せめて楽しんで欲しいという気持ちがあります。
※これは以前解説しました。
長くなったけれど、アニメを見て義肢装具にもっと興味を持とう!
楽しめるものが増えると技術も知識も上手くなるよ!
おすすめ
機動戦士ガンダム サンダーボルト
戦力豊富で 優勢な連邦 vs 劣勢なジオン
いわゆる宇宙世紀末期の話で、劣勢ながらも最後の補給路を命がけで守るジオン。人や物資が少なすぎて、戦傷者に義手や義足をつけて戦わせないといけないほど疲弊している。
そんな義手や義足の彼らが操るモビルスーツには
どのような構造が必要なのか?
どのような義手の形だと戦い抜けるのか?
という点に注目してみるのも面白いし、自分ならこうする!
という妄想ができると非常に楽しい。
また、これ以上は普通にやっても連邦の
凄腕のパイロット+最新のモビルスーツには対抗できない
となった時の最後の手段。
リユース・サイコ・デバイスを搭載した
サイコザクの起用は義肢装具士としても考えさせられる。
リユース・サイコ・デバイス
複雑なモビルスーツの操作を隻腕で行うのは難しい。
でも、四肢を切断し、筋電義手のように筋肉のパルスを機体に直接繋ぐことで熟練のパイロットのように機体を動かせるようになる。
という悪魔の所業。戦争のために四肢を切断される背景と筋肉を使うことのメリットなどを考えるきっかけになもなる良アニメ。
OVAでも4話
映画では70分なので
さくっと見れるのが良き
メイドインアビス
性癖が歪む可能性があるけれど義肢装具士的に非常に面白い
オタキング岡田斗司夫さんも絶賛しているアニメで
幼児っぽい絵柄ですが、これじゃないと見ていられない内容が豊富です。
人はネタバレを見に行く生き物
という説を信じてネタバレを書くのですが
途中で主人公のリコが腕を切断して!と懇願します。
これは、腕の毒が全身に回って死ぬことを避けるためなのですが
切り取りやすい「肘関節」ではなく「前腕の中頃」で切ろうとします。
なぜか分かりますか?
そう、前腕が少しでも残っていたらやれることが増えるからです。
上腕と前腕を切り離すように切ってしまうと、
動かせるのは肩の動きだけになってしまう
前腕を残すことで肘を曲げる動作ができる!
これは、冒険家として諦めずに続けるための心がそうさせると思うのですが、前腕の中頃で切るためには、一度そこで骨折させないと難しい。
骨は固いから。
切断する患者さんは少ないけれど、このような似た苦悩が誰しも
あることを念頭に入れて対応すると
もっとできることはないかな?
と熱く興味を持てる。
結局、切断を免れるのですが左上肢は親指しか動かせない。
それが悪いイメージではなく、これからも冒険を続けられる!という
生命賛歌な一面がとても強い
これは、現実の障害者の方々にどれだけ力を与えているんだろう。
同じ気持ちになれ!というのは同じ体験をしていないので厳しい。
でも、乗り越えたり、受け止める手伝いが道具でできる義肢装具士は
中々に面白いですよ。
何でも良い。仕事に興味を持つと
もっともっと楽しく、やりたいことがでてくるよ。