映画「天守物語」
大学の研修旅行を延泊して、ひとり京都にのこったときのこと。
ぷらぷら散歩してたら南座にたどりついた。ちょうど玉さんの公演がはじまるらしい。かねてから1度ぐらいみてみたいと思ってたので迷わず入った。
「アマテラス」という演目だったのだけど、普通の劇とちがって、だいたい玉さんでてるので私のニーズにドンピシャ。ちょうど和太鼓ユニットとのコラボで、太鼓ずきな私にはうってつけでした。そしてなにより、古文めちゃ弱なあかほしでもついていける易しい内容。彼の舞台でいちばん好きです(つっても2、3回しか見てないけど)。
おもしろかったのは鑑賞後だった。
席を立つと、すっかり「あ〜うつくしかった〜」なからだになっていて、いつもと違う姿勢や歩き方のまま鴨川へ(景色もちがってみえて、普段全く覚えないじぶんの服装まで覚えている。わたしには珍しく、カメラで撮ったような、映像的な記憶)。
きっとそれまで、ずっと写真でみてきた玉さんを、はじめて肉眼で、彼の動きをむさぼるようにみた結果だろう。
写真でトリミングされた一瞬。その前後は、イメージで補うしかなかったのだけど、そういった想像でつくられた積極的なスペースが、じっさいの彼の動きでジュウジュウと受肉していくかんじ。その「理解」のプロセスに、わたしのからだも参加した結果だろう。鑑賞中もじぶんの居住まいが内側からゴワゴワと変化していくかんじを楽しんでいて、立って歩いたら案の定感覚がかわっていた。
これまでいろいろなおもしろ歩行体験をしてきたが、この「玉さん散歩」はおもしろ3本指にはいる。
ってことがあったな〜、と懐かしみながら、やっぱり古い日本語ぜんぜんわからんかったので、プリミティブに玉さんのすがたをたのしみました。泉鏡花ってまだ読んでない気がするけど、あんがいお茶目っすね。けっこうこまめにギャグが入る。
海老ちゃん扮する青年のいさぎよさに、玉さんが「すずしいねえ」と言うシーンがすきでした。
冒頭の作品解説で、玉さんが「鏡花作品で描かれる女性は、男性である鏡花の理想が投影されているように見える。だから、女性として描かれているけど、なかみは男性に近いように思う」みたいなこと言ってて、へ〜と思った。
https://www.shochiku.co.jp/cinemakabuki/lineup/1736/?fbclid=IwAR2NM-jeSLExvIq5V4RPRveqMmdz7OryojdoLgKU3yTyKFJseMlBdkj-vS4