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6月の読書
今月はNHKの「理想的本箱」で紹介された本を中心に読んでみました。
引き続き、同番組で紹介された本は読んでみたいと思っています。
あと、最近、YouTubeで「ゆる言語学ラジオ」というのを聴いていて、面白いと思ったテーマについての本も読んでみたいです。
6月、引き続きあまり気分が上がらなかったのですが、それでも本を読む気になれたのはうれしい。
永遠についての証明
才能はあるけれど繊細な数学者が破滅に進んでいくという、小説にはよくありそうな話。ストーリーだけを紹介すると「なーんだ」と思ってしまうが、ちゃんと最後まで読んでほしい本だ。
主人公をはじめ、登場人物の気持ちがとても細やかに描かれていて、共感する箇所多数。しかしそれだけではなく、これまで縁のなかった数学の世界の美しさに触れる驚きもあって、ジェットコースターのような読書体験であった。
なんやかんやでほぼ一気に読了してしまった。
十皿の料理
心の中に情熱を持ちながら、しかしゆっくり、着実に、愚直なまでに料理と向き合う姿勢は著者の素晴らしい仕事につながっていく。
出てくる料理はどれも美味しそう。
フランスに行って、どのように料理という仕事に向き合ってきたか。くじけそうなときどのように支えを見つけてきたか。著者を取り巻く素晴らしい人々。紹介されているレシピにたどり着くまでのエピソード。どれもほんとうに興味深く、そして背筋が伸びるような気がするのです。
いい本だった!
女の一生
NHK理想的本箱では、人生相談として紹介されていたのですが、これは伊藤比呂美さんの自叙伝だと思いました。
実際のアドバイスより、背中をみて何かを学ぶ。人間とはそんなものかもしれない。
spring
すっごく期待して読んだが、まあ期待通りだったともいえるし、期待外れだったともいえる。
バレエの描写にはワクワクした。まるで自分が実際に舞台を鑑賞しているような、次は何を、どんな振り付けで見せてくれるのだろうという気にさえもなった。小説なのに!
しかし、主人公はいわゆる天才。ルックスも技術も振り付けの才能もあって。そんな主人公がトントン拍子でうまくいく話であるから、なんというか私的にはちょっと物足りなかったです。バレエの世界自体が、そういうものなのかもしれないのだけれど。ちょっとキャラ萌えが過ぎるというか、そんな気がしました。
でも、また著者のバレエの話は読みたいです。圧倒的なバレエ愛と、バレエ周りの知識と素晴らしい描写には、また読みたいという欲求は抑えられない。
使える儒教
まず、この本を書いた人が、能楽師であるということが驚き。冒頭から「心のプログラミング」という言葉が出てきたりと、これまで私が持っていた「儒教」のイメージからは離れて、本当に「使える儒教」でした。
内容はとても分かりやすく、都度都度に読み返したい本です。
水車小屋のネネ
最近多い、虐待が絡んでくるお話だったので少し敬遠していたけれど、あたたかい話だった。
こういう作風が好きなせいか、かなりひいき目な感想になってしまうがとても良いと感じた。
別に感想を書いたので、ここではこのくらいで終わります。
天才たちの未来予測図
その人が語ったことを文字に起こす形式なので、難しいことはなく、わかりやすい。
この人たちは、世界が認める天才であるが、その天才といわれる才能で、自分だけがよくなろうというのではなく、この世の中がどうやったらよくなるんだろうかと考えているところがすごいと思う。(私だったら、これだけの才能を持っていたら、自分のお金儲けのためだけに才能を使ってしまうだろう。)
4人目の内田舞さんは、小児精神科医であられるが、これからの時代、メンタルケアもかなり重要な位置を占めてくるからこの人選なのか。確かに、社会は個人が集まって作るものだから、心のケアや心の持ち方はこれからの社会で重要な位置を占めてくるのかもしれない。
あと、斎藤幸平さんのマルクスの話も興味深かった。でも、個人個人が考え方をこのように覆すのって簡単ではないとも考えた。
理想郷は果たして実現できるのか。万人にいい社会というのは難しいのでは。など色々考えながら読んだ。
以上です。
特に「永遠についての証明」は読んでいて苦しくなるくらい切なかったと同時に、初めて数学にロマンを感じました。
主人公が見ていた世界はどんなだっただろう。と想像するたびに、世界ってもしかしたら人によって全く違うものに見えているのかも。という疑問が確信に変わりつつあります。