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朗読・二葉亭四迷『浮雲』⑰第二編 第九回 すわらぬ肚(前編)

ほぼ週一ペースで日本の著作権切れの作品を朗読しています。

今回は『浮雲』17回目。
作中では第二編 第九回 すわらぬはらの前編です。

【登場人物】

内海文三: 父を早くに失くし東京の叔父の家に居候中。痩せて背が高い。最近失業した堅物。
園田孫兵衛まごべえ: 文三の叔父。
まさ: 孫兵衛の妻、お勢の母。浮気者で大酒飲み。「ひ」を「し」と発音する江戸っ子。
せい: 園田家のお茶っぴぃ娘。小学校後に入塾したが、今年の春の暮れに退塾して家に戻って来た。英学を学んでいる。
いさみ: お勢の弟。現在は某校に入舎中で家には居ない。
お鍋: KYな女中。チョンボリとしたつまみぱなと日の丸の紋を染め抜いた頬の、ズングリムックリな生理学上の美人。
本田のぼる: 文三の元同僚。話がうまい中背の男。課長のご機嫌伺いに余念がなく、そのお陰か最近昇進した。

【これまでの『浮雲』】

お年頃の文三は一つ屋根の下に共に暮らす叔父の娘、お勢と良い感じ。
が!文三、仕事をクビに。
一方で元同僚の本田昇は昇進!
お勢はなんだか昇のことを気にし始めてきた?
悔しい無職文三、胡散臭い知人に頼んでみると翻訳の仕事を回してくれるかもしれず。。

【朗読】

第二編 第九回
すわらぬはら 前編

BGM: MusMusさん
活字で全部読んでみたい方は青空文庫さんや本屋さんでどうぞ!

【語彙】

番町: 東京都千代田区西部の一から六番町の総称。徳川家康が警護の旗本を住まわせた一帯
賄方まかないかた征討の義挙: 正義のため反抗する給仕の者を鎮めること (たぶんいさみのワガママだと思われ)
Bridlepathブライドルパッス: Bridleは馬具、pathは小道、馬を連れて行く用の道
索然さくぜん: 興味のないさま
モッケな顔: 不思議な顔
蹶然けつぜん: 勢いよく
磅礴ほうはく鬱積: 「磅礴」は満ちること。不平が溜まること
土芥どかい: 土とごみ、取るに足りない物
零丁孤苦れいていこく: 「零丁」は落ちぶれて孤独、「孤苦」は身寄りがなく貧しいこと
もん不通: 取るに足りないこと。「文」は江戸以前の最小貨幣単位。三文でも通用しないということから。
怜悧れいり: 利発

【あとがき】

またまたまた、むっつり文三の心の模様が煩わしいほどに語られる回でした。

前回登場した英国かぶれの石田なにがしさんとか、
習ったばかりの英語を話したい盛りの勇とか、
文明開化のこの時代、
海外の生活、アート、思想、いろんなものが人々の身近に押し寄せてきていました。

「恋愛」もその一つで。

これまでは清く美しい男女を主軸に、横やりが入ったりして悲恋に終る、みたいなのが一般的な恋物語でした。
が、ここに来て【三角関係】というものがトレンドだったそうです。
これがまさにお勢を挟んで文三と昇の関係ですね。

女もただ可愛く待つだけではなくなりました。
これぞまさに新時代!

文三は好きだけど、あまりに不活発。
昇進した昇にしとく?

お勢、ついに昇の方に気が向いて来たか!?
それとも単なる文三への当てつけ???

文三、昇へ品の良い悪口雑言を考えてる場合じゃないぞ!
巡査を疾視付にらみつけてないで、仕事見つけて来い!!!

ということで、続きは次回です。
よろしければまたお付合いください。


🍀🍀🍀
大前提としてこのようにいろいろ調べてるのは、あくまで朗読のためです。
専門家でも何でもないので、思い違い、読み間違えもあるかもしれません。一応自分なりに調べて自分なりの理解で読んでいます。
その辺はご了承ください。

何かお気づきのことがありましたらぜひぜひお教えいただきたいです。
今後の朗読に役立てていきます!

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