D進する気満々だったのにM2の10月になって就活を始めかけている話

もともと高校生くらいの頃から博士課程へ行くつもりだったのに、それを直前になって諦めようとしている。
9月下旬から目まぐるしく変わっていく将来への心づもり。
後々振り返ったときにこんなこともあったなって思うための個人的な備忘録。
正直、わかる人にはここでの登場人物が誰なのか分かってしまう。そんな方は誰にも言わずにそっとしていてほしい…

学振が不採用Cだった

研究はずっと好きだった。
人の研究であれ、自分の研究であれ、日頃の研究室での議論・ゼミ、学会の雰囲気が大好きだった。
M1の時点では自分の研究もそれなりに上手くいっている自信もあった。
学部時代は全く研究が上手くいかず、さすがに修士卒での就活を考えたりもしたが、
M1が始まる直前の3月にやっとこれといったテーマが見つかり、それが軌道に乗ったので、就活のことなんて忘れていた。

そんなこんなで、博士課程に進むんだ!と息巻いて学振を書いた。
申し遅れたが、私、および所属している研究室は行動生態学の実証系の研究室。
しかし、私は数理モデルも使っていた。これはほとんど独学で習得。
学振での推しポイントはこれまで行動生態学の実証研究であまり用いられていなかった数理モデルを用いることで、複雑な個体間相互作用を解析できるということだった。
平たく言えば、いい感じっぽい数理モデルがあるから本当に使い物になるか試してみるね、といったところ。
指導教員や先輩たちの評価はとってもよかった。落ちてもA判定だよといってくれた。
しかし、不採用でしかもC判定だった。

今となってみれば、不採用な理由もわかる。
実証研究的にはもう答えの出ている知見を使うだけだから、新しくも何ともない、学術的価値の低い研究計画。以上。
学振を書いているときからこのことは気がかりだった。でも方法論の研究だし、なにしろみんな褒めてくれたから。
まあでも向こう3年間の研究計画ができたわけだし、とりあえずでもやってればなんか新しい発見もあるだろうと楽観視していた。

これだけならよかったのだが、所属している大学のフェローシップにも落ちた。
これは予想外だった。というのも、定員をみるにまず8~9割は通ると思っていたからだ。
しかし、これはあまり言わない方がいい理由で落ちた (落とされた)
さあ、来年度からの研究費がない、どうしようと思っていた矢先、指導教員から突然の提案があった。

研究室を変えた方がいいんじゃないか?

指導教員から突然このように言われた。
嫌だった。
確かに、指導教員は数理モデルの指導はできない。
でも、研究室のみんなとの関係性、学科同期の博士進学予定のみんなとの関係は捨てたくなかった。
でも、研究計画の特性上、研究室を変えるデメリットはないし、変えるメリットは大きかった。
でも僕は1日中誰とも話さない日があると○んじゃうタイプだ。
なので、「もともと個人的に交流のあること」、「地理的にも心理的にも今の研究室に近いこと」を条件に進学する研究室を選定した。
そこで、ある数理モデルに強い研究室にコンタクトをとった。
メールの文面的にはぜひきてください的な感じだった。
なので、そこにいく決心がほぼほぼついた。
この頃には十円ハゲができていた。
そこまで今のコミュニティに愛着があったんだなと思う。

zoomでの手のひら返し

移るとなれば、博士課程での指導の接続も考えて修論添削から向こうの先生に見てもらうのがいいだろうとなり、指導教員ふくめてzoomで話した。
しかし、メールの文面とは打って変わり、やんわりと来ない方がいいかもよとしつこく言われた。
もちろん、建設的な理由が並んでいたので、納得せざるを得なかった。
指導教員もこれはいかない方がいいねとなった。
しかし、本当に悩むのはこれからだった。

研究計画の否定と博士進学への絶望感

先述したように指導教員は数理モデルに関する知識がない。
だから、僕の研究や研究計画のモデルに関する部分はよくわからない。
学振の評価が低かったのはモデルに欠点があったんじゃないかと思ったとのこと。
しかし、学会などに出向いても "よその学生さん" に手厳しいことを言ってくれる人はいないだろうから、モデルに詳しい人のところに行きなさいというのが、指導教員の主張だった。
そういう事情もあって、先ほどのzoomの際に指導教員は、このことを向こうの先生に聞いた。
色々思慮を巡らせながら答えてくれていた印象が強い。
これで指導教員も僕も、そもそもの研究計画およびこれまでの研究スタイルが誤っていたと気付かされた。

これからどうしようかと思いながら、指導教員と相談していたところ、こんなふうに言われた。
「うちに残って、博士課程をしたいなら実証研究をするしかない。普通、実証研究者は対象種があって、ちゃんと研究材料にするまでに1年くらい試行錯誤して形にしている。でも特に対象種もない今の状態では3年間で学位を取るのは厳しい。」
たしかに、そうだと思った。続けてこう言われた。
「理論研究ならまだ間に合うんじゃないの?」
はっきり言って、僕はモデリングもこれから博士に進学する者としては知識が無さすぎる。
その時は言葉にできなかったが指導教員はその意図を汲み取ったのか、
「理論の研究室で研究生で1年やって、それから博士でもいいじゃん。そうすれば博士課程自体は2年で終われるかもしれないし。」
と言ってきた。

ここで気づいてしまった。
理論・実証のどちらへ行こうと研究室のお荷物博士になると。
もし仮に教育熱心で寛大な先生がどこかにいたとしても、後ろめたさで病むんじゃないかと思った。
「どこにも行くところがないならうちに進学すればいいけど」と指導教員は最後に付け足したが、もう博士に進学したい気持ちは失せた。
就活モラトリアムにもならない感じがした。

博士進学が絶望的な選択肢に見えてきた僕はほとんど抜け殻になったも同然で、いわゆる鬱っぽい症状が出ている (集中できない、興味が出ない、面白いと思わない、極度の食欲不振、なんか辛い、睡眠障害)。
今のところ幸い、自○願望はない。自傷行為にも及んでいない。
こうなったら就職を考えるしかないと思い、今更ながら就活サイトに登録し始めたわけである。
むろん、就活開始には遅すぎるのだろうが、ひとまず情報収集せねばといった感じである。

それでも博士に進学する可能性はないのか

これだけは言えるのが、研究とか今の専門分野が大好きだ。
でも、自分が第一線で研究しなくてもいい。
この気持ちをアカデミアへの執着がないと表現したら、じゃあ就職でいいじゃんと指導教員に言われた。
バイトでやってる塾講師がおよそ6年間続いたところを見るに、どうやら人に教える、伝えるのは好きらしい。
学芸員の資格はあるし、サイエンスコミュニケーション的なことを仕事にできないかしらと思い始めている。
しかし、ざっと見た感じ博士卒の方が有利だ。
というか、応募条件にそう書いてあったりする。
そうじゃなくも就職できるようなところは正社員じゃなかったり、看過できないほど薄給だ。
というか、そもそも採用が毎年あるわけじゃ無さそうだ。
アカデミアに懸念していた理由第一位と同じである。
まあ、そもそも好きを仕事になんて難しいに決まってる。
とりあえず精神を病んでるっぽいので休学も視野に入れつつ成り行きに任せるしかないんでしょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?