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伝えたい、ましゅましゅの魅力 「うちたち、Mashumairesh!!でした!」

約言

ルナティックお か わ り!!

はじめに

友人に勧められて後追いながらも「SHOW BY ROCK!!ましゅまいれっしゅ!!」と言うアニメを見た。いや〜これがすごい良い。その良さを言葉にしようとしたときになんと言っていいのかわからなかった。何が良かったのかを伝えられるようにならねばならない。そう思った。これまでずっとROM専を続けていた自分を後押しする何かをこのアニメからもらった。この文章を書き始めて初めて自分を変えてくれたメッセージがこのアニメに込められていることに気がついた。それほどこのアニメは魅力に満ち溢れていて素晴らしいものなんだ。少しでもその魅力を伝えられるように、主客混在でもまずは言葉にしていきたいと思う。どうか温かい目で見て欲しい。

(※以下ネタバレ有り)


この作品が1番伝えたい事

最終話、ライブを演奏しきった後の

「うちたち、Mashumairesh!!でした!」

という一言だ。

これは私が勝手に言ってるのではなく、孫監督のコメントで確かにそう言われている。

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視聴した人にはわかるだろうが最終回このセリフを聞いたときに「それ!!!」となる。彼女たちが積み上げてきたこのストーリーは「でした!」だよなぁと。そう理解(わか)ってしまう説得力があるんだ。いやほんとすごい作品ですよ。

最終話のこのセリフに向かってアニメのシナリオは組まれている。そしてこのセリフはそのままこのアニメのストーリーを時系列順に表してもいる。だからこその説得力がある。では、アニメ本編を(勝手に)3幕に分けて丁寧にこのセリフを読み解いていこう。第1幕「うちたち、」、第2幕「Mashumairesh!!」、そして第3幕「でした!」に1話から12話を振り分けると以下のようになるだろう。(どこゆびメインの3, 7, 9話はカットする。もちろんどれも視聴必須だ。水着回もあるし)

第1幕「うちたち、」

第一話 まっしろスタートライン

第二話 エールアンドレスポンス

第四話 No problem!!

第2幕「Mashumairesh!!」

第五話 Parallelism Crown 

第六話 ヒロメネス

第八話 ネオンテトラの空

第十話 プラットホーム

第3幕「でした!」

第十一話 キミのラプソディー

第十二話 Mashumairesh!!

第1幕「うちたち、」

上京 いや、状況設定のパートだ。シド・フィールドが考案した三幕構成で言うと、各幕の割合は1:2:1なので、2幕のボリュームと比較して二話分が妥当だが、三話分とボリュームがある。4人を紹介するためだろう。Mashumairesh!!になる前の、何となく集まった4人(ほわん、ヒメコ、デルミン、ルフユ)がどんなキャラなのかが描かれる。第一話にしてライブシーンが入るので彼女達がバンドを組むんだな、ということが一目瞭然だ。ヒメコの不器用な優しさも…。二話なんてもう…。ひとまず各話の演出はここではノータッチで行こう。そうじゃないととてもじゃないがまとめきれない。ここで大事な事は、ほわん、ヒメコ、デルミン、ルフユの4人である事。第一幕ではそれぞれが大切に思っている事が明らかになる。

第2幕「Mashumairesh!!」

4人がどんなバンドになるのか?を悩みながら模索していくパート。練習場所を用意したりライブのチケットをコネで用意してくれるマスターいわく“ちゃんとしたバンド”のREIJINGSIGNALと自分たちを比較することでどうなりたいのかと言う問いについて向き合っていく。五話でほわんがREIJINGSIGNALの“ごちそう”に選ばれる所が第2幕への転換点になる。楽しくライブをしたいと言うほわんの思いに対して本気でやるには楽しむだけではダメだと言うREIJINGSIGNALの価値観がぶつかる。ほわんは「4人で歌いたい」と言ってREIJINGSIGNALの元を去る…。バンドを組んだら楽しいんじゃないかって言う雰囲気になるが、ヒメコだけはそう思えていなかった。

そして六話、ヒメコは悶々としていた不満が爆発し失踪してしまう。残されたデルミン、ルフユ、ほわんの会話で以下のやり取りがある。この時点ではまだMashumairesh!!の方向性が固まっていない事がわかる。

デルミン「あの、ところで、ほわんさんはどうして急にバンドを?」

ほわん「うち、みんなとはじめて合わせた時すっごくキラキラした気持ちになってそれから、いろいろな音楽に出会って…(中略)…じゃあうちは?って考えたらみんながいて、みんなと一緒に音楽を…音楽を、えと、分からないけどとにかく一緒にやればキラキラできるって。だからルフユちゃんとデルミンちゃんと一緒にバンドがやりたい!」(ヒメコも含めてともちろんこの後言及している)

その後なんやかんやあってというかもうまだ整理しきれていないので申し訳ないが仲間たちの手助けもありバンド結成を前向きに考えることができるようになったヒメコは戻ってくる。そして彼女たちはバンド名を決める。Mashumairesh!!と。

第八話でMashumairesh!!としての初ライブを行う。そのライブはREIJINGSIGNALとの対バンだ。エモい曲ならばMashumairesh!!がREIJINGSIGNALに対抗出来るのではないかと結論し、エモい曲で正面からぶつかり合いボコボコに負ける。

第十話、唯一作曲が出来るヒメコは新曲を作れず壊れていた(クレヨンしんちゃんみたいな笑顔になる)。次のフェスでREIJINGSIGNALをあっと言わせる曲を作ろうとすれば無理もないだろう。何せMashumairesh!!の強みかと思ったエモい曲では全くはがたたないんだから。他メンバーのサプライズでヒメコのほわんの両親へ挨拶も兼ねてMashumairesh!!一行はほわん実家へ作曲合宿に向かう。作曲もヒメコ1人ではなくできる範囲で他メンバーも手助けしていく。だが、やはり難しい。その夜である。なんだか寝付けなかったほわんとヒメコは2人星空を見上げながら話すのだ。

ほわん「今最高に楽しいって気持ちをずっと覚えていたい。忘れないでね。

は?かわいいか?違うそうではなくて、これがMashumairesh!!なのだ!この一言に集約されていると言えるだろう。この後ヒメコも迷いをなくし作曲は進み新曲が完成する。楽しむ事、それそのものが私たちだと言葉にしたこの瞬間にMashumairesh!!の方向性が「今最高に楽しいって気持ちをずっと覚えていたい。忘れないでね。」に確定したのだ。

しかし、この時点ではまだ「うちたち、Mashumairesh!!」と言う状態だ。ただの自己紹介。REIJINGSIGNALに対して、自分たちから送るメッセージにはなっていなかった。ここから第3幕で大団円のそしてメッセージの解決に突入する。その結果が「でした!」だ。

第3幕「でした!」

解決パート。そもそも「でした!」とはどう言う意味を持つだろうか。字面をそのままとれば丁寧な断定それか過去形を指していると言えるだろう。他にも音楽業界で「でした」といえば業界用語でお疲れ様でしたの意味になる。帰るときに使う言葉だ。ちなみに集合した時は朝でも昼でも夜でも「おはようございます」だ。話が脱線してしまったが、ここでの「でした!」の意味はどれにあたるのだろうか。

第十一話デルミンとルフユのやり取りを見てほしい。ルフユがデルミンとの友好度69%とノートに書いているのを本人に見つかってどうして100%じゃないのかと聞かれるシーン。フェス本番で最高の思い出を作って最高の100%にしてフィニッシュ!にしようと考えていたルフユに対してデルミンがこう言ったのだ。

デルミン「でも、100%でフィニッシュは却下です。」「ましゅましゅでライブたくさん出たいです。その度に最高の思い出をおかわりです。

このやり取りの後、全員の意見の一致を経てあの一言になる。それはこの「最高の思い出をおかわり」という一言への意見の一致とみて間違いないだろう。最終話、ライブ終わりにましゅましゅはまだまだ高みを目指すREIJINGSIGNALとは違う価値観を示す。このライブは最高。そして次のライブも、うちたちは最高をおかわりだと声高く宣言したのだ。「うちたち、Mashumairesh!!でした!」と。これが最高のMashumairesh!!だと丁寧に断定し、かつお疲れ様でした!と最高を味合わせてくれた人達への感謝をし、一度一度のライブを終わりにする事で、また次のおかわりをすると言う意思表示になるのだ。これが、最終話を見たときに思った「それ!!!」という感情の正体なのだろう。

おわりに

監督のコメントは冒頭の画像で終わりではなく続きがある。

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これからもっとたくさんのバンドと出会い、別の価値観と出会ったときに、それでもやっぱり「うちたち、Mashumairesh!!でした!」と言い続けるのだろうか。「ただ彼女達は、まだまだ未熟な所もあるのです。」と言う一言からは、おかわりのその先をどうしても期待してしまう。

蛇足 言い切れない魅力

シナリオだけでなく演出面での魅力もたくさんあって、ほわんとヒメコのイチャイチャとか、ルフユのメモを取る姿勢に純粋に尊敬したり、デルミンのおかわりとか、最終話のライブシーンで一瞬のハイハットを抜くカメラとか細かい所を言い出したらキリが無い。

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最終回の楽曲は4人での作詞、そしてほわんとヒメコの作曲。感情がルナティックおかわりである。

素晴らしい作品だった。またおかわりしよう。何度でも。

https://showbyrock-anime-m.com/sp/

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