フリーランスの活動に、地道な広報活動を【イベントレポート】
5/27(木)、スラッシュワーカーズ主催のオンラインイベント「フリーランスが広報を活用してブランディングを達成する方法を学ぼう」に参加した。
タイトルの通り、“広報をフリーランスの活動に活かす”という視点が新鮮で、今後に活きるTIPSがたくさんあったのでレポートしていく。
イベント概要
1.そもそも広報とは?
・マーケティング/広告/広報/ブランディングの違い
・広報とPRの違い
・PR=宣伝ではない!
・「広告」と「広報」の違いを詳しく見ると
・広報の要は「信頼関係の構築」
・広報活動は地道なことの積み重ね
・広報にはさまざまな種類がある
2.広報活動で大事にしていること
・メディアリレーション
・プレスリリース
・広報戦略
3.広報先行型のマーケティング事例 ⇒Carstay
4.フリーランスができる広報TIPS
「自分株式会社」の社長になったつもりで、社会と信頼関係を築こう!
(初級編・応用編)
スピーカー:にしちかさん(フリーランス広報)
新卒で星野リゾートに入社。2016年~広報へ。取材対応数約300件、リリースの総発行数約60件など。2020年より独立し、フリーランス広報に。ブランディング支援を中心に活動する他、女性向けキャリアスクール「SHElikes」のライフコーチ・ブランディング課題添削も担当中。
聞き手:ルイス前田さん(スラッシュワーカー主催者)
2010年より世界一周とニューヨーク留学を経験。2014年、㈱TABIPPOを起業。2020年に退職し、フリーランススラッシュワーカーとして活動を開始。
広報活動は、地道な行動の積み重ね
そもそも広報とは、「信頼関係を構築して、第三者から良さを語ってもらう状態を作る」こと。
つまりこちらから伝えて終わり、ではなくて、伝道者までつくってはじめて広報が成功したといえる。
誰かに伝道者になってもらう領域までたどり着くには、本当に地道な努力が必要のようだ。
私自身、以前「行動を起こす人は全体の25%、継続して行動できる人は5%」と聞いたことがあった。行動するのは自分一人でもむずかしいのに、誰かに行動を起こしてもらうというのは本当に至難の業だというのがわかる。
例えば企業名。大文字か小文字か、カタカナ表記か英語表記か、スペースは半角か全角か……など、企業の広報担当は細かくチェックしているとのこと。
私も会社員時代に広報業務を受託しており、毎回かなり目を光らせていた。個人的には、ライターをするうえでも活きているスキルだと思う。
ここまではイメージできたのだが、にしちかさんが勤めていらっしゃった星野リゾートではもっと地道な活動をしていたらしい。
撮影のときにロゴがしっかり正面に移るよう準備をしたり、制服にバッジをつけたり、卓上のペットボトルにロゴを忍ばせたり……。かなりの徹底ぶりだ。
そして今の時代ならではの方法が「ZOOMの背景」である。イベント当日、にしちかさんもご自身のZOOM背景に設定されていた。
フリーランスでも自分の背景を持っておくといいかもしれない。お相手から話題を振ってもらえるかもしれないし、仕事の内容をご説明するときに役立つかもしれない。何パターンか用意しておくと、応用が利きそうだ。ブランディングにも通じ、すぐに活かせそうだと思った。
広報先行型マーケティングとは
にしちかさんの見解をもとに、Carstayを例に挙げながら「広報先行型マーケティング」の紹介があった。
広報を打ち出す日、つまり”プレスリリースを出す日やSNSの更新などの日を先に決めたうえでマーケティングを図る”という意味らしい。
たしかに、理にかなっていると思った。Casstayのように多くのリリースを出す場合は、広報ありきでプロジェクトの進捗を図れる。周知もできるし、プロジェクトは進むし、一石二鳥なのかもしれない。
ただ同時に、「広報先行型マーケティング」はみんななんとなくやっているんじゃないかと思った。instagramを何曜日に何の投稿をするか、決めている方がいたら、まさに「広報先行型マーケティング」である。きっと、「広報している」と意識するか否かの違いな気がした。
ほかにも、「瞬間的にリリースしても意味がない。出し続けることが大切」という耳が痛い話もあった。人間は忘れていく天才だ。伝道者になってもらうには、名前とブランドのイメージを無意識にリンクさせる必要がある。
フリーランスの場合、そんなに出し続けられる情報はあるのだろうか……。駆け出したばかりの私には、正直まだそこまでの余力はない。
でも、個人での発信も「広報」ありきで考えた方がうまくいきそうだ。やはりブランディングにもつながると思う。
広報スキルをフリーランスに活かすには
広報のスキルはフリーランスにも活かせるという。にしちかさんは“「自分株式会社」を広報するつもりで活動してみては?”と提案されていた。
そのなかのひとつが、時事ネタへのチャレンジ。今しかない情報に合わせて自分株式会社をアピールできたら、注目してもらいやすいとのこと。
私は時事ネタに対して、“旬のニュースにどれだけ早く乗っかるか”というイメージが強く、正直苦手意識を持っていた。旬はただでさえ期間限定なのに、最近は過ぎ去るのが早い気がする。大抵置いていかれていた。
そんな私のような人に朗報。“時期が決まりきっている時事ネタ”もあるらしい。例えば何かのお祝いイヤーだったり、自分が住んでいる街の姉妹都市が〇周年だったり。確かに決まりきっているものだと準備は十分にできそう。
とはいえ“姉妹都市”を知らないとアピールもできないので、いろいろなところにアンテナを張って「知る」ところから始めないと、と思った。
また、個人的に痛いところを突かれたと思ったのが「小さなことでも活動報告」だった。未完成でもいい。どんな些細な進捗でもいいから、報告をしていこう。そんな話だった。
「未完成でもいい」は、なんとも心が軽くなった。私は「未完成でもいい」と意識していないと、完璧を求めすぎてなにも動けなくなるのだ。フリーランスを目指していたとき、途中経過を見せたり、誰かに頼ったりするのがいかに大事かを痛感したにもかかわらず......。
まあ、フリーランスで駆け出した今が完璧であるわけがないんだし、もう少し気楽に発信していこう。そう思い直すことができた。だからこうして今回も、イベントレポートを書いている。
◇◇◇
会社員時代、私は広報業務を受託している会社にいたので、自分たちで手掛けられる範囲は限られていた。正直、胸を張って「広報やっていました!」と言えるかんじでもない。
とはいえ、サイトの情報を更新するときは「ここまで細かくやる?」というほど細かい“てにをは”まで検討していた。その仕事はむずかしかったけれど、好きだった。
周知にためにやっていたイベント運営も、広報業務の一環だった。イベントを打つために地道に顧客分析をしていたのも懐かしい。大変だったけれど、これも好きだった。案外、地道な作業も好きなのかもしれない。
そもそも大学生時代、「アートの魅力をもっと世の中に伝えたい」と思ったのが広報への興味の入口だった。実はゆるーく10年弱は、広報と肩を並べていたのだと思う。
薄々、広報の視点がセルフブランディングやライターの仕事に生きると気づいていた。私がずっと言語化できなかったものを、プロであるにしちかさんからシェアいただいた。
いつかもっと胸を張って「広報やりたいです!」と言えるように、まずは“自分株式会社”から広報戦略を練っていきたい。これから、楽しみである。
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