虹陽
中央G1を勝利した馬のSSを書いていきます。彼らの栄光を文字で彩りたい。
群雄割拠。 或いは諸侯乱立。 今日の空模様のように、 見通しの立たない勝負。 だからこそ、見逃してはならない。 爪を隠している者を。 虎視眈々と狙う者を。 2023年NHKマイルカップ・シャンパンカラー。 栄光への道は、黄金色に輝く。
達人は、慎重にして大胆だ。 仕掛けを待つ時もあれば、 意表を突く時もある。 競り合った者は思い知るだろう。 大外からの強襲は、 決して焦りなどでは無いことを。 2023年かしわ記念・メイショウハリオ。 その強烈な一太刀で、 二階級制覇を達成。
城とは、一朝一夕で建つものではない。 僅かな差で逃した菊の冠。 天才に一蹴された冬の祭典。 惜敗も屈辱も力に変えて、ついにその形を成す。 2023年天皇賞(春)・ジャスティンパレス。 衝撃の城塞に、ただ頭を垂れるのみ。
8年前のあの日。 突如現れた怪物に、クラシック戦線は蹂躙された。 そして今日。 その無念を、父とは真逆のやり方で晴らす。 2023年皐月賞・ソールオリエンス。 王者への道筋を照らす、 影なき太陽がここに誕生。
勝負とは未知数の世界だ。 時に前例を無視し、時に常識が覆る。 この日もまた、様々な「初」を連れてきた。 2023年中山グランドジャンプ・イロゴトシ。 雨に塗れた大舞台を、独壇場へと変えていく。
レースにはセオリーというものがある。 いい位置を確保し、荒れていない馬場を通る。 しかし—— 「そんなもの、ただの枷よ」 私には不要なものだと、後方一気で示す。 2023年桜花賞・リバティアイランド。 全ては、女神の思うまま。
不変とは、何よりの武器だ。 舞台を変えないポリシー。 澱みなく刻まれる時計。 決して揺らがないその背が、 彼らの実力を物語る。 2023年大阪杯・ジャックドール。 勝者は、静かに前を見据えていた。
真の強者に、常識は通用しない。 若くして制した秋の盾。 強者たちを一蹴した祭典。 熱砂の地に悠々と刻んだレコード。 2023年ドバイシーマクラシック・イクイノックス。時代を二分する才覚が、世界をも呑み込む。
短距離の結晶たる血筋。 されど勝てない、雌伏の日々。 気鋭のルーキーを背に乗せて、 ついにその真価を見せつける。 2023年高松宮記念・ファストフォース。 積み重ねたキャリアと若き力が、 『最速』を証明した。
三月も後半ということで、「卒業」をテーマにした短編です。 新たな環境に身を投じることはとても勇気がいりますが、 だからこそ尊く映るのだとも思います。 私は今日、「私」をやめる。 マイクを握る最後の日に、私は柄にもなく今までのことを振り返っていた。小さな体育館のステージから始まった私の夢。テレビで見たあの華やかな姿に憧れて、幼いながらにみんなの前で踊った。どんどん舞台は大きくなって、今や世界有数のライブ会場の真ん中に立っている。クラスメイトに笑われて泣いてたあの頃が、オー
君はなんでもくれる。 欲しかったネックレスに、高級ホテルのスイーツ。 君はなんでも喜んでくれる。 パチ屋のアメ、冷食の唐揚げ、朝の「気をつけて」。 そして今日、君は笑みを浮かべている。 俺を見るだけでそんなに嬉しいんだな。 そう思いながら、彼女のプレゼントを口にした。
妖精たちの恋愛小説です。 遅ればせながら、最近になってようやくSaucy dogの「シンデレラボーイ」を聞きました。 サビとタイトルだけしか知らなかったのですが、結構ドロドロしてますね。 本作にも少しだけ歌詞の内容を反映しています。 木漏れ日に照らされて眺める緑。生い茂る草にも、咲き誇る花にも、そそり立つ大樹にも、至っておかしな点はない。平穏そのもの、と言うべき光景である。この森は文明社会から隔絶された、いわゆる未開の地だ。人の出入りなど皆無に等しい隠された森林。僕はここ
「距離延長」「中二週」「乗り替わり」。勝利を不安にさせる単語が付き纏う大一番。 ならば、完全な勝利を見せつけるまで。好位追走からの圧勝劇は、ダート界に新たな強豪の誕生を予感させた。 2023年フェブラリーステークス・レモンポップ。その速さは、酔いしれるほどに刺激的。
初めて貴方の瞳を見たのは、真っ赤になりながらチョコを渡したあの日。照れながら受け取ってくれて、何より嬉しかった。 そして今日も、チョコを渡す。貰えて当然の貴方でも驚く特別なもの。「死ぬほど美味しいものが食べたい」って言ってたでしょう? ああ、早く貴方の瞳が見たい。
「あいつは天才だ」 「あんな逸材はなかなかいない」 「これからはあいつがこの世界を引っ張っていくんだろうな」 「なかなか結果に結びつかないな」 「力はあるはずなんだが…」 「実は大したことないんじゃない?」 「期待するだけ無駄だったな」 「注目する価値もない」 「もう勝てねえだろうな」 「あいつは、もう終わったんだ」 また、この夢だ。実体のない弾丸が無数に降り注ぐ悪夢。何度浴びせられても、これだけは決して慣れない。もう何も残っていないことを、無慈
枯れた。文才が枯れた。もともと大したセンスが備わっているわけでもないことは承知しているが、そう形容するのが最も適切な瞬間がある。脳内に広がる世界をうまく言語化できない時だ。小説の神に見放された右手で書き広げるのは取るに足らない駄文ばかり。味のしないガムより退屈で果物の搾りカスよりも軽い文字。気が参る。時間旅行すらできる時代になった一方で、私の感性は全く発展していないらしい。好きで創作活動をしているというのに難儀なものである。 今までは休憩や睡眠を挟むことで何とか乗り切って