捨て身の強さ
私は23歳、大学3年の時に死にかけた。スキー事故だ。猛スピードで立ち木に激突して頭蓋骨骨折、脳挫傷、髄液鼻漏などなど致命的な大怪我をした。九死に一生を得たが、結果として左眼の視力と左耳の聴力を喪った。
頭部外傷の場合受傷後何年かは外傷性てんかんという後遺症に悩まされる。実際私もてんかん発作を2回起こしてこれまた危ないところだった。
この怪我を言い訳にすると思うこともあったが、なんとか大学(6年制)も卒業したが国家試験は不合格で卒業した学部とは全く関係の無い世界に飛び込んだ。
以来、営業の領域で長い間過ごして来たが、様々な困難も経験した。リーマンショックでコミットしていた案件が次々とロストしていく、そしてどうしようもなかったのは今となれば良い経験だったが強烈な印象が残っている。
様々な困難、挫けそうな局面において常に私を助けてきたのは捨て身のマインドだ。
「何も命を取られるわけではない、死ぬわけじゃないし」
これがいかに私を助けてきたか。どんなにピンチでもお腹は減るし、眠くなるし、街を行き来する人は私のピンチなんて全くお構いなしだ。そりゃそうだ。
とある先輩が「私は失敗をしない」と豪語していた。よくよく聞いてみるとどうやら失敗しているようだ、だが彼は成功するまで続ける、だから失敗しないと言っていた。これもまた私を励ます言葉だ。物事を進めるうえで、失敗しないことはない。また未来のことは誰でもわからない、未知だ。だから失敗することが「経験」となってのちの自分を助ける、そういう考え方が今まで私を助けてきた。
他人からどう思われるかとか、年俸がいくらとか、そういうとらわれからいかに解放されるか、すくなくともそこに注目しない生き方が出来るようになるにはどうすればよいか。前向きな捨て身の精神と、苦悶しながらも積んできた自分の経験、能力を正しく自己評価して信じる。これしかないだろう。
COVID-19もそうだが、未来はますます不安でうんざりすることもしばしばだ。だが我々の英知、パッション、智慧はこれをいつでも乗り越えてきた。ポジティブに、そして一歩ずつ。謙虚さが今日もまた私と共にありますように。
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