フィルムのような写真が撮りたいのならZ5でいい話
あなたがカメラを選ぶ基準はなんだろうか。
オートフォーカスの速さ?メーカー?可愛さ?
僕は空気を切り取れるかで選んでいる。
かなり抽象的な表現だが、しっくりくる言葉がこれしかなかったのだ。
とは言っても、こんなものでは誰も納得しないだろう。
空気を切り取る。空気、振動、光や情緒もその一部かもしれない。
僕にとって一番重要なのはそれらを映してくれることで、そのためには高性能は必要ない。
いや、正確にはフィルムの質感こそが僕の求めているものだ。
フィルムの性能をデジタルでそのまま表現できるのならそれでいい。
では、デジタルカメラになくてフィルムカメラにあるものはなんだろう。
写りに関することで言えば、フィルムは三層構造になっており、RGBのそれぞれの層に感光すると、色が残る仕組みになっている。
フォビオンを除き、ベイヤーセンサーのデジタルカメラでは隣り合ったRGBで感光するので、そもそも仕組みが違う。
もちろん、色の正確さも違うし、何よりフリンジが出ない。
他にも圧倒的に手軽さが違う。これはいい意味でも悪い意味でもある。
物理的にロールをセットし、巻き上げ、シャッターを下ろすフィルムと、
電子制御で露出を変え、電子フォーマットで保存するデジタルカメラでは一枚の重みが違う。
フィルムの写真を見て、綺麗だと思ったことがある人は共感できるかもしれない。あんなにノイズが乗っているのに、なんで綺麗に思えるのだろうと。
それは不安定性を孕んでいるからだと思っている。フレアやゴーストもその一つだ。フィルムの失敗写真もそう。デジタルじゃありえない安定性の無さが、偶然という形で、二度と現れない形で見ることができからだ。
そしてその写真が失敗しているかどうかは、観測するまでわからない。
僕の思う写真の本質である、写真は撮ったとではなく、見たときに完成するというものを体現している。
僕が求めているのは、デジタルでその不安定性を再現し、かつ手軽さはデジタルのままであるというもの。
先ほどから出ている写真で気づいた方もいるかもしれないが、そんな僕のセットアップはZ5とPENTAXのオールドレンズだ。
ここ6年ほどで6台ほどのカメラを買い替えて、結局これに落ち着いた。
Z5は割と新しいミラーレスカメラで、Z6、Z7が裏面照射なのに対し、これは表面照射センサーなのがネックだという意見もあった。主に暗所での性能に関するところで、発売当初はZ5は暗所に弱いとも言われていた。
廉価機だから仕方ない、NikonはAFが遅いと言われ放題であるが、僕にとってそれは極めてどうでもいい話だ。
むしろAFの速さは空気を切り取ることに関しては邪な性能とも言える。
構えて即射!という撮影方法は好きではない。何かに焦る撮影は好きではない。
PENTAXのレンズはマニュアルフォーカスだ。
解放F1.8で、F4にして取ることが多い。
MFだからジリジリとピントを合わせ、時に外すことも含めて気に入っている。
そして、僕がZ5にした一番の理由はフリンジ耐性が異様に高いからだった。
フィルムの質感を出す上で、フィルムでは構造上絶対に出ないフリンジを抑えられることはかなり重要だ。
ただの廉価なZだと侮ってしまっては、もったない。
今回は、Z5の本質的な性能出はなく、感覚的な性能にフォーカスして記事を書いた。
次もZ5やフィルムの質感について書きたい。
かなり浅く話したので、これは第1章ということにしておいて欲しい笑