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愛したことのない玩具

どうでもいい日が続くたび、どうでもいいと思う度、喉を貫く吐瀉物と、鼻に残った鉄の匂いが頭をめぐって、心を抉る、夢に浸れば君がいるのに。君は僕を見る度責め立てる。脈拍音とサイレンだけが僕に肩を貸し、生温い肉体と垂れていく血が雨に濡れて乾いていくところを、見ていることしかできなかった僕は、見殺しにしてしまったのだから。死んでしまって当然なのだろう

また君を殺してしまうかもしれない。
そう思うと眠れなかった、夢のような朝、地獄のような日々。


おはよう、みゅう

起きてもない君に声をかけた、このまま二度と起きてこなくてもいい


彼女の首は脆くて、誰からも愛されたことがないなんて嘘みたいで。





これから宮崎に行く!それで俺の気持ちにけじめをつける。そしたらあとはみゅうのことだけに集中できる。それにみゅうも今ここにいても疑われるだけだし一旦この場から離れるって言うのは選択肢としていいと思うんだ。
…うぅん…でも顔も割れてる私と警察に怪しまれてるしろくんで急にどっか行ったら怪しまれちゃうんじゃないかなぁ?
う〜ん…

みゅうには言わないけれど、俺には策があるのだ。まぁ策というほどではないが、一二日でもとかく時間さえあれば良いのだ。

警察官の後藤さんが家宅捜索に来た時、僕はこれは好奇になりうると思った、あの時、沈んだ気持ちで頭をフル回転させた結果、怪しまれた方が帰ってよいのではないかと言う結論に至った。話の通じない人ではなさそうだったので鍵だけ置いて逃げることにした。これで間違ってないと思っていた。これがみゅうを救う唯一の方法であると思っていた。



閑話休題、逃げる前にやらなくてはいけないことがいくつかあった。
まずは逃走用の服の用意である、男者を着て顔を隠してる女子中学生など、疑われるに決まっているのだから、と言うことで愛永の家に直談判して服をお借りした、うん、多分相当怪しまれたが、大方の事情を察してくれたのか、突然女子中学生の家に来て女性者の服を何着か貸して欲しいと言い出したやばい男だったが、割とすんなり貸してくれた。
切符や電車賃なんかはお年玉とかをほとんど使っていなかった為足りそうだ、予約をすれば安くなるのだろうが、予約をすれば万が一の時に足がつくのが分かりきっていたので、しないことにした、その他荷物や緊急セット、大事なものなんかの準備を終え、ついぞ、僕らの短い逃避行は始まった。

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