Posterior Shoulder tightness~肩後方のタイトネス~
みなさんは
"肩の後方組織のタイトネスが肩の疼痛を引き起こす"といったことを、書籍や論文で目にしたことは無いでしょうか?
そして、
棘下筋や小円筋のタイトネス
後方・後下方関節の肥厚
これらが問題となると記述をされていたのではないでしょうか?
確かに、これらが原因で可動域制限が起き疼痛が発生することは多く報告されています。
では
【どうしてこの後方のタイトネスが問題になるのか?】
ということを考えたことはあるでしょうか?
今回の記事ではこの肩後方のタイトネス、いわゆる『Posterior Shoulder Tightness(PST)』ついて述べていきたいと思います。
また、本マガジンで肩後方のタイトネスに関して書いてある記事はこちら↓
本記事を読んだあとにこちらを読むと、より深く知識を得れると思いますので、ぜひ一読ください(^^)
では、さっそく本題に入っていきます!
PSTとは
先に少し紹介しましたが、PSTとはPosterior Shoulder Tightnessの略でで、「肩後方のタイトネス」のことを指します。
また、肩後方のタイトネスを定義としては、次の臨床検査のうち
「2つで10°以上の左右差、もしくわ1つの試験で20°以上の差を認めた場合」としています。
・背臥位での肩関節水平屈曲(水平内転)
・肩関節90°外転位での内旋(2nd内旋)
・肩関節60°屈曲位での内旋
そもそも、この肩後方のタイトネスといったものは日本ではあまり浸透していないかもしれませんが、スローイング(オーバーヘッド)スポーツなどでは、知らない間に触れている内容かと思います。
といいますのも
肩後方のタイトネスは、肩関節の90度外転位内旋(2nd内旋)や投球動作・ラケットスポーツでのフォロスルー肢位(水平内転:Horizontal Adduction:HAD)の可動域制限を生じると言われています。[1-3]
特に野球選手に関する研究は国内外で盛んに行われています。例えば、野球選手では投球側外転位での内旋角度が減少し、外旋角度が増大しているといった報告が多数あります。[4.5.6]
これは成長期におけるオーバーヘッドモーションや、フォロースルー時にブレーキとして作用する後下方の軟部組織のタイトネスが要因となっていると言われています。特に、成長期に繰り返される上腕骨への捻じれストレスが上腕骨の後捻角を増大させ、構造的に内旋制限を呈するとされています。
しかし、この肩後方タイトネスはスポーツをしていなくても生じるとされ、そしてそれは肩峰下イピンメントの要因にもなるといった報告もあります。[7]
実際、僕自身も日々の臨床でこの肩後方のタイトネスを呈している症例に多く遭遇しますし、その方達は一般的な主婦であったり、デスクワーカーであるサラリーマンだったりします。
つまり、
「野球選手とかがなるやつだから、別に知らなくてもイイ」
ということではなく、臨床で肩関節疾患患者さんをみているのであれば、知っておいたほうがよい概念となるわけです(^^)
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