"肩峰下"インピンジメント症候群の介入方法~肩甲上腕関節編~
みなさんこんにちは。
志水です(@echohuku)
先月の記事は
『肩峰下インピンジメントの"介入方法"~肩甲帯編~』
ということでしたが
今月はいよいよ肩甲上腕関節に対する介入方法を紹介していきます❗
まだ読んでいない方はこちらを先に読んでおくと
理解が早いかも知れません
はじめに
先月の記事で書きましたが
肩峰下インピンジメント症候群に対して肩甲帯の機能改善が有効であるということは海外で広く知られています。
しかし、
国内において
肩峰下インピンジメントが生じる要因としては
"肩甲帯"の機能不全よりも"肩甲上腕関節(GH)の拘縮(柔軟性低下)"によって肩峰下インピンジメントが生じる,といわれることが多く
また肩甲上腕関節にアプローチをすることを推奨してる先生が多い印象があります。[1.2](あくまでも今まで国内の書籍や論文を読んだり、学会発表を聞いた一個人の意見です💦)
ただ、
「じゃあ海外において肩甲上腕関節についてはどのように捉えられているのか?」
といった疑問があるかと思います
そこでひとつ研究をご紹介します
この研究は…
肩峰下インピンジメント症候群患者に対して肩後方のストレッチ(肩甲上腕関節に対するストレッチ)の効果を調査したものです[3]
肩峰下インピンジメント症候群と診断され、肩関節内旋制限を有する患者67名に対し、物理療法(温熱、電気、超音波)とストレッチ、運動療法と合わせてさらに
a.クロスボディストレッチ
b.スリーパーストレッチ
c.コントロール群(上記の治療プログラムのみ)の3群に分け4週間後の
・疼痛
・後方タイトネス
・回旋可動域
・機能障害
を調査しました.
結果として
3群において有意にすべての項目が改善しましたが
a,b(ストレッチ介入群)においては"治療プログラムのみ"の群よりも臨床的に有意な改善を認めたと報告しています。
介入方法として
後下方のストレッチである"スリーパーストレッチ"と"クロスボディストレッチ"の有用性を示しています(下図)
ただ、この研究をもう一度考えると少し"疑問"に思う点があります。
それは…
すべての群で"治療プログラム"として【物理療法(温熱、電気、超音波)とストレッチ、運動療法】を実施していることです。
この研究は"インピンジメント症候群罹患患者"を対象に3群間で比較をしているため、「ある程度治療プログラムを組み込みたい」という配慮があったのでしょう。個人的にはそのような"想い"があることは好きですが…
ただ
ストレッチがどの程度有効だったか、はっきりとしない部分はありますね("物理療法や運動療法とストレッチ"を併用することで、「クロスボディストレッチやスリーパーストレッチの効果が出た」という可能性もありますからね)
しかし、結果では
コントロール群と比較するとストレッチ群の内旋可動域が平均,7~15度程度改善しています。ですので可動域の改善に対する介入方法としてはそれなりに有効なのかもしれません。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ということで肩甲上腕関節に対する介入でも、ある程度肩峰下インピンジメント症候群に対する効果は期待できそうですね。
ただ、肩甲上腕関節に介入すれば良いと聞いても…
「どこに介入するの?」
という疑問は当然生まれますよね?
そこで、
まずはGH周囲の"どの"軟部組織が問題となりインピンジメントが生じるのか?
これについて説明をしたいと思います。
(ココはかなり重要な部分なのでしっかりと理解しましょう)
ここで考えなければいけないのは
先月の記事でも説明した
「インピンジメントが生じやすい肢位でもある屈曲位内旋,いわゆる3rd内旋」です。
といことは…
"3rd内旋の制限因子となりやすい組織"
ということがわかればおのずとアプローチが見えてくると思いませんか?
で、さっそく
答えですが…
問題となりやすい組織は
「小円筋」です
ここでこの根拠となる研究を紹介します
福吉ら[1]は
・下垂位
・伸展30度位
・伸展30度+内旋位
・水平伸展位
における
ISP(棘下筋)とTm(小円筋)の"硬さ"を超音波診断装置の機能のひとつであるエラストグラフィーをを用いて調査しました。
その結果がこちらになります👇
つまり、後下方に位置する小円筋が硬くなることで
骨頭は前上方へと偏位しやすくなります。
で骨頭が前上方へ偏位すると
肩峰下へのインピンジメントは強くなることが考えられます👇
ということで
ここからは小円筋に対するアプローチ方法について説明していきます.
小円筋に対する介入方法
最初に
以前,Yoshiki(@PTGekikara)先生が書かれた記事で紹介されている
こちらを見てみましょう😁👇
岡先生(@TrainerWao)も以前、小円筋のストレッチを紹介しています
セルフではこういったエクササイズも良いと思います
※状態によっては疼痛が出るので、指導には注意が必要です
では
僕が今回ご紹介する小円筋へのアプローチ方法ですが全部で3つあります。
(動画では続けて紹介しますね)
ここから先は
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