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lose one's home ①
行く宛は、祖母の家しか考えられなかった。
連絡を入れ、事情を話したが、
よく理解してない状況だった。
ひとまず祖母の家に向かう事にした。
こんな時に限って
外は雨。
トランク一つに、
リュックサック。
区役所から駅まで、この雨では
かなりの労力。
タクシーを拾おうと
手を上げるが、
荷物を見て、敬遠される。
何台も何台も通り過ぎる。
この地域に相当嫌われてるんだろうなと
思った。
泣く泣く、
折りたたみ傘をさし、
腰の痛みと闘いながら、
大荷物を抱え、
休み休み駅まで歩いた。
何やってんだろ。俺。
何でこんな状況に陥ったのか。
振り返る暇もなく、
とにかく必死に今日どうするか模索する日々だった。
電車を乗り継ぎ、
1時間掛けて、
祖母の家に向かう。
緊急的な状況に限って、
家族は
手を貸してくれない。
年齢とか、
性別とか、
関係ないだろ!!!!!
こんな状況になる前から
相談はしていたが、
自分で何とかしてくれ。
自分で切り拓くしかない。
の一点張り。
今までも、
出ては入り、
出ては入り、の繰り返しをして来たから
そういう態度を取ったのかもしれない。
この事を知人や友人に
話すと、
それも愛情なんじゃないの?
とこぞって言われた。
そうなのか?
本当に?
突き放すのが本当に愛情なのか?
厄介ごとに対応してる余裕がないだけなんじゃないの?
そもそも厄介ごとなのかよ!
あんたらの息子だぞ!
家族って何なんだよ!
最寄り駅に着くまで、
そんな事を考えてた。
つづく。