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足部からみる!股関節

臨床+.3週目を担当する佐藤康です。
今月のマガジンのテーマは
「他関節からみる下肢疾患シリーズ」です。

上記に掲載した今月の臨床+の配信に引き続き、
私は足部からみた股関節をテーマを担当させていただきます。

臨床上で対応することの多い股関節疾患は
以下のようなものが挙げられます。

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股関節が構造的に破綻したケースを除き、
これらの痛みは股関節機能に加えて、
他関節からのメカニカルストレスを理解する必要があります。

臨床上で悩みやすいこととして、
股関節の機能障害が局所を改善すべきか、
隣接した関節機能を改善すべきか

その見極めに悩んだり、関連したつながりの解釈に苦労している方が多いのではないでしょうか。

そこで今回は、臨床上で経験する股関節疾患を例に足部介入を中心とした戦略についてまとめていきます。

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■全体から見た足部の運動特性

はじめに、今回のテーマの前提となる
「足部」の運動特性についてまとめていきます。

足部はからだの中で唯一荷重をする部分であるため、その荷重の受け方によっては姿勢や動作の制御・安定性に影響することはイメージしやすいと思います。

joint by joint theoryに挙げられるように、
距腿関節には可動性・足部には安定性が求められます。

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距腿関節の背屈制限
距骨下関節の過回内/外位
は姿勢や動作のエラーに関与するおさえておきたいポイントです。

背屈制限は矢状面上、
回内外運動は前額面上の動きや姿勢の異常を捉える上で外せない部分です。


■股関節疾患を捉えるための足部の機能的な要素

前項からさらに掘り下げ、
今回のテーマである足部と股関節の関係性を考えていきます。

姿勢保持や運動における姿勢制御では、
重心の移動に対して足関節や股関節が主に制御に働きます。

重心の偏位が小さい場合、足関節制御が先行する
⇒足関節で制御できない場合、股関節や上半身を制御を行う

(参考|股関節理学療法マネジメント:MEDICAL VIEW)

以上により、足関節制御を向上させることが姿勢制御機能を向上させることにつながることがわかります。

股関節疾患の多くにみられるインピンジメント症状を例に考えていきます。股関節の関節運動を十分に行うためには、大腿骨頭を求心位で保持し、骨盤腰椎と協調的な運動が求められます。

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すなわち、変形などによる関節構造の破綻を除き、インピンジメント症状が起こるほとんどが大腿骨頭を求心位で保持できない関節運動となります。

そのため、足部との関連性を捉えるためには、足部の機能障害が大腿骨頭の異常・エラーをきたす要因について掘り下げていく必要があります。

・大腿骨頭の求心位を保持した関節運動評価
・インピンジメントとは
・足部-膝-股関節の運動連鎖
・足部の異常アライメントが招く股関節への影響


■姿勢と足部

つぎに、足部と姿勢の関係性についてまとめていきます。

①矢状面上での異常姿勢
②前額面上での異常姿勢

につながる足部障害の理解が必要となります。

|矢状面上の異常姿勢
矢状面上の異常姿勢として
臨床上観察することの多い代表的なSway-backを挙げます。

▶Sway-back
Sway-backでは腰痛などのケースでも多く対応することの多い姿勢パターンであると思います。特徴として、上半身質量は後方位、足圧中心は前方位となり、大腿前面筋や下腿三頭筋の筋活動の大きくなる姿勢です。

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結果、ハムストリングスの収縮力が弱く、股関節後方筋群の機能が低下し、股関節の前方痛(鼠径部痛)などをきたすことも少なくありません。

足部から考える上行性の運動連鎖による関連として、背屈機能の制限を対応することが多いです。これは、背屈機能の低下(構造的な安定性の低下)により、足部が回内・外転⇒下腿外旋⇒大腿外旋した異常姿勢を呈することが多いです。

股関節前方痛と仙腸関節としても異常姿勢の関与が考えられます。

※鼠径部痛と仙腸関節
仙腸関節の不安定性は
付着部筋群の代償的な筋活動を生みます。

下図でも示されているように、
仙腸関節の安定に作用する梨状筋の過活動により、
大腿骨頭を前方への変位を生じやすくなります。

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結果として、
股関節のアライメント異常・異常運動の長期化により、
鼠径部や股関節周囲の疼痛や運動制限を
引き起こしやすくなると捉えています。

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