他関節からみた股関節について考える
今月のL-tra.+のテーマは
股関節
今回の内容は他関節機能から股関節をみる視点
についてまとめていきたいと思います。
全体から局所を見ていく上で、まず局所に何が起こっているのか?
局所のメカニカルストレスについて把握しておく必要があります。
股関節の痛みにおけるメカニカルストレスを考える上で、
上半身由来のものなのか?
下半身由来のものなのか?
臨床場面でもその痛みの要因となる部位の判定に
悩むことも多いのではないでしょうか。
股関節を他関節とのつながりをどのように理解していく必要があるのか?
今回の内容では股関節障害における動作分析に
必要となる患部外機能をおさらいしたうえで、
これらについてまとめていきます。
L-tra.+1週目の内容に加え、
患部外からの影響を十分に把握することで
次週配信の「動作分析」につなげた内容を配信していきます。
L-tra.+
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■股関節の痛みのメカニズム
まずはじめに、股関節痛を訴えるケースとして、
下記のような疾患があげられます。
・鼠径部痛症候群 ・大腿臼蓋インピンジメント
・股関節唇損傷 ・恥骨結合炎
・腸脛靭帯炎(ランナー膝) etc
股関節が構造的に破綻したケースを除き、
これらの痛みは股関節機能に加えて、
他関節からのメカニカルストレスを理解する必要があります。
例えば、鼠径部痛を発症した選手では、
肩甲胸郭可動性
体幹筋力
脊柱・骨盤可動性
足部機能
などの機能低下が複合して存在する
運動連鎖の破綻が観察されることが多いです。
そこで、解剖学・運動学的にストレスとなる要因を
基本動作を中心に評価していく方法をご紹介していきます。
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■関節モーメントのおさらい
股関節への力学的なストレスのかかりかたを見ていく点で、
関節モーメントの理解は重要であると思います。
捉えやすいスクワット動作から解説していきます。
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①矢状面上からみる
矢状面上からスクワット動作を見ていきます。
|上半身重心と下半身重心の位置関係
ここでは動作により過剰な筋活動が求められることで
股関節前方のストレス・後方のストレスに
つながることを整理していきます。
<A:股関節前方>
股関節前方にストレスがかかりやすいケースとして
骨盤の前傾運動の少ない動作を挙げます。
上半身の重心位置をみると
下半身に対して相対的に後方に位置するため、
股関節の屈曲モーメントが大きくなります。
つまり、股関節屈筋群を主とした筋活動による制御が
大きく求められることになります。
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<B:股関節後方>
対して、
股関節後方にストレスがかかりやすいケースとして
骨盤の前傾運動の増大した動作が挙げられます。
上半身の重心位置をみると
下半身に対して相対的に前方に位置することで、
股関節の伸展モーメントが大きくなります。
つまり、股関節伸筋群を主とした筋活動による制御が
大きく求められることになります。
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|まとめ
股関節では上半身重心の移動を制御する働きがあります。
そのため、上半身重心が前方に移動すれば、
その前方向の動きを制御するために股関節伸展筋群が働きます。
反対に、上半身重心が後方に移動すれば後方向の動きの制御として、
股関節屈曲筋群が働くことで姿勢の制御をしています。
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②前額面上からみる
つぎに前額面上からスクワット動作を見ていきます。
|上半身重心と下半身重心の位置関係
ここで考えておくことは
過剰な筋活動が求められることで
股関節側方へのストレスが増大しているかについて
理解しておく必要があります。
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