防犯カメラ|ICTと社会
刑事ドラマでよく見かけるが、警察が防犯カメラの映像を集めて分析し、犯人を逮捕するというシーンがある。アメリカのドラマ「クリミナル・マインド」は14シーズンも続く人気番組だが、ペネロープ・ガルシアという個性的かつ超敏腕な女性分析官が、現場の捜査官からのプロファイリング情報に基づき、防犯カメラの映像や様々な個人情報から犯人を絞り込み、追い詰めていく。私の大好きなキャラクターだ。
ドラマの世界なので、こんなことが実際にできるのかどうかは分からないが、銃社会で犯罪も多いアメリカでは、このくらいのことはできないといけないのだろう。
日本でも同じようなことをやっているドラマは見かけるが、日本ではこれはフィクションのようである。日本ではほとんどの防犯カメラはSDカードやビデオテープに映像が保存されていてネットワーク化されておらず、犯罪等が発生した場合は1台1台の映像データを警察官が出向いて、取り出して確認しなければならないそうだ。ヘタするとSDカードの容量が一杯で、録画できていなかったということもあるようだ。
まあ、警察などの国家権力が防犯カメラで常に監視している必要がない、平和で安全な社会だということだろう。戦前の日本や外国の独裁国家が、治安維持の名のもとに市民を監視し、拘束できるようなことからすれば、高い民主主義の社会なのだと言える。
ただ、サイバー犯罪や国際テロなど、昔では考えられなかった脅威が出てきている以上、一定の備えは必要だ。防犯カメラに関しては必要があって合意のもとに設置されているものなのだから、犯罪抑止および犯罪発生時の捜査のためにきちんとデータが利用できるよう、ネットワーク化を含めた対応が必要で、それは恐らく市民から何の反対も無いだろう。むしろ現状そんなアナログであることのほうが驚きだし、いざというときに録画できていませんでしたとなれば大問題だ。そんな状態で放置されていること自体、怠慢の誹りを免れないのではないか。
国家権力にどこまでの権限を与えるかは難しい問題であり、過去の歴史を踏まえた慎重な判断が必要だが、安全な社会の維持のために一定の権限を与えることも認めざるを得ない。SNSなどネット上の声だけに踊らされることなく、様々な角度からの情報に触れ、一人ひとりがよく考えて判断する以外にない。
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