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マッサンが作ったニッカウヰスキー仙台工場の見学

(はじめに)


 ニッカウヰスキー仙台工場宮城峡蒸溜所を見学してきました。ニッカ創業者の竹鶴さんは、大阪大学の大先輩で醸造科(→醗酵工学科→応用生物工学コース)の出身です。NHKの朝の連続テレビ小説「マッサン」(2014年度後期)は大好きで毎回見ていたので、是非この機会に、先輩の工場を見たいと思い、仙台での出張翌日2018年6月16日に訪ねました。ウヰスキーを製造する蒸留(溜)装置に感動しました。
 

1. ポットスチルという蒸留装置に「しめ縄」


 ポットスチルという蒸留装置に感動しました。ここではこのポットスチルに「しめ縄」が張ってあり、マッサンのテレビと同じでした。西洋のウヰスキーを作っていても、酒造りの心は日本です。
 さて、このポットスチルという蒸留装置ですが、余市では、石炭による直火蒸留をしているのが、宮城峡では水蒸気(スチーム)による蒸留をしているとのことでした。そのためポットスチルの形が余市と宮城峡では違っていること。直火蒸留だと、濃い香のウヰスキーができ、水蒸気蒸留では柔らかい味のものができるという説明でした。それぞれ風味の違うウイスキーを、味覚の優れた社員がブレンドして、あのような素晴らしい味の製品を生み出しているそうです。

2. この水蒸気蒸留は、厳密には水蒸気蒸留ではなく間接加熱蒸留でした


 私は、直火蒸留は、物理化学で習う普通の蒸留に他ならず、水蒸気蒸留は、学生実験でやったアニリンの水蒸気蒸留と原理的に同じだと理解しました。しかし、水蒸気蒸留で蒸留すると、かなり水っぽい蒸留物ができるはずなので、そんなので製品にするには、含水量をどうやって減らすのかと不思議でした。家に帰って来てから、ネットで調べると、私の理解が間違っていました。厳密に言うと「水蒸気蒸留」のように水蒸気がもろみの中に、直接入るのではなく、130℃の水蒸気がステンレスのパイプの中を巡ってもろみを間接加熱するので、学問的に厳密には、水蒸気蒸留ではなくて加熱蒸留に他なりませんでした。従って、余市が石炭による直接加熱蒸留、宮城峡は高温の水蒸気による間接加熱蒸留というのが正しい理解でした。

3.  宮城峡蒸溜所の「溜」という漢字はぴったりの感じ


 また、宮城峡蒸溜所の「溜」とさんずい偏なのも気に入りました。戦後生まれの私たちは、この字は習ったことがないので、「蒸留」には「留」を使いますが、本当は「じょうりゅう」すると滴が垂れてくるのだから、「溜」の方がイメージがぴったりです。

4. 仙台のニッカは、新川(にっかわ)にある。


 この宮城峡に、余市の次に、ウヰスキー工場を作ったのは、広瀬川と新川の合流地点で、極めて水がよかったからということでした。新川は、「にっかわ」と読むそうです。私は、ニッカができたので、にっかわと名付けたのかと、不思議に思いました。家に帰って来てから、ネットで調べると、創業者の竹鶴さんがここにきて、偶然、ニッカと同じ名前の川があることに驚いたそうです。偶然とはいえ、よく出来た話だなあと感心しました。「仙台のニッカは、にっかわにある。」

(おわりに)


 現在、世界的に日本のウヰスキーの品質が認められ、世界「5大ウヰスキー」の産地のひとつとして日本が入っているそうです。日本のウヰスキーを、ここまで押し上げた阪大の先輩のマッサンの業績は立派だと、この宮城峡蒸溜所の見学を終えたときに私は思いました。

 
*なお冒頭の写真は、下記のURLのニッカウヰスキー公式X(旧Twitter)から引用させて頂きました。
https://twitter.com/nikka_jp/status/578335086589841410
 
 
 
平成30年(2018年)6月17日 随筆
令和5年(2023年)9月25日 加筆

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