kozaru
皆と共有したいので感動したクリエイターさんの作品やおすすめの映画を載せていきます。
私が書いたエッセイや詩やショートショートを載せます。
ファイナンシャルプランナーとして、株や投資信託、税金や保険の話し。
ーー母さんはいつも此処で待ってなさいって言って、1人でご馳走をとってきてくれる。 昨日はバッタしか捕まえてこれなかったけど、今日は雀を捕まえてくるって意気込んで行った。 今日はすごく寒くて動きたくない日だけど、動かなかったら本当に死んじゃうんじゃないかってぐらい身体が冷たくなるから、寒かったらあそこの大木まで走って上に登って、またこのアパートの下に戻っておいでって母さんに言われた。 だからぼくは母さんが戻ってくるまでの間、何回も大木まで行って戻ってきた。怖かったから上には登
「ピカソの絵ってなにが良いのかわかんない」 そう言った美希に数年前まで共感していた。 当時、さほど絵画に興味のなかった私でも知っていた彼の絵は、左右非対称で口があり得ない方向に曲がっていたり、肌の色が突然変色していたり、指が足りなかったり、一言でいうなら理解不能なものだった。 その絵は代表作ともよばれている「泣く女」 髪の飾り物までトンチンカンな形をしており、リボンが乗っているのか船が乗っているのか思案したほどだ。 こんな絵を数千万出して買う人がいるなんて驚きでしかなかっ
早く死んでくれないか この言葉が溜息に乗り届いてしまいそうになり慌てて口を固く締めた。 「早く髪洗って下さいよ、痒いんです先生」 母は全裸で風呂椅子に座り、眉を八の字に寄せている。 「はいはい、わかりました佐藤さん。どの辺りが痒いんですか?綺麗綺麗しましょうね」 私が調子を合わせると、母はニカっと歯を見せる。 髪を洗い終えると身体を拭き、頭にタオルを巻いて、着替えさせ、お姫様抱っこでリビングのベッドまで運ばなければならない。 この運ぶ作業が腰に来るのだ。 ただ、た
幼い頃に見ていた未来は 大人になると日々忘れていく。 幼い頃の私はとても無口で夢見がちな少女だった。 いつかの絵本で読んだ隣国の友達話し。 【空瓶に手紙を入れて海に投げると隣の国まで届けてくれる】 この物語が大好きで、どこかにコルクキャップ付きの洒落た瓶はないかと探し回ったほどである。 結局、洒落た瓶は見つからずペットボトルかなにかに手紙を入れて川に流した。近所に海がなかったので川にしたのだ。 しかし、なぜか当時の私は自信があった。川を辿ればいつか大海原へ出て隣国まで届く