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「ヤマガラ」硬質な種子をも叩き割るくちばし

オレンジと灰青の
配色が目立つ小鳥

 秋から冬になると木々の葉が落ちるためか、枝にとまるヤマガラの姿をよくみかけます。オレンジの体に灰青の翼が目立つヤマガラは、漢字で「山雀」と書くほど、山地の林でよくみられます。

 「ツツピー」と可愛らしく鳴きながら、忙しなく枝から枝を飛び移るので、案外じっくり観察するのが難しいヤマガラ。冬場はほかのカラ類と混ざって群れをつくるこtもあるので、鳥影だけだと識別が難しいこともあります。

ヤマガラ

無許可で捕獲され
飼育される事案も

 みた目にも可愛らしいヤマガラは、しばしば無許可で捕獲・飼育されてしまうこともあります。2022年には東京都でメジロやアオジ、ヤマガラを許可なしで捕獲・飼育していた男性が鳥獣保護法違反で書類送検されるという事案が報じられました。

 ヤマガラは江戸時代、飼育して芸を仕込むといった文化があったそうですが、現在では野鳥の飼育は禁じられています。ただ、ヤマガラの芸は全国の神社の縁日でみられたとのことで、少しみてみたい気もします。

エサをみつけても
蓄えることもアリ

 そんな可愛らしく芸を覚えることもあるというヤマガラですが、そのくちばしは堅い種子をも砕くハンマーとなります。ヤマガラはエサとなる種子をみつけると、頭を激しく降り下ろし、そのくちばしを何度も種子に叩きつけます。そうして割れた種子の中身を食べるのです。

激しくくちばしを振り下ろすヤマガラ

 また、種子をみつけてもすぐに食べず、くちばしでカンカンと土のなかに埋めて蓄える「貯食」行動もたびたび確認されます。こうした習性から、鳥類の知能というものをよく考えるのですが、もしヤマガラが大型鳥類で、ハンマーのように種子を叩き割る力と、細かな芸を覚えられる知能の双方をもっていたとしたら、なかなか驚異的な生き物として扱われていたと思います。

 小鳥は小鳥だからこそ可愛い。ただ、可愛いだけでない意外なパワーを知るのもまた、生き物観察の面白さだと思います。

参考文献
・「あの鳴き声はもしや」…無許可でメジロ飼育、通りがかり警官が気づく 読売新聞2022年2月2日
・細川博昭『身近な鳥のふしぎ』サイエンス・アイ新書 2010年


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