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法の力でアカミミガメを増やさない
【お詫び 2025.1.17】
本記事に使用しておりました写真がアカミミガメではなくクサガメであり、誤った内容をお伝えしておりました。誠に申し訳ございません。写真は差し替えて、アカミミガメのものを使用しております。
今後、使用する写真はより慎重に確認を重ね、投稿いたします。未熟ではありますが、引き続き本アカウント「いきものぐるり」を何卒よろしくお願い申し上げます。
汽水域にて発見
強耐塩性のカメ
わたしの散歩コースには海に繋がる川があるのですが、ある日その川でぷかぷか浮かんでいる甲羅を発見しました。ここは海水も混じる汽水域。淡水のカメは生きられないはず。識別しようと思ってスマートフォンのカメラで撮影しましたが、どの種類のカメなのかよくわかりませんでした。
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(アカミミガメ?)
撮影したカメのことはすっかり忘れた、また別のある日。読書していると、「クサガメやニホンイシガメは海に流されると長くは耐えられないけれど、アカミミガメは対塩性が強く、河口域なら平気」といった内容の記載をみつけました。あの日撮影した甲羅の持ち主は、もしかしたらアカミミガメだったのかもしれません。そう思ってまた写真をみ返すと、なんとなくアカミミガメな気もします。アカミミガメは全国制覇する勢いで生息域を拡大している外来生物。わたしの散歩コースにいても決してふしぎではありません。
飼育を認めつつ
販売を禁止する
じつはこのアカミミガメ、2023年5月月以前はふつうの外来生物として扱われており、飼育個体を野外へ放流することはとくに規制されていませんでした。しかし、2021年頃から規制への検討が始まり、通常国会にて「改正外来生物法」が成立した2022年には、環境省が一般へ意見公募を始めました。そして、2023年6月1日から「条件付特定外来生物」として、アカミミガメの販売や飼育、飼育個体の野外放流が禁止されることとなりました。
アカミミガメは国内で160万匹もの個体が飼育されていると推定されており、特定外来生物の指定は困難と考えられていたようです。ですが、「条件付」とすることにより、飼育を認めながらも販売や野外放流を禁止して、これ以上の野生化防止を図れるようになりました。この法改正により、簡単にアカミミガメを逃す人は少なくなるでしょう。
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外来生物は人の手によって生み出された存在です。なので、人の手で対策しなければ増える一方で、その影響はやがて人の手ではどうしようもなくなってしまいます(今まさにそうなっているのかもしれませんが……)。日本に古くから生息している生き物を守るために、法の力を柔軟に使うこともたいせつなのかもしれません。
参考文献
・下村実『水族館飼育係だけが見られる世界』ナツメ社 2024年
・中島慶二、益子知樹(監修)『いきもの六法』山と渓谷社 2022年
・逃せば罰則 きょうからアカミミガメ、アメリカザリガニ規制開始 朝日新聞2023年6月1日
・アカミミガメとアメリカザリガニ、ペット飼育を認める「条件付特定外来生物」指定へ 読売新聞2022年10月14日
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