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「ジャガーの毛皮」アマゾンにおける権威の象徴
大型ネコのなかでは
アメリカ大陸で最大
動物園の人気者といえば、キリンやゾウといった大型草食動物も挙げられると思いますが、ライオンをはじめとする大型ネコ目(食肉目)を思い浮かべる人も多いことでしょう。なかでも私はジャガーが好きで、ライオンやトラのような雄々しさと、チーターのようなしなやかさを合わせもつ、数多あるネコ類のなかでもっとも魅力なネコだと感じます。
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ジャガーはアメリカ大陸で最大の大型ネコで、体長116cmから170cmもあります。熱帯雨林の水辺をおもな生息地とし、黄色の体色に浮かぶ黒の斑紋が特徴的です。
ウルグアイなどでは
地域的個体群が絶滅
そんな鮮やかな毛皮に高い商用価値があったり、家畜を襲う有害動物として駆除されたりするため、ジャガーは絶滅の危機に瀕しています。実際に19世紀半ばのセルサルバドルやウルグアイといった地域では、土地開発によって孤立している個体群が補殺される事態が発生し、地域的な絶滅が生じたとのこと。
このほかにも、アマゾニア(アマゾン川流域のブラジルやベネゼエラといった地域の総称)では多くの民族により、ジャガーの毛皮目当てで狩猟されていた歴史が存在います。毛皮を取るために、危険を顧みずわざわざ大型の肉食ネコを狩ろうとする。日本でのんびり生きているわたしには、正直共感しがたいものがあります。
治療儀式では毛皮を
宝飾類では爪を使用
なぜ、そこまでしてアマゾニアの民族はジャガーの皮を求めたのでしょうか。調べてみると、その地に根付く権威性が大きく関わっていることがわかりました。アマゾニアでは森でもっとも強い動物とされるジャガーの皮を、シャーマンの権威の象徴として扱う文化があるそうです。皮だけでなく、宝飾類として首飾りにジャガーの爪を素材に使うこともあり、まさに「ジャガーの威を借る」べく狩る、といった具合のようです。
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(2022年開催「わけあって絶滅しました。展」の展示物)
特殊なケースだと、エタ族は治療儀式に患者の頭にジャガーの皮をかぶせるそうなのですが、森の王者にはそうしたスピリチュアルな力が宿ると考えられているのかもしれません。野生動物はしばしば根拠の薄い事柄に巻き込まれ、個体数を減らすことがあります。そうした事態に眉をひそめてしまう一方、その土地特有の人と動物にかかわり方には興味を惹かれてしまうな、とふと思ったりしています。
参考文献
・パトリシア・リーフ・アナワルト(著)蔵持不三也(翻訳)『世界の民族衣装文化図鑑〈2〉オセアニア・南北アメリカ・アフリカ編』柊風舎 2011年
・遠藤秀紀、本村浩之、小宮輝之、今泉忠明(監修)『学研の図鑑LIVEポケット 絶滅危機動物』学研プラス 2019年
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