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「タヌキ」都市の自然創出に貢献(かも?)なイヌ科動物
東京都港区にも出没
もこもこイヌ科動物
2021年1月、東京都港区のある夜。とある新聞記者が、思わぬ動物と遭遇しました。4本足でするすると駆け寄る影、記者は「イヌ?」と思ったそうです。ですが、街灯に照らされたその姿は、なんとタヌキでした。タヌキもイヌ科動物ですが、そのもこもことしたシルエットは明らかにイヌとは違いますので(犬種にもよりますが)、み間違いではないでしょう。
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港区だけでなく、東京では豊島区や江東区などにも目撃例があるそうです。東京と聞くと日本の中心的大都市といった印象がありますが、「国立科学博物館付属自然教育園」や「玉川上水」と呼ばれる運河の近くなどにタヌキが生息できる自然が残っているそうです。
9月頃から冬にかけ
果実を食べ種子散布
都市に生きる動物はみな雑食性の印象がありますが、タヌキも植物や昆虫、量は多くありませんが冬場には鳥類や哺乳類など、なんでも食べます。9月から冬になると、とくに果実を多く食べるようです。
じつはこのタヌキの果実食、植物の種子散布に大きな影響をもたらしているかもしれないのです。タヌキは行動圏内に数か所、決まった場所で糞をする習性があります。そして、タヌキの糞1年間120コを調べたところ、なんと116コもの糞のなかに、なんらかの植物の種子が確認されました。つまり、タヌキは果実を食べて特定の場所で糞をし、その場所に新たな植物を芽生えさせ、そこで実った果実を食べている可能性があるのです。
そう思うと、東京に残る自然は、じつはタヌキが人知れず育んだ自然なのでは、と思えてきます。いずれにしても、自然が少なくなった場所での木々や草花、鳥獣たちは末長く守っていきたいものです。
そっくりなみた目の
アライグマは外来種
さて、都市部での出没が目立つタヌキですが、みた目がよく似たアライグマもまた都市に生きる動物です。こちらは本来、北米などの森林に生息している特定外来種として有名ですが、イヌ科ではなくアライグマ科に属する動物です。
分類が違うのに、姿形がよく似ているこの2種の動物。どうみ分ければいいのでしょう。じつは足の形や体の色味など、よくみると違いがいくつかあるのですが、一番わかりやすいのが、尾っぽです。アライグマはしましまの模様があるのに対し、タヌキの尾っぽにはそれがありません。
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特定外来種であるアライグマは駆除対象になるので、発見したら警察や役所などに相談する必要があります。対してタヌキは日本の在来種。間違って駆除してしまうとたいへんです。どちらも身近な生き物だからこそ、慎重にみ分けて対応したいですね。
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参考文献
・高槻成紀『タヌキ学入門』誠文堂新光社2016年
・白金でも…都心でタヌキの目撃相次ぐ 記者バッタリ遭遇、緑多い公園などねぐら 東京新聞2021年2月3日
・アライグマかな タヌキかな? 産経新聞2019年4月12日
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