ユーザビリティテストの実施するときに、こんなところに気をつけてます!(準備編と実査編)
自分自身、ユーザビリティテストを実施し始めておそらく10年以上が経ちました。
ユーザビリティテストはUXリサーチの基本で、まず初めに通る道の人も多いと思います。
そこで、自分がユーザビリティテストを実施するときにこんなことを気をつけています!ということや、よりスムーズに進めたり、より問題点の抽出に集中するためのコツを紹介していきたいと思います。
自分は対面でのテストの実践歴が長いので、テスト室や会議室などを使って、協力者の方と1対1の対面で行う場合のことを中心に紹介していきます。
ただ、リモートでも応用できることも多いと思いますので、皆さんの参考になれば幸いです。
準備編
最初は準備編で、準備段階でのスケジューリングと初期化、進行表についてです。
スケジューリング
どのようにユーザビリティテストのセッションの時間を組んでいるか
1セッション60分だとすると、インターバルはできるだけ30分は設定するようにしています。このインターバルがとても大事です。
そこをケチって、少しでも早く終わらせたいからと
例えばセッションを50分にしてインターバルを10分にしようとかは基本的にはしないです。
30分インターバルを設けると、例えば15:30スタートと00分スタートじゃなくなるところがでて、例えば社内でのリクルートだと都合が悪いとなったときは思い切って、60分のインターバルを設けます(そうなると1日でできるセッション数が少なくなりますが、、)
ではその大事なインターバルで何をするかというと以下のことをします。
初期化
次のセッションの準備
前のセッションのラップアップ
休憩
1つめの初期化はすごく大事です。これについては次に詳しく書きます。
それと当たり前ですが、次のセッションの準備をして、
そして前のセッションのラップアップを行います。
ラップアップは、できればそのセッションの直後に行いたいですね。
記憶が鮮明なうちに事実確認や認識合わせをします。
最後に休憩。ユーザビリティテストは体力勝負です。1日何セッションも進行をすると疲れますし、疲れてたり慌てたりするとミスも起きやすくなります。休息も大切です。
初期化
初期化は
セッションが終わったあとに評価対象をユーザビリティテスト開始前の状態に戻すことを指しています。
プリンタであれば、用紙を取り出したり、設定を戻したり、Webページだとリンクで訪問済のリンクの文字色を元に戻したりします。
この初期化を
確実に実施できるように初期化のチェックリストを一枚必ず用意します。
セッションが終わった後に、初期化する当たり前のことですが、
この初期化に対しては、自分がユーザビリティテストの初心者のときに苦い思い出があり、それ以降とても大事にするようになりました。
その苦い思い出とは
その日は1日中セッションが入っていて、午前のセッションが終わり、お昼休憩のあとの昼イチのセッションで協力者の方が予定より早く来てしまい、慌てて始めたので初期化を戻し忘れてしまったということがありました。。
そのまま開始してしまったため、設定が前のセッションの終わった状態のままで、予定通りの進行にいきませんでした。
それに気がついたときは、内心はもう汗ダラダラものでした。。
協力者に気づかれないように表面上はその動揺がでないように努めてましたが、きっと表情に出ていたと思います。
それでも冷静に、観察室にいるベテランの方に指示をもらいリカバー策を考えて、なんとかことなきを得ました。
そのときはなんとかなりましたが、下手したら1セッション台無しになるところでした。
そんな思いを2度としたくないという思いから初期化には人一倍気を使うようになりました。
そしてセッションが終わった直後に実施するようにしています。
(始まる前ではあのときのように忘れてしまう恐れもあるので)
進行表
ユーザビリティテストの1セッションの中でも色々やることがあります。
当日は実査内でも予期せぬことが起こることもあるので、事前に決めた流れだけはその順番通り行いたいです。
ですので自分は実査で慌てないようにセッション内での進行の流れを記載した進行表を一枚用意しておきます。
この順番にやっていけば問題ないという拠り所の表を作っておきます。
特にタスクが複数あるとき、タスクとタスクの間で、マシンの設定を変えること、次のタスクで出すものなど忘れがちなので、
慌てないようにそういうことを進行表に記載して印刷して手元に置いておきます。
この進行表を作っておくのは、リモートでユーザビリティテストをやったときも作成し役立ちました。
リモートの方も録画開始のタイミングなど色々なことに気にしないといけないので、役立ちました。
実査編
続いて、ユーザビリティテストを実施しているときのコツとして、ヒアリングとタスク実施中についてです。
ヒアリング
まずヒアリングをするのは、タスクが終了したあとに実施し、
タスク終了後のアンケート内容にもよりますが、
まずどうでしたか?とざっくり聞くことがあります。
最初にタスクを実施してみても印象を聞くことがあるということです。
これは、客観的に見て迷っていて、試行錯誤していたけど、実は本人は「スムーズにできました」という印象をもったかもしれないし、
スムーズに操作したとうに見えて、実は頭の中で色々考えていて「迷いました〜」と答えることがあります。
観察していた印象で決めつけずに、素直に第一印象を聞いてみるのも一つの手になります。
そして、迷った部分などのところは
基本的にどんなことを考えながら操作していたかを聞きます。
例えばUIのメニューで迷っていたら
どのような言葉、キーワードを思い浮かべて探していたのか
アイコンを見てどのような機能を思い浮かべたのか
頭の中で思い浮かべたイメージを聞くようにしています。
その言葉やイメージが文言やアイコン修正のヒントになります。
そして、タスク後はアンケートを取ります。
そのアンケートには例えば「○○の分かりやすさ」とかで
「非常に分かりにくい、分かりにくい、どちらでもない、分かりやすい、とても分かりやすい」の5段階を選んでもらいます。
このときこの5段階に1〜5の数値をつけて一応集計しますが、
どの段階になったかはそれほど重要ではなく
ヒアリングのきっかけとして使うことを意識しています。
例えば「分かりやすい」のMAXより−1をつけたということは
何か−1の要因があったはずなので、
その−1になったのはなぜですか?と理由を聞きます。
「分かりにくい、非常に分かりにくい」となった場合は明確に分かりにくい要因があったので、それを聞き出します。
このようにヒアリングの糸口として使うことを意識しています。
タスク実施中
まずタスクを実施しているときは
進行役はとにかくノーリアクションです。
協力者の方が一人でタスクを実施していることが前提なので、進行役はじっとしています。
迷っているときには教えてあげたいという衝動にかられますが(特に対面だと目の前にいるので)とにかく我慢。
そして、これが意外と表情や体に出やすいんですが
難しいと想定思われるタスクを達成したときもノーリアクションです。
喜びや安堵の気持ちが出てしまいますが
それは内心にしまっておいて表情やリアクションにでないように耐えています。
タスクが終了したときも客観的に見てタスクが終わっていても
協力者が「終わりました」と言って自身で終わったと認識するまで声をかけません。
協力者の人がまだ終わってないと思っているかもしれないので
進行役から声をかけることはしません。
迷っている人をみると教えたくなりますが
とにかく我慢することをトレーニングする方法としては
普段から誰かが迷っている様子を観察することをおすすめします。
身近な人を観察するとトレーニングになります。
ただやりすぎると意地悪な人になっちゃうので、やりすぎにはご注意を!
自分の妻はユーザビリティテストのことを知っている人で
妻が何かを操作しているときに、自分があえて教えずに観察しているのを察すると、UTじゃないんだから、見てないで教えてよ!ってたまに言われますw
進行役はどこまで観察のメモをするか?
自分はほとんどメモしません。一番近くで直接見ているので観察に集中します。
ただし、あとでここをヒアリングしたいことはメモ程度にすることがあります。
このメモするタイミングも大事で
ずっとメモしてなかった進行の人が、何か操作したあとに急にメモすると
あれ?今の操作まずかったかな?違ったかなと
余計なことを考えてしまう恐れがあるので、メモするタイミングは少しずらして、さりげなくメモします。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
最後まで読んでいただきありがとうございます。
他にも気をつけていることがありますが、書ききれないのでこのぐらいにしておきます。
ここが参考になったとか、ここをもう少し教えて欲しいなどあったらコメントやXでで返信くれれば、全力で反応するようにします!