【EURO2024】 R16 スイスvsイタリア
スイス 2-0 イタリア
どちらが前回大会の優勝国だったのか、わからないほど力の差は明確で
文字以上に何もできずイタリアが16強で姿を消した。
スイスのチームとしての完成度は称賛するべきだが、それ以上にイタリアを酷評せざるを得ない内容だった。
スイス
ハンガリー戦でレビューした通りにスイスのストロングポイントは、左CBロドリゲスの駆け上がりによる数的優位。(下記事)
そして後ろから人がどんどん出ていく前線からのプレス(以後、前プレ)とリトリートした際の守備の使い分けが見事だった。
スイスはとにかく前からハメにいく姿勢が徹底されている。
前線からのプレス時は、マンマークが基本で逆サイドに振られた際や人数が足りないときは躊躇なくボランチのジャカ、フロイラーが飛び出してきてフリーで持たせない。
今回のイタリアでいえば、逆サイドのウイング浮くことになるが、そもそもプレスをかけているので逆サイドには絶対に振らせない構え。
特に、前半41分のシーンは象徴的で、自陣に押し込まれた状態からGKへのバックパスが入るや否やジャカがキーパーまで猛然とプレス。
応えるようにスイスの守備全員がラインを押し上げながらマンツーマンの配置を取ったところは"前からハメる"という戦術浸透度の高さを伺わせる。
また、こういったシーンでキャプテンがハードワークを見せられるチームは強いなと感じます。
イタリア
チームが持っている課題をすべて浮き彫りにしてしまったかのような試合。
特に守備設定においてちぐはぐさを感じました。
スタメンの選定については、普段そこまでイタリア・セリエAを観ていないので言及は避けますが、問題は4-3-3による前プレスの中途半端具合。
恐らくスイスのキーマンであるロドリゲスが高い位置を取れないように、最終ラインのCB3人にマンツーを当てるため、3トップを選択したのだと思っているのですが、、、プレスがこの3人しか行かない。
びっくりするくらい中盤が付いてこない。
スイスは早々にGKゾマーを使いながら後ろでのパス回しを4枚に増やして数的優位を作り、サイド⇒GK⇒逆サイドと持っていき、間延びしまくっている中盤へあっさりと脱出。
上手くいかないと踏んだのか、20分くらいからはこの形を作らず
リトリートし始め、ここからスイスに一方的に押し込まれる展開となり、先制点まで一直線。
最終ラインの固さでどうにか前を向かせないようにして耐えていたが
先制点は2列目からの飛び出しにより、前向きフリー。
2失点目は、前半防ぎ続けていたバルガスに前向きを許してしまった結果。
キックオフでの放り込みをイージーミスした直後の場面でもあったため
チーム状況が色濃く映ったシーンでした。
2失点してからはイタリアが押し込む場面が増えましたが
スペイン戦同様、攻撃時の球離れが悪く、スイスが1タッチ、2タッチで叩いていくのに対して、3ラインが間延びしているために持ち時間が長い。
ビルドアップで運んでいく選手が両手を広げて、コースがないジェスチャーをしている姿も散見され、前線もポジショニングが被ってぶつかるシーンもあり、攻撃においても整理されていない印象でした。
まとめ
スイスはチームとしての完成度が高く、どこまで勝ち上がっていけるか楽しみなチーム。
イタリアはここ数年、W杯に出れなかったと思ったらEUROに優勝したりと不安定な成績を見せていましたが、この大会でも不安を抱える結果に。
今シーズンこそセリエAのクラブは欧州レベルの大会で悪くない結果を残していましたが、代表チームの80%以上が国内組で構成されている点など、無視せずにはいられない状況かもしれません。