オンとオフのスイッチ
どんな仕事であれ、目的があり、やるべきことがあります。
時には苦しいこともあるはずで、それでも乗り越えて行かなければいけないことがあり、そんな時、よく言われている話として、オンとオフを切り替えて、気分をリフレッシュして、気持ちも新たに仕事なりなんなりに取り組む、という考え方があります。間違っていないし、その通りだと思います。それができるならそれに越したことはない。
ただ、オンとオフを切り替える、というのは結構難しく、切り替えたつもりでいても、後ろ髪引かれる思いで、ちょこちょこと仕事のことを思い出したり、プライベートのことを思い出したりして、相互に干渉して効率を落とすことがよくあります。
ということで、ちょっと別の考え方を書いてみます。
そもそも、オンとオフをきれいに切り替えることがなぜ求められるのかというと、先にも書いた通り、「気になること」があると、別の行動の際に思い出してしまい、その瞬間には考えなくていいことを考えてしまって、全体の効率性が低下するためです。
本当にそうなのでしょうか?
(A)と(B)の2つのやるべきことがあるときに、(A)の課題を引きずったまま(B)に取り組んだ場合、内容的に(A)と(B)が無関係であるならば、確かに(B)の効率は低下するように思います。
ここで考え方を変えてみましょう。
(B)に取り組んでいる際に、(A)のことが気になったのであれば、(B)を中断して、(A)に取り組むことで、(A)が進捗します。その後、(B)を再開すれば、理論上は全体の効率は落ちません。
そんな機械みたいなことはできないよ、という意見もあると思いますが、先に挙げた、オンとオフを切り替えるという話と本質的には同じだと思います。どのタイミングで切り替えるかだけの違いです。
何が言いたいかというと、効率性を高めるためには「切り替え」という行為はとても重要ですが、切り替えるタイミングは人それぞれの向き不向きがあるので、切り替えやすいタイミングを見つけることが肝要だということです。
多くの人間は飽きっぽい性質を持っているので、同じことを延々と続けることは苦手です(僕もすごく飽きっぽい)。切り替えるタイミングは、いつでもいいのです。客観的にみて美しいタイミングで切り替えても良いし、「え?ここで切り替えるの?」というタイミングでもまったく構いません。(A)と(B)をウォーターフォール型で順々に進めて行ってもいいし、コマ切れにして短いスパンで切り替えながら同時並行的に進めていっても構いません。どちらも等価です。強いて言うなら、両方のやり方を身に付けられると「幅」は確実に拡がります。
そして、もうひとつ。重要なことがあります。
それは、切り替える先となる「目的とアクション」を常時ストックしておく、ということです。
仕事ならいくらでもあるよ、という人もいると思います。上記の考え方はもちろん、仕事(A)(B)の切り替えに適用できます。しかしながら、どんなに複数のやるべきことがあったとしてもすべては仕事です。根っからの仕事人間で、仕事が生きがいのすべてである、というならそれでも構いませんが、そうではないのだとすれば、仕事以外のやるべきことをいくつ持っているか?というのは、人生全体の効率性に影響します。
「人生の効率性」と書くと、せせこましく感じられるかも知れませんが、気持ちよく生きる、という意味合いだと思ってください。必要な無駄(矛盾していますが)な行為というものが人生にはたくさんあります。それがあることで楽しく、ときには、悲しくなるさまざまなことがいろいろあって、日常が豊かになるのだと思います。
仕事もプライベートもすべては自分の人生を彩る重要な要素です。限られた時間の中で、できるだけ豊かな日常を送るために、自分にとって大切だと思うやるべきことをたくさんストックしておき、それを自分のタイミングで切り替えながら取り組んでいくことで、効率的に得たい目的に近づいていけるのではないかと思います。
その際、やるべきことは「目的とアクション」のセットで用意するということです。まず、目的があり、それを実現するためのアクションがある。というセットです。実際の行動になるので、アクションの方に目が行きがちですが、その先の目的が曖昧だと、優先度を見誤ったり、モチベーションの低下が起きやすいので、目的はキチンと考えて決めておきましょう。別に他人に説明するものではないので、自分が納得のいく目的であるなら、問題ありません。
もし、現時点で自分のストックが少ないと感じているなら、目的=成し遂げたい未来・変えたい未来を書き出してみることをおすすめします。次にそれを実現するための手段としてのアクションを考える。これでやるべきことは用意できました。あとはオンとオフを切り替えながら毎日を送っていきましょう。試行錯誤は必要ですが、着実に目的には近づいていくはずです。
まとめ
・オンとオフの切り替えは大事。
・切り替えのタイミングは人それぞれ。
・目的とアクションをたくさんストックしよう。
・納得のいくタイミングで自由自在に切り替えよう。
・それで着実に前進していくはず。
励みになるので気に入ったら気軽に「スキ」していただくとうれしいです。また、本記事は筆者の個人的な見解であり、所属する組織や関係する団体・個人の意見を代弁するものではありません。