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私的戦後史概論
こんばんわ。ちょっと暇すぎて、こんなのを書いてみました。壮大なテーマです。今回は、デカく出ましたよ!
1.戦後日本の発展の背景
・防共の防波堤としての日本の重要性
・先進資本主義国における唯一の非白人国、非キリスト教国。欧米の投資家は、日本の発展を通じて資本主義は白人キリスト教国だけのものではないという普遍性を裏付けようとした。
・欧州における西ドイツと東ドイツの関係が、日本と中国の関係。どちらのモデルが成功するかが、資本主義陣営にとっても共産主義陣営にとってもデモンストレーションとして重要
・日本の経済発展の他の要因は人件費の安さ&円の通貨安、そして人口ボーナス その結果日本製品が世界を席巻
2.冷戦崩壊と日本の凋落
・資本主義が勝利したので、欧米の国々、国民が日本に肩入れする理由がなくなる ex:「歴史の終わり」(フランシス・フクヤマ)
・同時に中国の国際市場参入、人件費は中国の方が遥かに安い。
・中国は人口ボーナスがあるが、対照的に日本は人口オーナス(人口減少期における経済縮小)へ。
・安くて良いものが中国から大量に流入→デフレーション「失われた10年」が続く
・中国の国際市場参入のインパクトは、欧米よりも日本が大きい。理由は「近い」から…輸出しやすい。欧州にコンテナを1往復する間に日本へは10往復できる。消費者動向も直ぐに掴めて対応もしやすい。
・かつ東アジアでもっとも裕福な国。金を持つ消費者が沢山いる。中国や台湾の企業からすると買い手のターゲットとして最適。
・なぜ日本だけずっとデフレなのか?⇒他の先進国より中国に圧倒的に近いから
・欧米に船のコンテナで運べるのは、熱の変化に強く日が経っても腐らない物。東南アジア、インド洋、中東を経由なので工業品中心。
・日本は工業品だけでなく、農水産物も輸出できる距離。中国産のニンニク価格は国産の3分の1、タケノコや鰻も格安。
・欧州は既に成熟社会。中国の地位(安い日用品を大量に製造販売)とはポジションが被らない。
・人口オーナスも既に乗り越えて、高い賃金水準に見合った生産性を追求。(むしろ80年代までの日本の躍進が、欧米にそういったポジションチェンジを迫った。)
・対して、日本は「帯に短し、タスキに長し」の中途半端なポジション。ex:レクサスやグランド・セイコー
・大衆車と高級車、大衆ブランドと高級ブランドの中間。ex:ベンツやBMW、ロレックスやオメガとの違い。
3.デフレ時代
・中国産品を使った2000年代ユニクロのファーストリテイリングやダイソーの伸長、旧共産圏を自分たちの経済構造に組み込む動き。マクドナルドも偽装事件でナゲットが中国産鶏肉と露見。
・2000年代の百円ショップ叩き。100円ショップが日本人の所得水準を下げていった。100円ショップ従業員の年収は低く、購買力ある消費者にはなれない。ダイソーの社長はネガティブ発言しかしないので有名。
4.欧州との比較
・ドイツ経済が今も好調なのは、EUの発足による単一市場の成立と、冷戦崩壊後安い労働力を旧東ドイツと東ヨーロッパから得られたこと。
・日本は旧共産圏の成長性を自分たちのナショナルな経済構造に組み込むことに失敗。むしろ自分たちが一方的な消費者とされてしまい、不均衡な関係が続いた。
・東西融合がドイツでは「ドイツ」という国家の名やEUの名の下でなされたが、東アジアでは日本の貿易赤字、中国の貿易黒字の形で為されたため、国富が移動するように見えた。(ある意味南北格差の縮小ともいえるが)
・同時にドイツでは主権国家内やEU内で不均衡是正措置を多様な方法で取れたが、日中間では内政不干渉の原則により調整が困難。通商と外交しかない。
・これに対し、日本としては他の先進国同様、女性の労働参加を進めるなどして労働力不足を補っては来た(=賃金の高騰を抑制)が、中国12億人の人口と比べれば焼け石に水。
5.日本伸び悩みの理由
・昔も今も日本人はそれなりに頑張っている。「昔の日本人は勤勉だったから発展した」という説は眉唾。それ以上に外部環境の変化が大きい。
・例えると、冷戦崩壊までは追い風の風速5メートルだったのが、冷戦崩壊後は向かい風5メートルになった。同じ速度で走っていても、合計10メートルの風の差が生じると、思っていた以上に遅く感じるもの。
・恐らく日本人は、戦前も戦後も冷戦後も大して変わっていない。このくらいの停滞は、まぁそんなもんだろう、と考えることもできる。
・状況的に似ていたのが近年の韓国。1998年のアジア通貨危機で韓国はIMF管理下に入った。ムーディーズといった格付け会社は、韓国の信用度を投資不適格にまで落とす。ex:韓国映画「国家が破産する日」(ネットフリックス)
・IMFがそれまで保護主義的だった韓国の政策を、競争主義的に変更する。韓国も自発的に今のような輸出中心の構造になったわけではなく、半ば強制開国させられた。
(余談)BTSのメンバーは当時小学生に上がるかあがらないかぐらい。子供心に国の権威が揺らぐのを感じたかも。
・日本も、現在のように国債を乱発していれば、円安になってインフレが起きる可能性がある。恐らく本当の構造改革に迫られるのはその時。
・外部環境の変化に対応して日本の組織を変えていくには、いままでのような現場ボトムアップ型「カイゼン」では対応できない。例えば政治のイニシアティブ、象徴的伝統企業の倒産、IMFのような外圧がなければ、変わっていけない。(IMFは超トップダウン)
6.打開策としての教育
・ゆとり教育が間違いだったと言われて久しいが、幼い頃にゲーム好きが昂じてプログラミングで遊んでいた子たちは、今や年収1000万を余裕で超える。
一面では学校や塾で真面目に勉強していた子の方が貧しい。ex:ひろゆき、ホリエモン、ユーチューバーのヒカキン、ヒカル、官僚を目指さない東大生
・ゆとり教育で謳われた「マネではなく、人にないものを追求していく」という教育の方向性は、国際社会における日本のポジションを考えると正しかった。躓いたのは方法論上の問題。教えにくい。(今は昔より教えやすいだろう)
7.今後の展望
・深圳を中心とするエリアは、第4次産業革命の震源地。
・今後、音楽やアートは彼らを中心に回っていく。マンチェスター、リバプール、シカゴやデトロイトが新しい文化の発信地となったように。
・そうなるまでには、まだ紆余曲折がある。日本が政治と経済で引き裂かれる状況はこれからも当面続く。グローバリズムを持て余しているのは中国とアメリカも同様なので、殊更悲観する必要はない。
・かつて「経済一流、政治三流」などと揶揄された日本だが、多分これからは「経済二流、政治二流」くらいにはなっていく。
・大抵、文化というのは経済の爛熟期(衰退期)に発展する。「売り家と唐様で書く三代目」(初代の財産を食いつぶして、文化だけは身に着けた三代目のこと)というのは、マクロで見ても当てはまる現象。
8.まとめ
・それを悲観的に受け取るより、唐様で書けることを前向きに考えては。都市国家アテネは滅びてもアテネの文化は生き残った。
・外交的には、冷戦期フランスでアメリカ中心の世界戦略に時々へそを曲げて国益を守ったド・ゴール主義がこれからの日本には相応しいんじゃないかと思う。(「ノーと言える日本」からあまり変わってないけど)
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