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面白かった小説 絲山 秋子「逃亡くそたわけ」
精神病院を脱走する躁病とうつ病のカップルの話。
絲山さんの小説は結構読んだ。「沖で待つ」「ばか者」「離陸」「薄情」「小松とうさちゃん」「御社のチャラ男」「イッツ・オンリー・トーク」「スモール・トーク」とか。
確か「沖で待つ」から読んだ気がする。「沖で待つ」は、職場の異性の同僚との友情の話で、切なくでも爽やかな読後感だった。
面白かったので図書館にあったのをありったけ借りてきて、端から読んだが、毎作切り口が違い、次から次へと読んでしまった。
これだけ読んでいると、絲山さんの手法は大体見えるのだけど、分かっていても面白い。文学賞を総なめするのも納得。
どれも傑作なんですけど、ベストを一つ挙げろと言われたら、「逃亡くそたわけ」。「俺たちに明日はない」ボニー&クライドの精神病者ヴァージョンというか。一種のロードムービーの趣き。
現代は、社会不適応者を精神医療というスキームで包摂していく傾向が加速している。それに抗して不可能と知りつつ、自己の尊厳、自己決定の大切さを描いている、ような?間違ってたっていいじゃない、って言っているような気のする小説でした。
だいぶ昔に読んだので薄ぼんやりとしか覚えていないのですが、これが一番面白かったのは覚えています。
映画にもなっているそうですが、そっちは未視聴です。機会があれば観たい。
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