ブラック・ミュージックのライブ・アルバム名盤3選
こんばんわ。knt²です。
さて、今日はライブアルバムの名盤を取り上げたいと思います。ライブアルバムという形態、最近の若い人にはピンと来ないかもしれません。ライブアルバム全盛期というのはなんとなく70年代の気がしていて、今回取り上げるのも全て70年代の作品です。
ライブ・アルバムを聴くときは、ストリーミング・サービスのように一曲ずつばらして聴くより、アルバムとして頭から通しで聴いた方が盛り上がるように思います。
1.カーティス・メイフィールド「カーティス/ライヴ!」
まずは、カーティス・メイフィールド。カーティスは天才的なソングライターで、非常にメッセージ性の強い社会的、政治的な曲をよく書いています。特にピープル・ゲット・レディは、公民権運動に材を取った有名な曲です。「カーティス/ライブ!」は、その名の通り彼のライブアルバムです。ウィキを見てみましょう。
アメリカ合衆国のソウル/ファンク・ミュージシャン、カーティス・メイフィールドが1971年に録音・発表したライブ・アルバム。
1971年1月、ニューヨークのグリニッジ・ヴィレッジのクラブ「ビター・エンド」で行われた公演の模様が収録されている。ソロ転向後の曲だけでなく、メイフィールドがインプレッションズ時代に発表した曲や、「愛のプレリュード」のR&Bアレンジによるカヴァーも収録された。
Bruce Ederはオールミュージックにおいて5点満点中4.5点を付け「ソウル・アーティストが発表した最も偉大なコンサート・アルバムの一つであり、なおかつ時代を超えた伝説的なライブ・アルバムの一つ」と評している。
アナログ二枚組の一枚目A面(15分)がユーチューブにありました。
マイティ・マイティ~アイ・プラン・トゥ・ステイ・ビリーバー~ウィ・アー・ザ・ウィナーまで黄金曲のリレーが素晴らしいです。
コンガ、ボンゴなどアフリカン・パーカッションを多用したグルーヴィーでマイルドなソウル/ファンクに痺れます。JBやスライなど他のファンクバンドと違って、優しい音色のワウ・ギターを多用するのもカーティス・サウンドの特徴の一つですね。カーティス自身のファルセット・ヴォイスもアトモスフェリックです。
一枚目のB面音源もありました。最後までこういう緊張感で進み、二枚目はさらに高揚する曲も多いので、やっぱり通しで聴いてほしいです。(よく探せば全曲ユーチューブで聴けるかもしれません。)
1961年創業のビター・エンドというクラブは今もあります。
渋いクラブですよね。
中はこんなに濃密な空間です。カーティスもオーディエンスに語り掛けるような親密な雰囲気でMCも演奏も進んでいきます。
2.ボブ・マーリー「バビロン・バイ・バス」
これも凄いライブ・アルバムです。
レゲエ史上最もパワフルなライブを収録した1978年のライヴ作品。1978年のヨーロッパ・ツアー。ウェイラーズが世界のミュージック・シーンに欠かすことの出来ない存在であることを伝える、懐の深い内容で、当時まだスタートしたばかりのパンク・ムーブメントとレゲエとの連帯をベースにした「パンキー・レゲエ・パーティ」も収録。(発売元ユニバーサル提供資料)
クラッシュに触発されて書いた曲も収められています。ボブ・マーリーの入り口として最適です。
3.ジェームス・ブラウン「レヴォリューション・オブ・ザ・マインド」
3枚目は、ファンキー・プレジデントことジェームス・ブラウンです。
ジェームス・ブラウンのライブアルバムは10枚以上あるのですが、私が薦めるのは「レヴォリューション・オブ・ザ・マインド」(1971)。ニューヨークのアポロ劇場でのライブです。JBクラシックのオンパレードです!
曲もすごいし展開もすごい。R&B期のヒットシングルとファンク期の代表曲を硬軟自在に織り交ぜてきて、翻弄されっぱなしです!こんなライブ、生で見たら失禁します。JBファンクの入り口としてもベストです。
JB通、ファンクマニアの中には、パリ公演を録った「ラブ・パワー・ピース」じゃないの?という意見もありそうですが、私が聴いた限りでは「レヴォリューション~」の方が良くまとまっていると思います。
ラブ・パワー・ピースは、ブーツィー・コリンズを中心とするJB'sのアナーキーな演奏が暴走気味。
それに対して、「レヴォリューション~」は、ブーツィー脱退後、JBファンク期後半のライブであり、ニートにまとまってショーとしての成熟が感じられます。またこの姿こそがJB本人が満足する自画像だったと思います。
ちょっと気になってライブ会場であるアポロ劇場について改めてウィキペディアしてみました。
アポロ・シアター(アポロ劇場)は、ポピュラー音楽においてアメリカ合衆国の著名なクラブの一つ。アフリカ系アメリカ人(黒人)のミュージシャンやアーティストが中心の有名クラブである。
ニューヨーク市マンハッタン区内の黒人居住地区「ハーレム」の125丁目に位置し、毎年130万人が訪れるニューヨークの観光名所の一つとなっている。1932年にSidney S. Cohenがこの劇場の新しいオーナーとなり、1934年には黒人のエンターテイナーを雇う、ニューヨークで唯一の劇場として新しくオープンし、黒人文化の象徴的存在となった。
歴代の出演者は、デューク・エリントン、ディジー・ガレスピー、チック・ウェッブ、カウント・ベイシー~中略~、ゴスペルのアポロ出演を果たしたのは、ザ・ステイプル・シンガーズ、マヘリア・ジャクソン、クララ・ウォードらだった。
白人としてアポロシアターのステージに立ったのは1957年8月のバディ・ホリー。プロモーターは白人と知っていて出演を依頼したのではなく、曲を聞いてその音楽性から黒人と間違えて出演を依頼した。ホールに着いた彼らを見てプロモーターは慌てたが、すでにどうすることも出来ず仕方が無くそのままステージに立ったという。観客は彼らを見て戸惑ったが、最終的に彼らを受け入れ好評の内にステージは終了した。
1934年以来、アマチュアの歌手やダンサーが出演する人気イベント「アマチュアナイト」が行われている。プロへの登竜門といわれ、エラ・フィッツジェラルド、ビリー・ホリデイ、ジェームス・ブラウン、ダイアナ・ロス、マーヴィン・ゲイ、ジャクソン5、スティーヴィー・ワンダー、アレサ・フランクリン、ベン・E・キング、ローリン・ヒル、サラ・ヴォーンなど多くのスターを輩出してきた。
こんなすごい所なんですね。カーティスのライブ会場とは随分趣が異なります。故郷に錦を飾るというか、デビューした場所に恩返しですね。ジェームス・ブラウンには、黒人(アフリカン・アメリカン)文化のシンボルであるこのライブ会場を思いっきり沸かせたい、という気持ちがこもっていたんですね。
この3枚のライブアルバムは、ほんと素晴らしいのでぜひ一度聴いてみてください!