「エレクトリック」ギターについて ~インピーダンス編~
あけおめ
何がおめでてえんだよ 言ってみろよ
まあ昨年の激動が続いてまして、現在私物の9割が手元にありません。殺すぞ。暇なのでつらつらと。
ギター。ってあるじゃないですか。エレキギター。正確にはelectric guitar。直訳で電気ギターです。
ギターは区分的に「電気楽器」という種類にカテゴライズされます。この認識が非常に重要です。これを知ってるだけで一段上になります(何が?)
ちなみにベースってあるじゃないですか。あれも正確にはelectric bass guitarです。電気低音ギターです。ベースにも通じる話なんです。
とはいえ、電気楽器、って何?と聞かれても答えられないという方が大半だと思います。皆さんの身近にあるものではピアノが最もわかりやすいです。
まず1種類目。グランドピアノやアップライトピアノ、また教会にあるオルガン等、特に電気を必要とせず、それ自信に発音や増幅の機構を備えているものを「アコースティック楽器・生楽器」といいます。
ピアノ以外では金管、木管、弦楽器、打楽器、まあオーケストラや吹奏楽で使う感じのやつです。もっと身近だとドラムやアコギ、特殊な見方をすれば人の声もアコースティック楽器です。
そして2種類目。所謂キーボード、電子ピアノ、シンセサイザー等というものです。これらは発音や増幅の機構も全て電気的なものを使用しています。こういったものを「電子楽器」といいます。
電子楽器の例だとテルミンとか、エアロフォンとか、電子ドラムとか。モジュラー系のシンセサイザー等も含まれます。人の声がアコースティックならばVOCALOIDは電子楽器かもしれません。
最後に3種類目。ん?と思った方が多いと思いますが、そうです。「電気楽器」です。
いや、なくね?と思っている方がまだいらっしゃると思います。最近はサンプル音源ばかりで実物の日の目を見ることがかなり少なくなりましたが、エレクトリック・ピアノという楽器があります。
これは、アコースティック・ピアノのように弦を叩く打鍵楽器の発音構造を持ち、その振動をピックアップで拾って電気的に増幅させ、アンプのスピーカーから音声を出力するというものです。どうですか?かなり、エレキギターに近いと思いませんか?
つまり電気楽器は「アコースティック楽器の発音機構を持ち、その振動をピックアップで拾って電気信号に変換し、アンプで増幅して、再度電気信を音声に変換して出力する」ものだと思ってOKです。
この定義をすることで役に立つことが2つあります。「インピーダンス」と「イコライザー」です。
インピーダンス
インピーダンスZとは電圧Vを電流Iで割ったものです。
オームの法則ってあるじゃないですか。電圧Vを電流Iで割ったものを抵抗Rとすると。R=V/I。つまりV=RIですね。ただしこれはDCつまり直流の話で、それをACつまり交流の領域まで広げたものがインピーダンスZです。つまりV=ZIです。
ここで電磁誘導の仕組みを思い出して欲しいんですが、エレキギターは磁石にコイルを巻いたピックアップの、弦の振動による磁場の変化によって微弱な電位差(電圧)が発生します。ここでファラデーの電磁誘導の式は V=―Δφ/Δt です。微分っすね。まあそんなこたあどうでもよくて。大事なのは電圧が磁束の変化と時間変化で決まるということです。エレキギターの弦の振動って、まあどんだけビヨンビヨンしてても大体同じようなモンじゃないですか。つまり、めっちゃくちゃ単純化して考えた場合、ギターをジャカジャカしているときの磁束の変化は一定と考えられます。よって、誘導起電力Vは定数と考えられます。
インピーダンスの定義からZ=V/I ⇔ V=ZI
上記よりVは一定なのでZI=C(Cは定数)
よって、インピーダンスZと電流Iは反比例します。
つまり、つまりですよ。ハイインピーダンス、って言うじゃないですか。ギターの直後ではインピーダンスが高いって。インピーダンスが高いということは、電流は反比例するので、小さいということです。
なんてわかりやすいんだ!!!!!!!!!
ふざけんなよマジでよ。最初っから電流弱いって言っとけよマジで。何横文字使ってんだよ意味同じだろうが大した回路経由してねえんだから。
ちなみにローインピーダンスという言葉もありますね。エフェクターの後段やキーボードのDI、またアクティブPUのギター等にも用いられます。インピーダンスが低いということは、電流は反比例するので、大きいということです。
当たり前だろボケナスが!!!!!!!!!!なんのための9V電池だ!パワーサプライだ!電子楽器なんだから電流デカいに決まってんだろ!!!
マジで今からでも遅くない、ハイインピーダンスでなく小電流とか小信号とかに変えてくれ。マジで頼む。こういうくだんねーとこで躓いてほしくねーんだ俺はよ。
ちなみにS/N比の概念もプラスするともっと世界が見えてきます。S/Nとは 電気信号/ノイズ の比で、これが大きいほど、ノイズが少なくてよい環境になります。また、ノイズは大抵の場合同じ状況下では一定です。
エレキギターは弦の振動を電流に変換します。つまり電流の大きさが、信号の強さに直結します。
つまりハイインピーダンスではノイズに弱く、ローインピーダンスではノイズに強いということになります。
ここで皆さん「バッファ」をご存知でしょうか。エフェクターの話です。ハイインピーダンスの信号をローインピーダンスの信号に変換するという機能を持ったエフェクトです。
エフェクターにおいては元々エフェクトオフ時に音が減衰するのを防ぐ回路でしたが、最近は高品質なバッファというものが多く出ていまして。多くのメーカーがペダルチューナーに高性能なバッファを搭載しています。なんか先頭に繋ぐと良いらしいです。
さて、このバッファですが…………
なぜ、良い音になるんでしょうか?
ここまで読んだ勘の良いガキの皆さんならお分かりでしょう。そうです。
電流をデカくしているんです。
エレキギターは線路をいくつも通るものなので、信号はとにかく減衰する=電流が小さくなるんですが。それを最初段で増幅させておくと信号の減衰が最小限で済むんですね。だからS/N比も高いです。結果的に良い音になります。
あと、ちょっと前に流行った、先頭にクリーンブースター置いてゲインゼロで常時オンにするやつ。あれも同じです。音デカくしてるだけです。何P Boosterだの、何千preだの、いや普通に音デカいだけです。
なんか悔しくないですか?
…………恥ずかしくないですか??
でも大丈夫!今日から、2025年からあなたは大丈夫です。エレキギター・ベースは楽器であると共に電気楽器だということを、少しずつ理解していきましょう。
逆に、だからこそギター本体って大事なんですよね。
材、弦、ナット、サドル、スプリング等振動部分
ピックアップ、ポット、コンデンサ、配線材、はんだ、ジャック等電送部分
また、ギターからボードまでのシールドも超重要です。ここらへんは音がめっちゃくちゃ変わるので気を付ける必要がありますね。
ちなみに余談ですが宅録でオーディオインターフェースにギターを繋ぐ際に、Polytune 3を一台挟んでbonafide buffer onにしておくとかなりノイズが減ってナイスです。理由は、まあわかるでしょ。
インピーダンスにキレ散らかしてたらこんな時間に。おやすみなさい。明日初詣行きます。ぜってえ大吉出す。