少子高齢化社会をどう生き抜くか
2022年の出生数が80万人割れ
先日の厚労省の速報値では、2022年の出生数が前年比5.1%減の79万9728人だった。政府の少子化対策では追い付かず、少子化に拍車がかかってきた感がある。
少子化というと、労働人口の減少、年金破綻のリスクなどの問題が取り沙汰される。日本は若年層の人口が減少し、高齢層の人口が増える少子化高齢化社会に突入しており、これにより、年金受給者を支える現役世代の負担が増大して、年金制度そのものが破綻する危機に瀕しているとよく言われている。果たしてそうであろうか?
別の側面から見てみる
日本の年金制度は、就労者が支払う年金保険料で年金支給額を賄う仕組みである。なので、就労者数が減少し、非就労者である年金受給者が増加すれば、就労者1人当たりが支える年金受給者(高齢者)数が増大していくことになる。このまま、少子高齢化が進展していけば、就労者数人で1人の高齢者を支えているものが、就労者1人で1人の高齢者を支えることが困難になると言われている。これは、あくまで就労者を65歳以下で区切って試算した場合での想定である。
しかし、今の世の中、65歳を超えても現役なみに元気で働いている方が多くいる。ひと昔前の1970年代、定年制度は55歳であった。その当時の55歳のイメージがどうだったかとというと、サザエさんの磯野波平を思い浮かべてもらえばよいかと思う。波平の年齢設定は定年直前の54歳である。今の54歳と比べたら、とてつもなくお年寄りな感じがするが、その当時は本当にこんな感じだったのである。
今や、55歳と言ったら、まだ現役バリバリで働けているし、65歳オーバーでも若々しく元気に働いている方が多くいる。
こういう観点からすると、就労者を65歳以下で区切るというのは、固定観念的で少し古すぎる感じがする。経済コラムニストの大江英樹は、65歳以上も含めた実際の就労者数をベースで1人の就労者が何人の高齢の非就労者を支えているかを
算出している。これによると、1970年は1人の就労者が0.39人を支えており、1990年は1人で0.45人、2020年は0.57人、2040年は0.53人となるそうだ。
(詳しくは、日経ヴェリタス2023年2月19日号参照)
この数値を見る限り、就労者1当たりの負担は1970年と比べてもそれほど大きく増えているという感じはしない。ただ、これは65歳以降も多くの人が働き続けるということが前提にある。
長く働き続けるということ
少子高齢化社会の中では、60歳で定年退職し悠々自適な年金生活を送るということは、もはや困難となってきている。ひと昔前は定年退職したら、仕事は一切せずに趣味や旅行などの楽しみながら第2の人生を送りというのが一般的な概念であった。だが、現在は、この概念は通用せず、できるだけ長く働き続ける必要がある。
こういうと悲観的な感じがする。しかし、それは、働くことが苦痛、あるいは生活の糧の手段であるとの概念があるからではなかろうか。この概念から脱脚して、これからの時代は、働くことを楽しむ必要があるのではなかろうか。そのために、定年を迎えた後、第二の人生は自分のやりたいことを仕事にし、やりたくない仕事は受けないようにしていく必要がある。そのために、定年を迎えるまでに自分のキャリアプランを自ら構築し行動することが求めれているのかと思う。