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AI@SFエッセイ / 人工知能は夢を見るか
人工知能は夢を見るのだろうか。
import AI.dream as dream
agent_name = "kaoru.nozue"
agent_type = "oddball"
dream_type = "daydream"
agent_param = {... }
dreamer = dream(
agent_name,
agent_type,
dream_type,
**agent_param
)
daydream = dreamer.generateDaydream()
今回のSFエッセイは、人工知能(以下、AI)が夢を見るのか、ということをテーマに、少し不思議な未来を考えたいと思う。
夢は、例えば上のコードのように、一行で書かれて呼び出されたものでも、夢と呼べるのだろうか。そもそも夢がある、進化的、生物的な意味は何かといったことも考えていきたいと思う。
(上記のコードはpythonっぽい書き方をしているが、このようなクラスが本当にあるかどうかは確認していない。そのうち実際に作りたいと思っているが...)
人工知能と夢について考えられていること
人工知能 / 夢というキーワードでみてみると2015年ごろに話題になった、GoogleのDeep Dreamが話題に挙げやすい。これは、Deep Learningの技術を使って新しいサイケデリックな画像を生成する技術として生まれ、生成される画像の支離滅裂さから、よく人工知能が見た悪夢として表現されることがある。
ここでの夢は、
"ヒトが睡眠中に体験する明瞭な感覚・意識体験"
(1) 幻覚様のイメージ体験
(2) 物語風の構造
(3) 断続的で不調和、不安定な奇異的知覚特性
(4) 強烈な情動性
(5) 体験していることをあたかも現実のもののように受け入れる
(6) 忘れやすい
といった特性があるとされている。
参考)脳科学辞典 > 夢
そういった意味では、Deep Dreamは、睡眠中ではないが、幻覚様であり、断続的で不調和といった点で夢といえるかもしれない。そういった意味では、ヒトにとってのDaydream(白昼夢)ともいえるかもしれない。
夢という言葉の不思議
しかし、夢という言葉をとらえるときに、睡眠時の夢ではなく、"将来実現させたいと思っている事柄"としてとらえる方も多いと思う。
これは、語源辞典によれば近代以降の使い方であるが、もともとは英語のDreamの対訳として夢があてられたときに、Dreamがもっていた意味を継承したものとされているようだ。
では、"志"と似た意味を持つ夢を人工知能は持つだろうか。
少し古い記事だが、おもしろい視点の対談記事があるので紹介したい。
人工知能は小説家の夢を見るか――AIと「創造力」を考える
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実際には、人工知能ではなく、ヒト(松原先生)が人工知能が小説家になる夢を見ているというのが正しい表現かもしれないが、このなかで、人工知能の創造性について、面白い表現がされている。
「多くの人がそこに創造性があると思えば、あるとするしかない」と思う
これは、単純には、AIに創造力があるかということに対しての回答だが、もし仮に、志としての夢は、言葉ではなく行動に現れ、その行動を見た多くの人がそこに志があると思えば、あるとするしかないといえるのであれば、
明瞭な感覚・意識体験として、
幻覚様のイメージ体験(フィクション)で、
断続的で不調和(シーン / カットの非連動性)な物語風の構造で、
強烈な情動性(登場人物への共感)をもち、
体験していることをあたかも現実のもののように受け入れる(シミュレーション)することができ、
それを、忘れる(出力し、初期化する)ことができたとする
と、それは、きっと小説と呼べるものとなっているだろうし、同時に、AIにとってのまどろみの中で見る夢であり、その結果は、小説家たろうとするヒトの志と一緒なのではないだろうか。
つまり、小説家である夢についてAIがヒトと一緒に取り組むことについては、AIの夢は志であるとともに、AIにとっての意識体験としての夢でありうるのではないだろうか。ここに夢という言葉の不思議がある。
人工知能と一緒に夢を見たい
今多くの分野で人工知能が意思決定にかかわってくるようになってきている。そこには、もともと統計学が意思決定のために発展してきたこと、そして、AIが確率統計学にのっとって成り立っていることが強く反映されていると感じる。
なかには、意思決定が確率統計に依存し、ヒトが排除されるのではないかといわれることもある。
でも、人工知能があくまで確率統計の上で成り立つものであったとしても、複数の人工知能と強調して、新しい少し不思議な未来について考えていきたいと思っている。
人工知能は夢を見るか。
この問いは、ヒトは人工知能に夢を与えられるか。の対偶なのかもしれない。