2024年夏映画
2024年の夏映画をまとめる。
フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン
終始シリアスだった「ファースト・マン」などとは違い、現場とマーケティングの衝突、陰謀論のチープさとその危険性をレトロな——古臭い、わけではない——コメディとして描いていた。スカヨハがブラック・ウィドウのようなキャラを演じていたのは笑ってしまった。
デッドプール&ウルヴァリン
20世紀フォックスへの送別会映画であり、TVAと虚無を通して「過去があるから今がある」ことを肯定するポジティブな映画だった。ウルヴァリンをはじめとする豪華ゲストの登場にもちゃんと意味があるのだが、その分カサンドラは浮いていたかもしれない。「ガンビットって誰だ?」と思ったら映画化されてないらしく安心した。デップー同士の横スクロールによる殺し合いは画として面白かったが、結局全員生き返るので徒労に終わるところは苦笑してしまった。
フォールガイ
スタントマン出身のデヴィッド・リーチ監督が映画を支えてきたかつての自分のような《フォールガイ》達に報いるような作品で、大量の映画ネタの引用やオマージュを用いてその愛を表現していた。登場人物がことあるごとに映画のセリフを引用して喋るので「タイムライン」みたいで笑ってしまう。
もちろん小ネタだけの作品ではなく、リーチ作品ならではの迫力ある——ありすぎてギャグとして機能してしまう——アクションシーンや《フォールガイ》のダブルミーニングで構成されたストーリーなど、満足度の高い作品だった。砂漠で彼を見ると「デューン」を思い出しますよね。
ラストマイル
「アンナチュラル」「MIU404」のファンだったので見に行った。巨大になりすぎて自分自身ですら文字通り止められなくなってしまった邪悪(evil)なシステムに対し、大企業/中小企業/個人事業主/ユーザーなど様々な視点から、個人に何ができるのかを問う、確かに2作品の延長線上にある作品だった。彼女達と彼らの登場はもちろん嬉しかったが、密接に関わるわけではなく、離れた場所と領域から、自身の仕事で貢献することで繋がっているという距離感は作品を象徴していると思う。問題は根本的には解決していないし、「また間違えるかもしれない」が、またここからやり直せるという一抹の希望を感じさせる作品だった。
犯罪都市 PUNISHMENT
「悪人伝」の警察と犯罪者が入れ替わったキャスティングだったが(まあ、「どっちがヤクザかわからん」のだけど)、作中で密接に会話するわけではないのでそういう意味でのクロッシングはなかった。アクションの構図はほぼ同じだが——それほど悪い意味ではない、それが楽しみなのだから——毎回いろんな形での犯罪と犯罪者が出てきて飽きさせない工夫がある。今回はIT音痴描写も含め、いつにも増してユーモアに溢れていたように思う。このシリーズって、悪人同士で殺し合いをしていることが多いから、警察側としては仕事が減って助かりますよね(もちろん、悪人であっても殺しを防ぐのが本分ではあるものの)。
Coming Soon…
「ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ」「ヴェノム:ザ・ラストダンス」「クレイヴン・ザ・ハンター」などが気になる。