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経営視点の「外国人雇用」とは
こんにちは。
知識の幅を広げてアドバイス力を高める、
プレミア士業勉強会「Knowledge Cross」事務局の佐藤です。
私たち、Knowledge Cross(通称:ナレクロ)は、
「人脈は広げたい」けれど「交流会が苦手」な方でも参加でき、
士業が安心して集まれる「ヨリドコロ」の場として、
経営的な視点で学び合える勉強会を開催しています。
そんなナレクロの2024年4月の勉強会。
「経営視点の外国人雇用とは」
というテーマで、
行政書士で「外国人の在留資格」がご専門の笠間 由美子(かさま ゆみこ)先生にお話いただきました。
笠間先生は、海外支援を行うNGOで世界各地を経験された後、
「日本にいる外国人をサポートしたい」
「日本において、国際協力に携わりたい」
という想いから、行政書士資格を取得。
いろんな行政や士業団体を巻き込みながら、
「日本人と外国人がほんとうの意味で共存できる環境」
を目指して奔走されています。
■このテーマを選んだ理由
「外国人雇用」というと、
「人手不足を解消するための手段」として語られるイメージがありますね。
ですが、、、
3月からのナレクロ勉強会の大きなテーマは、「海外展開」。
実は、外国人雇用は、
・企業が海外に事業を展開したり,
・企業が成長するうえでは、
欠かせない要素の一つです。
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コロナ禍をきっかけに、
オンラインで世界と気軽に繋がれるようになりましたね。
そのおかげで、
「海外出張」や「海外支店の設立」といった大がかりな準備がなくとも、
日本にいながら、
簡単に、「海外の取引先」と一緒に、
海外向けのビジネスをできるようになりました。
ですが、、、
やっぱり、
その国の文化や好み、空気感は、その国の人が一番知っています。
「今は予算はあまりないけれど、
将来はインドネシア進出を視野に入れたい」
といった会社さんは、
まずはインドネシア出身の外国人を雇用して、
インドネシアの文化や好みを理解することから始めるとよさそうです。
なにかとガラパゴスになりがちな日本。
海外に事業を広げていきたい会社さんならば、
外国人材の雇用を通じて、
将来を見通しておくことは大事ですね。
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■中小企業で進む「外国人雇用」
ほんの少し前までは、大企業のイメージだった「外国人雇用」。
今は、
日本で働いている外国人の80%近くが、
「100人未満」の会社で働いています。
特に、
製造業や建設業で重宝されている「技能実習」という制度ができてからは、
工場などが多くある地方でも、
外国人が多く働くようになったとのこと。
「外国人雇用」は、
地域や業種、会社の規模を問わず、
とても身近な言葉になってきていますね。
ですが、
外国人雇用にはルールがあります。
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外国人を雇用する人が守らなければならない3つのルール。
それは、
①日本で働くための在留資格を持っている人を雇うこと
②在留資格に合った仕事をさせること
③在留期限を守ること
このルールを守らないと、
その会社の事業主の方が「不法就労助長罪」という罪に問われます。
入管に在留資格の申請をするのは本人ですが、
事業主の方も、雇う時のルールをしっかり守る必要がありますね。
そして、、、
在留資格には、
・どんな仕事でも働ける「身分系(永住者や日本人の配偶者など)」
・専門的な知識を使った仕事ができる「技術・人文知識・国際業務」
・現場で活躍できる「特定技能」
をはじめとして、29もの種類があります。
その会社さんに合った形のものを選んでいく必要がありますね。
ちなみに、特定技能を受け入れる場合は、
その準備に数か月かかります。
外国人を雇うには、戦略的に準備を進めていくことが大事ですね。
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■「外国人」がもたらすもの
海外の人を雇うとなると、やはり苦労はつきもの。
・宗教がちがったり、
・食習慣がちがったり、
・時間の感覚がちがったり。
と、はじめは戸惑うことも多いです。
ですが、
会社さんが、その外国人にしっかり向き合った先には、
得られることも多いのも事実です。
笠間先生がこれまで経験されてきた中では、
・日本語で仕事を覚える外国人の姿を見て、一生懸命の連鎖が起きた。
・外国人に業務を教える過程で、業務が効率化した。
・外国人ならではの新しい視点で、新しい事業が実現した。
といったこともあったようです。
実際、私のクライアントさん(建設業)でも、
ベトナム人の受け入れを通じて、
「日本人の若手が成長した」会社さんがあります。
従業員に向き合う覚悟がある会社さんにとっては、
「外国人を雇用する」ということは、
海外展開だけでなく、多方面での効果が期待できそうです。
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■海外の「外国人雇用」
以前は、「日本に出稼ぎに来る」イメージがあった外国人。
ですが、今は、
「日本で働きたい」と思う外国人は減っているのだとか。
もちろん、円安の影響もありますが、
「言葉」の影響も大きいようです。
日本で働くには、
「まず母国で日本語を習得してから日本に来る」必要があります。
なかなか、日本に来て働くまでのハードルが高いですね。
よく考えれば、、、
世界の中で、日本語が通じるのは、日本だけ。
将来を考えると、
「英語が通じる国」で、語学勉強兼ねて働く方が、
効率がよさそうです。
ちなみに、
お隣の韓国では、
そういった言葉のハードルを下げるために、
「韓国に来る前に、韓国語を学ばなくてもいいよ。
韓国で働きながら、韓国語を学んでいけばOK」
という施策をとっていたりしているそうです。
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一方で、
笠間先生の言葉で印象的なものがありました。
それは、
「日本は安心して暮らせる安全な国だから選んだ」という外国人の声は、いまだに根強い。
というもの。
世界に選ばれるためにも、
外国人の特性やニーズを踏まえたうえで、
日本のよさを発揮していきたいところですね。
■「士業が自分の専門分野をとがらせる」には
ナレクロ勉強会の後半は、
それぞれの士業の業界のことなどを深く知ったり、
情報交換をする時間です。
今回お話いただいた笠間先生は、
「外国人の在留資格の専門家」として、
他士業からも認識されています。
ナレクロ後半の時間では、
そんな笠間先生が、
現在のポジションを得られたきっかけについて探っていきました。
笠間先生にとってのきっかけは、各所での「セミナー」。
特に、
「各士業の団体でのセミナー」や
「商工会議所などの公的機関でのセミナー」
の実績は、士業にとっては、
自分自身の専門性を知ってもらうための名刺代わりにもなります。
笠間先生は、ご自身の強みをセミナーを通じて伝えていかれ、
「神奈川で外国人の在留資格といえば笠間先生」
というポジションを得ていかれました。
自分自身の専門分野を見極めたうえで、
講師業を受けていくことは、
士業にとっては、重要な一つの選択肢ですね。
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■今後のテーマ
2024年3月以降のナレクロは、
しばらく「海外展開シリーズ」として、
企業が海外展開をするうえで知っておきたいことをいろいろお伝えしています。
そして、海外展開シリーズのあとは、
「出口戦略シリーズ」を予定しています。
さまざまなテーマで、
士業の幅を広げていくナレクロを、お楽しみに。
※会員の方は、過去の動画と資料をすべてご覧になることができますので、会員のみなさんは、そちらもご覧くださいね。
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