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10年来の推しに会いに群馬県へ行った【群馬県富岡市】

 2010年代、私が多くのまとめサイトを流し見ていた頃。
 ある自然科学系の話題まとめサイトで、「真面目に考察された空想上の生物」というテーマで様々な画像が紹介されている記事を読んだ。
 どういう生物が並んでいたかはもう定かでないが、ある一枚の画像に私の目は釘付けになった。
 "もしも恐竜が絶滅せず、知的生命体に進化したら"
 ……ディノサウロイドという、古生物学者ディル・ラッセルが1982年に考察し示した恐竜人間、の模型。
 全身が鱗に包まれ、突き出した口と大きな目を持つ、直立二足歩行で尾のない、恐竜。

めっちゃ 好き


群馬県へ行こう

 ディノサウロイドの模型は、日本国内では群馬県立自然史博物館に展示されている。かつての私はそこまで調べ、住居から群馬県への距離と交通宿泊費の壁にぶち当たり、行くのを断念した。
 その後は自分でディノサウロイドモチーフのキャラクターを作成したり、『ジャバウォッキー』という絶滅から逃れて進化した恐竜が人の世で暗躍する世界を描いた漫画を入手したりと別の手段で恐竜人類成分を補った。しかし、ディノサウロイドに会いに行きたい欲はたまに目を覚まし、私のことをじっと見てくるのだった。
 ちなみに、この趣味でありながら天才てれびくんの『恐竜惑星』を観たことがない。悲しい。

2023年、この告知をTLで見つけてしまった。

群馬県立自然史博物館じゃん
 ディノサウロイド欲が目を覚まし、お前はポケモンシリーズが好きで最近ちょうど関東地方に住み始めたな、と囁いてきた。
 願ってもない特大の機会だった。行くしかない。ついでに可能な範囲で観光して、群馬の美味しいものをなるべくたくさん食べよう。
 金曜の仕事終わり後に群馬へ移動して宿泊し、土曜の朝から博物館に向かうとざっくり計画を立てて、9月に博物館と宿の予約を取った。

1日目(金曜日)

 新宿駅で乗り換える時に本屋で『神様が殺してくれる』を購入し、電車の中で読んでいた。群馬県にいる間の移動時間は情報収集に使っていたため手を付けていなかったが、2日目の帰り電車で読み切った。詳しくは伏せるがこのタイプの森博嗣氏の書き方は本当に参考になるが参考にならない。そういう方法あるんだ……。

麺屋 承太郎

 高崎市のホテルにチェックインし、荷物を置いて夕食に出る。目星を付けていたのは麺屋 承太郎さん。おそらく二郎系(ジャンル分けに詳しくない)のラーメンとつけ麺のお店だ。
 店名から察せられる通り『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズへの想いが溢れており、メニュー名や調味料容器のラベルにファン心を感じた。また、漫画連載時に世に出たと思われるグッズ等が店内に展示してあった。ジョジョ好きは視覚的にも楽しめると思う。

「山盛りラーメン承太郎」という、もやしとキャベツがたくさん、ニンニクすりおろしがたくさん、チャーシューが三枚トッピングされたラーメン
「山盛りラーメン承太郎」(チャーシュー追加)

 覚悟していたよりは脂っこくなく、美味しくいただいた。お店を出た後は雨が降りそうだったので早々にホテルに戻った。

2日目(土曜日)

群馬県立自然史博物館

 群馬県立自然史博物館は高崎市から上信電鉄に乗り、上州七日市駅や上州一ノ宮駅から徒歩で30分ほどかかる位置にある。
 旅の時期は9月で、まだ夏を感じる気候だった。博物館到着の段階で疲れている状態は避けたかったため、上州七日市駅に到着後はタクシーで博物館まで移動した。

 博物館入口にあるポケモン化石博物館の看板が大きくて嬉しかった。

群馬県立自然史博物館のイベント展示、ポケモン化石博物館の画像
かわいいね

 目的の一つである常設展示の「地球の時代」コーナーは、恐竜をはじめ化石として現れた生物の骨格模型がたくさんあって楽しい。部屋の天井が高いため、恐竜のサイズ感をたっぷり味わえる。

恐竜の骨格標本が展示された博物館
ウッヒョ~~~~~~~~
絶滅したサメの口の想像模型
でっけ~~~~~~~~
デイノニクスの骨格模型
兄弟……!(FGOネタ)
オヴィラプトルの骨格模型
サバタの先祖……!!(ジャバウォッキーネタ)

 とにかくたくさんの骨が、手を伸ばせば届きそうな距離にある。動く模型もある。ずっとその場で見ていられるような展示だ。
そうやってうろうろしていると

横から見たディノサウロイドの模型

いた!!
 
他の恐竜の模型に気を取られていると急に視界に入ってくる。念願のディノサウロイド模型に会うことができた。

顔の正面から見たディノサウロイドの模型
顔の正面
恐竜が絶滅しなかったら。恐竜は白亜紀末に絶滅しましたが、もし絶滅せずに生きていたらどんな姿でしょうか?カナダのラッセルたちは、神獣脚類の中でも大きい脳を持つ恐竜、トゥルオドンを研究し、トゥルオドンが絶滅しないで、進化し続けたらどうなっていたかを考えました。それがディノサウロイドです。正面を向く大きな目を持ち、手の先には物を掴むことのできる三本の指があります。体は直立しますが、尾は退化して無くなっています。
体の正面と解説

 想定していたよりも小さい模型だったが、野性味の強い眼差しは背丈に係わらず魅力的だ。
 ラッセル氏の考察については、既にモノを掴む手がある場合に水平な体を直立させる意味が薄い・羽毛や爪や大きな脚などの恐竜の要素がここまで消えることはない・脳と知能発達が進化で必ず起こるわけではない等の指摘がなされている。要は恐竜からヒトに寄りすぎているという話だ。
 フィクション方面ではディノサウロイドの発表以前からも恐竜から進化した人類というアイデアが受け入れられており、いろいろな作品でその姿を見ることができる。嬉しいね。

二階から見た首の長い恐竜の骨格模型。
当記事のカバー画像は、地球の時代コーナーの別の階からの眺め。
ここでもディノサウロイドが見える

 余韻のまま残りの常設展示を見て回った。群馬県の生物相の展示が気に入った。順路に沿って移動すると、第二の目的であるポケモン化石博物館の展示コーナーへ着く。イベント展示の入り口は撮り忘れた。

ポケモン化石博物館へようこそ。ポケモンと古生物学の世界へレッツゴー
説明パネルが既に良い
化石・古生物学の説明と、カセキポケモンの説明
この展示における説明もあって親切。
カセキポケモン集合イラストでは2023年で最新のガラル組もいる

 カセキポケモンとその元ネタの生物がセットになった展示がたくさんあり、どこを見ても楽しい。本当に多いので現地で見てほしい。パネルの説明も丁寧で、もっと画質よく撮影をしたかったと今更悔やんでいる。

アノプスとアノマロカリスの紹介
こういう感じの展示がいっぱいある
カブトとカブトガニ、オムナイトとアンモナイトの紹介
いっぱい
メガヤンマとメガネウラの紹介
ある
チゴラスとガチゴラスとティラノサウルスの骨格模型
迫力もある。チゴラスはかわいい

 一度にこんなにこのサイズのポケモンを見せてもらっていいのだろうか。我々の世界の化石と並べることで、こちらとポケモンの世界がそう遠くないのではと思わせるような熱意ある展示だった。ガラル地方の化石組はまだ研究が始まったばかりという説明だったので、もしいつか現実の化石とのすり合わせ説明が上手く行ったら展示に参加してほしい。

 巡回展示「ポケモン化石博物館」は2021年から始まっており、2025年まで各地の博物館で開催される予定だ。博物館によって展示が少しずつ異なるそうなので、興味と都合があったらぜひ行ってみてほしい。

ゴミ箱はベトベター模型と一体化している。このベトベターの食べられるものはビン・カン・ペットボトル。
おまけのはらぺこベトベター(資源ごみ回収箱)

はや味

 博物館の後にどこへ行くかまではちゃんと決めていなかった。上信電鉄の駅から行ける範囲にはこんにゃくパークという施設もあったが、最寄りの上州福島駅から25分程度は歩くため、暑さや体力を考えると難しいという判断になった。ここも面白そうなので機会があったら行ってみたい。
 とりあえず昼食を食べることにした。群馬県の名物料理については事前に軽く調べており、「おっきりこみ(おきりこみ)」といううどんの一種があることを掴んでいた。おっきりこみを出すお店が富岡製糸場の近くに何件かあったため、富岡製糸場へ向かった。
 入ったのははや味さん。到着時には少し人が並んでおり、閉店時間が14時30分と早めだったため、入れるかどうかやや不安だったが大丈夫だった。

おっきりこみという群馬県のうどんと、野菜の天ぷら
おっきりこみうどん+天ぷら

 期間限定で冷やしのおっきりこみも出ていたが、せっかくなので通常のおっきりこみうどんを注文した。当然のように熱くて食べるのに難儀した。
 野菜の煮物に平たいうどんを入れたような感じで、具沢山でどこか安心する味付けだった。

富岡製糸場

 はや味さんのお向かいレベルの距離に富岡製糸場があったので、せっかくだから見学することにした。

東置繭所
東置繭所

 製糸場の建物内には当時の物品と共にさまざまな資料が展示・配置されている。建造当時は西洋の建築様式にまったくなじみがなくレンガを作るところからになった話や、働き手の労働環境や福利厚生の話、蚕から取った後の糸の扱いなど、製糸場に関わるいろいろな話題が紹介されていた。

 蚕の幼虫の生体が展示されている場所もあった。その日に見たのは四齢幼虫で、思っていたより小さいように感じたが、もう一度脱皮をして五齢幼虫になれば自分が持っていたイメージのサイズの蚕になるようだった。桑の葉を元気に食べていて可愛かった。

どどめ色のどどめって桑なの!?

 一通り回った後、自分用のお土産に絹糸でできた花のチャーム付きの金属栞を購入した。現在自宅で活躍している。

日本の酒と馬の肉 ウマ○ 高崎駅前店

 富岡製糸場見学後は高崎駅まで戻ってきたが、旅から帰るにはまだ少し早いという時間帯だった。電車で来たのだから遠慮なくお酒を飲んで帰ろうと思い、居酒屋を探した。
 少し調べてウマ○ 高崎駅前店さんのメニューに惹かれた。破格のお値段の馬刺しが提供されている。群馬県の地酒を扱っているのも良かった。実際に行ってみたところ、予約客がこの後に入ってくる雰囲気があったが一応席に案内してもらえた。
 お通しは冷奴、注文したのは地酒、馬刺し升盛、馬肉ポテトサラダ。実はお酒の銘柄を覚えていない。メニューを見ると群馬泉がそれっぽいような気がする。

冷奴、地酒、馬刺し升盛、馬肉ポテトサラダ

 ポテトサラダは自分たちで作るタイプのものなのだが異様に作りづらかった。馬刺しはあっさりしつつ赤身のタンパク質の感じがゆっくり出てきて、そういえば馬肉はこんな味だったなと思い出せた。
 美味しくいただき、お店を出た。

おわり

 長らく抱えていた願望を叶えられてとても良かった。そこにポケモンがついてくるとなると破格も破格だ。
 車を使えたらもっと遊べたなという気持ちはある。富岡市にはサファリパークもあったのだが、あまりに駅から遠いので最初から勘定に入れていなかった。こんにゃくパークは次に機会を得たらぜひ行きたい。というか博物館でお土産屋を見損ねたのでもう一度行きたい。
 ここまでお読みくださりありがとうございました。

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