アトリエについて考えた
出店すると必ずお客様から聞かれることは「お店とかないんですか?」
ええ、ないんです。ひとりで作っているのでお店まで手が回らなくて…と答えていますが、その度に「アトリエあればいいな」と思ったものです。
知り合いになった作家さんを訪ねる機会も増えてくると、かなりの方が自宅やビルの一室に小さなアトリエショップを持っていることがわかりました。
たとえそこが、かなり奥まった場所でも、不定期営業でも、お客様はちゃんと来てくださるということもわかりました。
開業3年が過ぎ、そろそろ自宅の1階をアトリエショップにしようと思い立ち、銀行や商工会で融資や補助金利用の話をし、来年のプランを作り、経営状況を大急ぎでまとめてみました。
「融資や補助金を受ける以上は、自宅でもきちんと利益を出す工夫は必要です。定期的なショップオープンや駐車場の用意。そして、自分だけの商品でなく他の商品も売るとか。」というアドバイス。一方では
「でも、よく考えて。お客様との距離感が今まで以上に近くなるし、時間も取られるけど大丈夫?」という意見も。
そこでハタと気づきました。わたしそんな社交的なタイプでないかも…
製作時間がじっくり要るから、売りながら作るのは難しいなぁ。
で、お金を借りてまでアトリエを改装するのはやめました。
無理のない範囲で、自分が気持ちよく過ごせる仕事場であればいい。たまには友人やお客様を呼んでもいいな。
年に1回か2回ならアトリエオープンも考えてみようか。あとは出店や作品展で十分かなぁ、オンラインで注文もあるし…
いろいろ考えてみて、やっと冷静になれたのでした。
目標を設定してゴールに一直線に向かうというスタイルは、今のわたしには馴染まない。だいたいの方向性だけ決めておけば、その過程を楽しみながら様々なチャレンジもできます。先の読めない新しい時代、きっと思いがけない楽しいこともあるはずです。