認知処理の強みと弱みの見つけ方
学習の困難を抱えた子どもたちに指導を行う際、その子どもの思考方法を理解すること(アセスメント)は、どの指導案を利用したらいいのかを判断する助けになります。
例えば、以前に取り上げた子どもの読みの困難さには、多くの原因となる問題が考えられます。単語の読みに問題があったり、集中できなかったり、出来事の順番を追えなかったり、全体像を把握できていなかったりということかもしれません。
先生や保護者にとっても、子どもの学習上の問題と関連する要因が分かっていれば、より効果的な支援に繋がります。
子どもは知的能力の強さと弱さを相互にうまく補完しあうことが難しかったり、持っているスキルを有効な場面で発揮することができず、学習上の失敗を経験するかもしれません。
例えば、視覚情報の処理の方が言語能力よりも強いにもかかわらず、イラストや 表、グラフなどの視覚的な情報を用いずに言語的な情報をもとに学習する。筆算などの作業スキルが高いにもかかわらず、暗算で解こうとするためにミスを繰り返す。このように能力やスキルをうまく認識していなかったり、自分に合った方法を取るかどうかで、結果に大きな差が生まれることに気づかないまま、十分に力を発揮できないことは、よく観察されます。
そのため、子どもの「知的能力における強さと弱さ」、また「学習上の強さと弱さ」が分かることは指導を行う上で重要になります。
知的能力という言葉を聞けば、一般的にWISCで測定可能なIQ(知能指数)を思い浮かべるかもしれません。
しかし、WISCでは学習に関連する認知処理の強みと弱みを明らかにすることができないこともあります。
学習の妨げとなる認知能力における個人間差、個人内差を見つける上で、実は「認知処理」という観点もあります。
NaglieriとDasは、知能のPASS理論に基づく子どもの認知機能評価検査としてDN-CAS(Das Naglieri Cognitive Assessment System)を開発しています。
PASS理論という言葉には、その要素であるプランニング(Planning)、注意(Attention)、同時処理(Simultaneous processing)、継次処理(Successive Processing)が含まれています。
各要素については今後の記事で詳細を述べますが、これらの強みと弱みを見ることで、強みである情報処理様式(同時処理もしくは継次処理)で苦手な情報処理様式を補うという戦略を練ることができるほか、注意の自己制御や環境の調整、そしてプランニングへの言語化を中心とした支援方法などに繋げることができます。
KNOTでは学習の問題に対して、DN-CASを含めた評価パッケージ(テストバッテリー)を提供しています。丁寧に評価することで、お子さまのスキルの獲得や強化によって、認知的な弱みの影響を最小限に抑えられるような指導方法を選ぶことを目指しています。
もし、お子さまのことで気がかりがあれば、適切な評価と支援がある場所を探してみてください。大きく困る前に手を打つことが肝心です。
ご希望の方は、こちらからお申込みください。
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