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「順序通り」取り組めるのか?:継次処理
以前の記事で取り上げた、知能のPASS理論の構成要素のうち、この記事では継次処理について簡単にご説明します。
PASSという認知処理過程は、人間が考え、学習し、問題を解決する際に用いられます。これらの処理は、読み書きや算数などの学習場面だけでなく、車を運転したり夕食を作ったりといった日常生活にも深く関わっています。
継次処理
継次処理は、言語の習得において重要な役割を果たします。たとえば、子どもが単語を学ぶ際には、音を系列的に扱い、正確な順序で再現しながら話し言葉を習得します。「あ・お・い」などの音を順番通りにつなげて「青い」という単語を形成することが、その一例です。
さらに、継次処理は算数の学習にも欠かせません。筆算の計算では、正解に到達するために特定の手順に従う必要があります。たとえば、足し算や引き算の筆算では、桁ごとに順番に計算を進めることで、正しい答えを導き出せるのです。
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工作や体育など、動作を系列的に遂行することが求められる場面でも、継次処理は重要です。
継次処理が得意な子へのサポート:強みを伸ばす方法
継次処理が得意な子は、順序立てた学習を得意とする傾向があります。この力をさらに活かすために、次のアプローチを取り入れましょう。
1. ステップバイステップアプローチ
学習内容を小さな単位に分けて順番に進める方法です。
• 進め方:
1. 学習内容を小さなステップに分割する。
2. 各ステップを理解しながら、順序通りに学習する。
3. 前のステップとのつながりを意識する。
例:算数のかけ算
• 1桁同士のかけ算を理解する
• 繰り上がりのあるかけ算を学習する
• 2桁×1桁、次に2桁×2桁のかけ算へ進める
2. アウトライン作成
学習内容を構造化し、全体像を把握する方法です。
進め方
1. 学習テーマを決める。
2. 主要なポイントを順序立てて列挙する。
3. 各ポイントを詳細に展開する。
例:理科の「植物の成長」
• テーマ:植物が成長する過程
• 主要なポイント:種子→発芽→成長→開花→結実
• 詳細展開:
• 種子:種の構造や必要な条件
• 発芽:水、温度、光の影響
• 成長:根・茎・葉の役割
3. タイムライン学習
時系列に沿って学習することで、物事の流れやつながりを理解します。
進め方:
1. 出来事や手順を時系列順に並べる。
2. 各段階の関連性や変化を考察する。
3. 背景や結果を分析する。
例:家庭科の料理手順
• 材料の準備→下ごしらえ→調理→盛り付け→片付け
• 各段階のポイント:「材料の下ごしらえはなぜ必要か」「加熱時間の管理がなぜ重要か」を考察する。
継次処理が不得意な子へのサポート:段階的に理解を促す方法
継次処理が不得意な子には、情報を分かりやすく整理しながら学ぶ工夫が必要です。
1. ステップバイステップアプローチの活用
• 学習内容を細かく分けて進める。
複数の手順を一度に伝えず、1つずつ段階を踏んで学ぶようにします。
• 視覚サポートを活用する。
手順を図やチャート、絵で示すことで理解を助けます。
2. プロセス分析
手順や方法を理解するために、各段階を整理します。
進め方:
1. プロセスの各段階を明確にする。
2. 各段階の目的や重要性を説明する。
3. 段階間の関連性を意識する。
例:工作の「紙飛行機を作る」手順
• 紙を折る→折り目を整える→翼を調整する→飛ばして調整する
• 各段階のポイント:「折り目を正確につけると飛びやすい理由」を説明する。
3. リズムや音声サポート
順序を覚える際にリズムや歌を取り入れると効果的です。
例:英単語のつづりや九九を覚える際に、リズムや歌を使って順序通りに学ぶ。
DN-CASを使用して継次処理を評価すれば、その子にとって継次処理が強みなのか、あるいは弱みなのかを把握することができます。そして、その結果をもとに適切な指導方法を導き出すことが可能になります。
適切な評価と支援が受けられる場所を探し、早めに手を打つことが大切です。子ども一人ひとりに合わせた学びの工夫で、学習や日常生活を楽しく、スムーズに進めていきましょう。
評価と支援をご希望の方は、こちらからお申込みください。
Naglieri, J.A., Pickering, E.B., 久男, 前., 健, 中., & 慎治, 岡. (2010). DN-CASによる子どもの学習支援 : PASS理論を指導に活かす49のアイデア.