Shouldを大切に
初めて書いてみる。
鉄は熱いうちに打て、というから、いまの気持ちを書いておこう。
新天地に来て、1カ月が経った。それなりにうまくやれていると思う。少しずつ、いろんな人に話しかけながら、笑いながら、居心地はよくなってきている。人当たりのよさは昔からほめられてきたことだった。
でも、順風満帆ではない。うまくいっていないこともある。歯がゆさも感じないわけじゃない。なにより、新天地は自分で選んだところでありながら、100パーセント納得して選んだ場所ではないのだ。
自分の目指していたもの、それになれなかった。ある程度妥協していまの場所におさまった、というのが正直なところ。
自分の目指すべきもののために。あこがれに少しでも近づくために。でも、タイムリミットには間に合わなかった。やるべきことをやらなかった。それでも現実は迫ってきた。そんなとき、尊敬する人からの後押しがあった。エールをもらったようで、引導を渡してもらったようでもあった。
候補となった新天地は、思い描いていたものとは違ったけれど、それでも魅力はたくさんあった。安定していたし、自分の経験とスキルを活かせる領域だった。なにより、思い描いていたものに通ずる可能性があった。そうやって、野望と失望と現実とをすり合わせて、いまの場所にやってきた。
ここで、実践経験を積みながら、果たせなかった目標をクリアして(3年間の延長期間が設けられていた)、もう一度チャレンジしたい。迂回路を通ることになったけれど、いつか絶対に。
そう思ってやってきた新天地だった。そこで、外部からやってきた僕は、外部ゆえの役割を担っていた。それは、外部の専門家の視点を持って、内部をよりよいものに変えていくこと。どこの組織もそうだろうが、とくに内部が凝り固まりやすい領域なのだ。
僕は、まずは馴染んでいこうとしていた。ちょっと大人なやり方を取ろうとしたのだ。変だな、おかしいなということを感じながら、でもそれを変えるのには時間がかかるから、理解が得られそうな人を少しずつ探していって、根回ししていって、地道に変えていこう。そんなふうに考えていた。でも、もっと熱く、青く戦っていく方がいいのか――
いや。それでいいか。
方法は問題ではない。むしろ、もっともっと深いところ。
地道にいくにしろ、戦っていくにしろ、自分の軸は何なのか。
自分のブランドは何なのか。
自分の哲学は何なのか。
人当たりがいい人というのは、調子がいいヤツでもある。世渡り上手かもしれないけど、コウモリ人間でもある。潤滑油ではあっても、エンジンではない。
僕は、その壁にぶつかっているんだと思う。
変える意義があるけど、変えるのが難しいことを、変える。そこに価値が生まれる。でも、それには多大なエネルギーが必要であり、その多大なエネルギーを燃やし続けるには、それ相応の信念が必要なんだと思う。
そのためには、やるべきことを、やる。
思い描いていた道に戻るために、やるべきこと。
いまの場所で結果を残すために、やるべきこと。
Shouldがいきすぎると、メンタルがしんどくなる。
Shouldがなさすぎると、進捗がなくなってしまう。
やりたくない、めんどくさい、すぐに成果が見えない、やる気にならない。
そういう地道なことが、やるべきこと。
嫌われるかもしれない、相手の気分を害するかもしれない、言ったところで変わらないかもしれない。
でも、言わなきゃいけないこと。
そういうShouldを自分に課しておくこと。
僕は割と、好きなことをして生きていると思っていた。
でも、もしかしたら、ラクなことに流れて生きてきたのかもしれない。
本当に好きなことで生きていくには、嫌いなこともしないといけない。やりたくないこともやるべきときがある。
Shouldは悪者になりやすい。Shouldを呪文のように唱えると、確実に精神が蝕まれる。身動きがとれなくなる。
しかし、Shouldが悪者になりすぎた結果、「Shouldにとらわれないべきである」という奇妙な信念が生まれる。たしかにShouldに囲まれるとしんどいけれど、それは達成できないShouldばかりだからしんどいのであって、Shouldが達成できればむしろ精神衛生に好影響を与える。自信になる。なにより、大きなShouldを抱えていながら、そんなShouldは知りませんみたいな、Shouldにかまけている時間はありませんみたいな、Shouldに対して冷たい態度をずっと取っていると、いつか大きなしっぺ返しをくらう。Shouldに気づいていないフリは、長くはできないのだ。
Shouldへのとらわれを捨て、Shouldを手なずける。ここが限界と思ってからが勝負。あぁ疲れたな、やる気でないし、明日でいっか。こんなこと言ってもいいのかな、こういうこと言ったら煙たがられるかな、もうちょっといい言い方があるかも、また今度言おう。そこからが勝負。ちょっと自分の限界をはみ出ること。それを積み重ねること。Shouldを怖がってばかりいないで、Shouldに少しでも近づいていこう。
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