変わる理系の就職戦線
教育の話とはちょっとズレるのですが、ここ数日、自分のなかで「これは時代の転換点を示すものに違いない」と感じた兆しがふたつ、立て続けにありました。忘却してしまわないうちに書き留めておきたいと思ったので、メモ的に。
ひとつめは、トヨタが理系の大卒と大学院修了の採用で学校推薦を廃止するという方針を発表した報道。
トヨタは2020年春の新入社員のうち、約3割が理系で、その多くが学校からの推薦を受けて入社しているそうです。
生産や開発にかかわる工学・電気などの基本知識技術をもった人材を安定的に確保するには学校推薦は効果的だったはず。にもかかわらず、そのすべてを自由応募に切り替えるというのは、相当の決意と覚悟が感じられます。
そしてもうひとつが、こちらのタビトラ先生のツイート。
もともと不採算部門だったということですし、これからの少子化を考えると、病院によっては小児科が縮小撤退の憂き目にあうのは避けられないのかもなあというところですが、それにしたってですよ、特段問題を起こしたわけでもないお医者さんがクビになるんですよ? 信じられますか?
安定就職の代名詞
かつて理系の工学部・医学部といえば、就職に困らない学部の代名詞でした。マジメに学問を修めさえすれば(医学部の場合は医師国家試験に合格すれば)、就職先に困ることなど考えられなかった。就職氷河期でさえ、苦戦する文系や理学部・農学部の学生をよそに、早々と内定を決めていた人が多かったのでは? 極端な言い方をすると、受験や国家試験に必要な学力さえ身につければ、あとはレッド・カーペットの上を歩いていくだけで良かったのです。
それが、どうも話が変わりつつある。
医学部であっても、マーケットを分析して、成長性のある専門分野に軸足をおかないと職にあぶれる可能性が生じるっぽい。生産や開発の知識技術があっても、それらの能力を企業の資産と結び付けて価値に変えていくストーリーを描き、語れなければ、門前払いをくらってしまう。そんな時代になってきている。
変わる日本型雇用慣行
理系分野を中心とした人材採用改革の波はこれにとどまりません。
日立製作所、資生堂、富士通、KDDIなどでは、職務を明確にして、年齢や年次を問わずに適切な人材を配置する「ジョブ型採用」への移行を加速しています。
社員の紹介をもとに中途採用を行う「リファラル(紹介)採用」も本格化、すでに年間採用の半数が経験者採用という会社もあるようです。
経団連は、インターンシップ(就業体験)について、採用と結びつけることを解禁するよう、政府に要請しています。
いまだ日本型雇用慣行がうんたらかんたらと十把一絡げに語られがちではありますが、あと数年もすると見える景色はずいぶんと変わってきそうだなあと思っています。
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