![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/129473590/rectangle_large_type_2_928908df09aab49a5513d518057a3c8c.jpeg?width=1200)
ストーリーテリングのトレーニング素材集 - Story telling training materials
はじめに
Tableauによるストーリーテリングは、データ分析の総合的な能力を要求します。この記事では、なぜそれが難しいのかの理由を考察したうえで、あなたが持っているスキルを出し切るためのトレーニング素材と、その使い方を紹介します。なお、本記事ではストーリーテリングに重きを置いており、分析の妥当性や、高度なテクニックの利用の可否は問うておりません。
データの理解と表現の無限ループ
まず、なぜストーリーテリングのトレーニングが必要なのか説明します。データ分析と視覚化のプロセスは、TableauではVisual Analytics cycleと呼び、図1のように6つのステップがあります。
![](https://assets.st-note.com/img/1706767126829-WsJ8PtbIyI.png)
このうち、Choose visual mapping , View data, Develep insight の3つのステップが本記事の範囲です。さらに単純化すると、今回取り上げるのはそのうちの以下の2つの要素です:
データの理解:データについての理解を得る
データの表現:理解したデータを他者にわかりやすく伝える
これらは絶え間ないループとなって展開します。
最初に、データを理解しようと試みます。そして、その理解を基に表現を試みます。これで1サイクルです。表現すると新たな視点や疑問が浮かび上がります。この新しい発見がまたデータの理解を深めます。さらにその理解が新しい表現を生み出します。このような形で、あたかも終わりなき無限ループのような状態に陥ります。
データの完璧な理解を一度で得ることはできません。慣れたデータならともかく、新しいデータではループ現象が起きがちです。とくに時間が限られている場合、終わりのないループは分析者にとって大きなストレスとなります。途方に暮れてしまうこともあるでしょう。
データには多数の切り口があり、求められているビジネス課題もまた千差万別です。そのため、いわゆる組合せ爆発が起きます。途方に暮れるのは、指数関数的に切り口と解法のパターンが出てしまっているためです。この爆発を収束させて、この果てしないループから抜け出す。そしてデータからストーリーを構成するには、特定の文脈が必要です。これが課題です。
不完全な5W1H=課題
課題によって条件を絞り込むことができます。条件とは、誰が、いつ、どこで、何を、どうやって、の5W1Hに落とし込むことができます。しかしながら、課題の5W1Hは明確ではありません。当たり前です。それを明確にするためのデータ分析+アクションだからです。言い換えると、課題とは不完全な5W1Hの状態です。
証明できない5W1H=仮説
さらに言えば、実は依頼者の課題オーナーからすると既に5W1Hが明確な場合はあります。しかし客観的な根拠はない。これが仮説の状態です。もちろん仮説が誤っていて、別の原因が仮説に上がる場合もあるでしょう。いずれにしても、それをデータで確認しなければなりません。
アクションとプレゼンテーション
しかしながら、既にあるデータでは、証明するには事足りない場合もあります。その場合は、証明に必要なデータを集めなければなりません。ここでデータ収集のためにビジネス上のアクションが必要です。
ところが、データ分析者はビジネスの当事者でないことが多いです。となると誰かにアクションを依頼することになります。アクションには時間と労力とお金、つまりコストがかかります。そのためアクションしてもらうためには、説得力を持って仮説をステークホルダーに説明しなければなりません。そして説得力を持ったプレゼンテーションには有効な視覚化とストーリーが必要であり、ストーリーテリングの手法が用いられます。
前置きが長くなりましたが、以上がストーリーテリングが重要な理由です。そして、世の中にはストーリーテリングを鍛え上げる機会や素材が少ないです。いきなり実践するのは忍びないので、本稿を起稿しました。
トレーニング
下記に準備した複数の小テーマこそが特定の課題です。これをサンプルにして膨大なデータの組み合わせパターンから、特定の文脈を抜き出します。そして、不完全な5W1Hに対する仮説を導き、ステークホルダーにプレゼンテーションして次のアクションにつなげます。これらのいくつかに取り組むことで、対応力を鍛えられます。進め方を読んで実践してみて下さい。
進め方
役割
次の役割の人を決めて下さい。
指導を受ける人
自分のストーリーテリングに難点を感じていて、指導を受けたい人です。
トレイナー(指導する人)
受け手への伝え方を心得ている人です。単なる技術者では務まりません。Tableauの熟練者である必要はありますが、むしろTableauを使ってデータ分析を行い、プレゼンテーションを何度も経験していることが望まれます。
手順
トレイナーは指導を受ける人に小テーマを提示して下さい。作成時間を教えてタイムキーパーをして下さい。作成時間はテーマに応じて15分~30分として下さい。
指導を受ける人は小テーマに沿って分析レポートを作成して下さい。
トレイナーは作成時間終了を告げて下さい。
トレイナーは指導を受ける人に依頼し、Tableauの画面共有してもらい、作成したストーリーの説明を受けて下さい。
トレイナーは、指導を受ける人のシナリオに沿って、指導を受ける人に操作を指示する形で、ダッシュボードを改善して下さい。操作を覚えてもらうためにも、決してトレイナーは操作しないで下さい。
トレイナーは、あくまで分析レポートの受け手としてふるまって下さい。
ダッシュボードを改善する観点は次の通りです。分析自体の正しさは度外視しています。ストーリーの伝わりやすさだけに焦点を当てています。
ストーリーが分かりやすく伝わるか
結論から語っているか
少ないページで語っているか。
ダッシュボードやストーリー機能を使っているか
ストーリーに筋道があるか
行ったり来たりしないか、順序が整っているか
視点の導線が明確か、迷わないか
導線が左上から右下へスムーズに移動できるか
ワークシート、ダッシュボード、ストーリーともにタイトルをつけているか、タイトルは適切か
データで語っているか、言葉に頼っていないか
ポイントを色で目立たせているか
色数が多くて混乱していないか
デザインがシンプルか
重複した情報がないか、
重要な文字やチャートが見やすいか、不要な文字が目立っていないか
不要なシートが削除、もしくは非表示になっているか
総合的に見て受け手のことを考えて作成されているか?
小テーマ
これらの小テーマでは全てサンプルスーパーストアのデータを使用します。
1:都道府県ごとの利益の傾向を分析してください。利益が低い都道府県のデータから、原因を探り示してください。
2:スーパーストアの商品を利益率に基づいて、製品の選択と集中をする場合、どのような戦略が考えられるか、具体例を挙げてプレゼンテーションしてください。
3:売上強化のために、売上金額上位30位の大口顧客が、どういった人物像かを推定して示して下さい。
4:各年ごとのリピート顧客の売上の割合を示して、リピートにどういった傾向があるか示して下さい。
事例
随時アップします。
オリジナル(Yさん):
Make Over(デタロウ):
オリジナル(Tさん):
Make Over(デタロウ):