『すみれの空』子供の、親への手紙
※ストーリーのネタバレ有
■作品概要:”とびっきりの一日”を過ごすアドベンチャー
■公式サイト:https://www.gametomo.co.jp/sumire
■クリア時間:3時間くらい
任天堂が定期的に配信しているNintendo Switchで遊べる注目のインディーゲームを紹介する「INDIE WORLD」という動画で『すみれの空』が紹介されました。
この動画で以前から目をつけていたクリステイルズの販売日が決まったことで、自分は随分沸き立っていたのですが。そんな中現れた今作は、郷愁と空虚を醸し出しており、目に焼き付いて離れなくなりました。
値段が安く、丁度10%offのセールをしていたこともあり、クリステイルズより早く購入しプレイしました。
この記事は、そんな「すみれの空」の感想を備忘録がてら綴るものとなっています。
ストーリー主体の作品なので、ネタバレが多分に含まれていますのでご容赦を。
『すみれの空』とは
村に住む人見知りな少女『スミレ』はイタズラ好きな精霊と願いを叶える約束を交わす。その願いを叶えるために与えられた時間はたった一日。日が暮れる頃には、彼女は何を思い、どう変わっていくのか…?
ちぎり絵のような、温かなグラフィック
『すみれの空』のグラフィックは、ゲームらしくはありません。
ちぎり絵のような画面
その抽象度の高さは、雰囲気を重んじる絵本のそれに近く、全体の構成もそれに準じています。
穏やかでかつ、どこか寂し気なサウンド。”向かい側”を示唆する児童文学的ファンタジー、いいことをすると報われるゲームシステム。
子供の頃に児童文学に触れ続けた人間として、その頃の雰囲気を醸し出し続け裏切らなかったのは、郷愁の香りを思い出させてくれました。
円のような形をしたサイドビューをした、ゲーム画面も又素晴らしい部分です。
このゲーム画面の構成に関して載っていた、インタビューがあった筈なのですが、見つけられませんでした。良ければ探してみてください。
円のように進む
「とびっきりの一日」を過ごす
今作における主人公スミレはネグレクトを受けています。
厳密には違いますが、心の拠り所であったおばあちゃんを失ってから彼女の周りはどことなく剣呑です。
仲の良い友達や学校の子供からいじめられ、父と母は離婚し、彼女はあらゆる所から迫害され孤立してしまっています。
父親がいなくなってから、母は寝坊するようになったため、スミレが朝の家事をする
そんなスミレが、亡くなったおばあちゃんに合うために、花の精霊に「とびっきりの一日」を見せる為に奮闘します。
それは一種の逃避のようでもあり、彼女がもとの純朴な心を取り戻すまでの旅路であり、素朴な幸せを感じられます。
冴えない男、ボー。ファミレスの店員に恋している
ファミレス店員に恋する男子、蔓の絡まったホースの魅力に囚われたヘビ、寒がりなお地蔵様、カラスと仲良くなりたいカカシ。
なんとなく、ぱっとしない彼らの『たのまれごと』を叶えていくうちにどこか氷解した感覚に包まれます。
それが、とびっきりの一日へとつながるのです。
総評
絵の通り、そのまんまなゲームです(最近こればっかり言ってる)
穏やかで、素朴で、暖かい。そのようなゲームを探しているならお勧めできます。
又「すみれの空」の魅力的な部分は、今そこにいるかのようなスミレの言葉運びにもあります。
彼女が両親に思いの丈をぶつける場面は、心に響くので、是非ご覧になってください。
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