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『真・女神転生Ⅴ』余りに局所的な棘
※ストーリーのネタバレ有
■作品概要:人の持つ信念の対立を描く育成RPG
■公式サイト:https://megaten5.jp/
■著作権表記:©ATLUS ©SEGA
■クリア時間:40時間くらい
11月頃、知り合いがswitchを大学に持ってきました。
授業の合間を見繕い、事あるごとに遊んでいるので、定期考査も近いのに何をやっているのか思って聞いてみたら、「真・女神転生V」の画面を見せてくれました。
しかも、かなり遊んでいたようで、販売して数日程の事なのに、パーティー内にヨシツネが入っていました。
そんな女神転生好きな彼に、是非やってみろと言われたので、冬休みの折に購入。クリアしました。
独特な部分が多く、面白いと思う人もいるだろうとは思ったものの、個人的には刺さらず。微妙な感じだけ残ったので、備忘録がてら残していきます。
内容的にはかなりこき下ろしているので、ファンの方や未プレイの方は余り見ない方がいいかもしれません。
『真・女神転生Ⅴ』とは
汝よ、神と為れ――。
突然のトンネル崩落事故に巻き込まれた主人公が目を覚ました場所は、荒廃し砂漠と化した東京だった。
異形の存在「悪魔」に襲われた主人公は、目の前に現れた謎の男と融合を果たし、禁忌の存在「ナホビノ」へと変貌する。悪魔に対抗する力を手に入れた主人公は、異界「ダアト」を彷徨うことに。
いったい東京に何が起こったのか?
ナホビノとはいったい?
真実を求め進むうち、主人公は世界の未来を賭けた、神と悪魔たちの戦いに身を投じることになる。
セミオープンワールドの採用
今作は一部、保守的な部分が多いように思いながらも、いくつかの挑戦をしています。
その一つが『ステージ制』オープンワールド。区ごとに分割された、4つの世界がオープンワールドに近い広々とした空間で構成されます。
マップの一つ、台東区。一通り回るだけでも時間がかかる程広い
これは、JRPGとオープンワールドの食い合わせの悪さを是正する手法として作用しており。ゼノブレイドで採用された「セミオープンワールド」の亜種として見ることもできます。
ロケーションの美しさは魅力
この広さにアクション要素や、ダンジョン的な入り組んだ道などが含まれており道中は中々楽しいのですが、ストレス要素が避けられません。
行けない…
ストーリーの中盤では赤い柱を止めるイベントがあるのですが、この道が入り組みすぎており、私では行くことが出来ませんでした。
地図を見れば、今までのゲームでは迷うことは無かったのですが。今作においては迷いまくり、悲鳴を上げまくりました。
行けない…なんで?
又”荒廃した東京”と”高低差の強いフィールドマップ”のかみ合わせの悪さは余りに酷く、行けそうでいけない場所ばかりだったのはストレスでした。
シンボルエンカウント方式の是非
今作はシンボルエンカウント方式が採用されており、広い世界に跋扈する悪魔達を見ることが出来ます。
そこは楽しい筈なのですが、途中あたりからストレスに変わっていきます。
何度逃げても追って来るアンズーの徘徊
それは、チン・アンズーに代表される。飛行系悪魔の害悪度合に他なりません。
基本的に主人公たちのレベルを上げれば、悪魔は寄ってこなくなり、探索がしやすくなるのですが。よりにもよって飛行系悪魔に関してはこのシステムの対象外です。
なんで追っかけてくるんだ
どれだけレベルを上げても追ってきて、カメラの外からエンカウントされた数は枚挙に暇がありません。
育成系高難度ターンバトル
今作の戦闘形式は、ドラクエモンスターズに近い、育成系のバトルシステムです。
悪魔を育て、味方にする
合計4人のパーティー、悪魔同士を掛け合わせ新たな悪魔を生み出す悪魔合体、野良悪魔を話術次第で仲間にできるスカウトシステムなどは比較的一般的に認知されている育成ゲームです。
今作の戦闘で特徴なのは「プレスターンバトル」と称される、弱点有意のシステムと、悪魔の勧誘は会話によって決まることです。
弱点をつくと有利に動ける
弱点を突くと行動回数が増えるプレスターンバトルは敵側にも適応され、緊張感が生まれています。
しかし、よくも悪くも弱点有意であり、手持ちに弱点属性持ちがいない場合一転不利となるピーキーさもあります。
というのに、悪魔合体にかかるコストは意外に高く、悪魔をとって来るのに奔走しなければならなかったり。すぐに金が尽きてしまうのは試行錯誤の楽しみを阻害しているような気がしました。
又行動回数の増減の変化に余り面白味を見出す事が出来ませんでした。
その瞬間弱点属性を持ってるかどうかは殆ど運なのに、それに左右されるゲームシステムってどうなの?と、思ってしまうわけです。
ボスの弱点見た後リセットして悪魔をつくる作業は、正直あんまり楽しくありませんでしたし。途中から攻略サイトを見てしまいました。
薄い闇鍋味みたいなストーリー
今作のストーリーは、マルチエンディング方式が採用されており他にはない独特なものです。
神と悪魔の対立。政治的価値観の善悪。互いの譲れない”正義”の元、火花を散らすのは他のJRPGにはない魅力があります。
人のみの世界を求める八雲ショウヘイ
しかし、その魅力的な選択肢を自らで狭めてはいないだろうかとも思います。
秩序を求めるアブデュエルは既に妄信者に成り果て、無法地帯を作り出そうとするショウヘイに賛同できる人は余り多くはない気がします。
そこにある信念もそこまで多く語られぬまま終わってしまい、選択が消極的な方向に移ろいがちです。
結局私も消極的な意見として、民主主義。一般的にカオスルートの呼ばれる多神教の世界の創生ルートを進んでしまいましたし、他を選ぶ気はあんまりおきませんでした。
また、自分の思った意見に対して、選択肢が曲解される部分も多く中々もどかしい思いをさせられました。
総評
尖り方が局所的過ぎる。これに尽きます
戦闘システムも、ストーリーも、マップ探索も、好きな人は間違いなく好きだろうけど、刺さらない層も含めて面白くできる要素を態々狭めている気がしてしまいました。
なんというか、もったいないというか、不完全な感じを覚えずにはいられませんでした。