社会人5年目、正社員辞めます
ヒマラヤほどの消しゴムひとつ
楽しい事をたくさんしたい
宮崎あおいが大声で歌いながら海岸を歩くCM。あまりにも鮮明に覚えているから、つい数年前のものだと思っていたのに、調べたらほぼ10年前で驚いた。
あの頃学生だった私も、今や社会人となり、休職期間はあったものの一応4年近く正社員として働いてきた。
間もなく現職を退職し、ライターのアルバイトを始める。
正直「これから色々お金がかかる時期なのに大丈夫?」とか、「正社員の肩書きを手放していいのかな?」とか、迷いに迷った。
でもこの迷いを紐解くと「きっと親や世間はこう言うだろうな」ということを、先回りして自分に問いかけているだけだと気付いた。
自分の価値観は周囲の、特に学生時代に身近だった大人たちに大きく影響される。
仕事柄、高校生の進路相談によく乗るのだが、好きなことがあるのに「この仕事じゃ食べていけないかなって…」「安定した職に就いた方がいいと思うんです」という理由で、その道へ進むことをためらうケースが多い。きっと周りの大人がそう言っているのだろうなと感じる。
少し前にも、「好きなことより、安定した仕事をした方がいいって親に言われていて…」という高校生に出会った。
「お母さんはそう言ってるよね。でも、あなたは本当にそう思う?」
高校生に問いながら、自分へのブーメランのような言葉に、心がざわざわと落ち着かなくなる。
高校生は「そんなこと考えたこともなかった」と驚き、それから少し考えて「そう思いません」と真っ直ぐに答えた。
家族や世間じゃなくて、自分はどう思う?
いつのまにか家族や世間の刷り込みを自分の意見だと思い込んでしまうけど、「自分は純粋にどう思うのか」を見失ってはいけない。
大学を出たから正社員じゃないとダメ。
仕事で好きなことなんかできない。
誰かが刷り込んだ言葉を取っ払うと、そこには「好きなことをしたい」というシンプルな欲求だけが残った。
私は書く、もっと言えばものをつくる仕事がしたいんだ。
楽しいことをたくさんしたい
誰だってきっとそう。だけど大人になるにつれて、その欲求を口に出すことがタブー視されるようになった。
楽しいことをして活き活きしている人を見て、「抜け駆けはずるい」と牽制し、「あの人は特別だから」と諦める。
そういうの、もういい加減疲れた。
これからやりたいことは、書くことに全力投球すること。夜はゆっくり恋人と話す時間をつくって、そしてまた自分の気持ちをつらつら書いて、健やかに眠る。もちろん、友達と遊ぶことだって忘れずに。そんな日常がいい。
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