人生を変える夢中の魅力
先日、伊与原新さんの著書『月まで三キロ』を読みました。本書は短編集で、主人公が理系の研究者や詳しいマニアのような人達との出会いから、人生のヒントを得ることで問題や悩みを解決していく・・・というストーリーが共通のコンセプトになっています。
本書を読んで、改めて私が思ったことは、「夢中になれるものがあるっていいよね」ということでした。
登場する研究者やマニアの人達は、自分の研究している分野がとにかく大好きで、「その研究があれば、生きていける」くらいに、のめり込んでいるのです。もちろん、研究者達も、全てが順調な人生だという訳ではありません。しかし、辛いことや困難を乗り越えるためのパワーの源もやっぱり「大好きな研究」だったのです。
私は本書から「『夢中になれるものがある』という強さ」を改めて感じました。
現在、読み進めている書籍は、辻村深月さんのエッセイ集『図書室で暮らしたい』なのですが、辻村さんは「いじめられている君へ」というエッセイの冒頭で、以下のようなお話しをされています。
伊与原新さんの小説、そして辻村深月さんのエッセイ・・・表現方法こそ違いますが、それぞれが同じメッセージを発しているように感じるのです。
我が身を振り返ると、私自身には「長い間、夢中になっているもの」というものはありません。大抵の場合、夢中になるのは数年くらいで、そのあとは興味をなくすか、細く長い趣味になるかどちらかのような気がします。そのような理由もあって「ずっと夢中になれるものがある」という人は、本当にうらやましく思います。
もしかすると、日常となっている読書だったり、こうしてnoteや掌編小説を書くことが、いつの日か「夢中になれるもの」になっているかもしれません。また、今は全く興味を持っていないことが、将来の「夢中になれるもの」になるかも知れません。
いずれにせよ、自分も「夢中になれるもの」が明確に存在している人生を過ごせたらなぁ・・・と思います。